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お金持ちの「レバレッジ」とは何か、そして「現実」とは何か

ロバート・キヨサキ 「金持ち父さんの若くして豊かに引退する方法」の書評を書いてみました。

なんとも耳障りの良いタイトルに正直怪しさすら覚えますが、、
結果として自分にとって今までで最大の良書なのでは、、と思うくらい面白く学びになりました。
ロバートキヨサキの「金持ち父さん」シリーズについては知ってはいたものの長く、難解なイメージがあって読んだことがなかったので良い機会でした。

さて、「レバレッジ」という言葉についてどんなイメージを持っていますか?
僕は「FXとかの危ないやつ」という如何しようも無いイメージしか持っていなかったわけですが、、、
この本には「レバレッジ」という言葉を柱として3つの「レバレッジ」を用いて若くして豊かに引退する方法を自身の物語を交えて紹介しています。
全てを紹介すると長いので今回はその中でも一番重要と感じた「頭脳のレバレッジ」を中心にご紹介します。
400pを超える本なので全ての要約は難しいのですが、ポイントと感じた部分をメインに。

目次
1:用語解説
2:頭脳のレバレッジ
3:プランのレバレッジ
4:行動のレバレッジ
5:感想
6:終わりに

1:用語解説

この本では口癖のように出てくる単語があります。それについて先に触れておきたいと思います。

1:レバレッジ
レバレッジとは「てこの力」が語源となっており、本書最大のキーワードです。
広義では「より少ないものでより多くをする力」とされています。
例えば、わかりやすいレバレッジの道具として
・自転車
などがあります。

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ネギカッターとかもそう言ったらレバレッジかもしれません。

2:現実
この本での現実という言葉として
「自分が現実だと思うものが現実だ」とされています。
例えば5000万の車があったとして
一般の人にとってはその車を買うことは「現実の外」にありますが
年収3億の人にとっては「現実の内」にあるということです。

3:キャッシュフロー・クワドラント

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本書にはこのE・S・B・Iの四つの区分があり、この四つのクワドラントは「異なる現実」を表しています。
E→Employee(従業員)
S→Small businessまたはSelf-employed(自営業者)
B→Business owner(ビジネスオーナー)
I→Investor( 投資家)

4:コンテンツ/コンテクスト
コンテンツは「内容・中身」
コンテクストは「状況・入れ物」を表します。
例えば、グラス(コンテクスト)のキャパシティが多いほど、水(コンテンツ)の入る量は大きくなるようにコンテクストはコンテンツを入れる受け皿の役割をしており
本書では「自分の現実」とも書かれています。

2:頭脳のレバレッジ

1つ目の頭脳のレバレッジは冒頭にして本書最大のポイントであり、キモとなる部分です。
・まず「豊かに」という点で
なぜお金持ちになりたいか意志を見つけなければならないということから始まります。
そして言葉はレバレッジであり人間の頭脳。
適切な言葉を頭の中で使うことが重要としています。
頭脳は私たちにとって最強のレバレッジの道具だ。
この言葉が語るように私たち各々にとっての現実は頭脳で作られます。

若くして豊かに引退するためには
現実をコントロールし、変化させ、広げる必要があります。
例えば多くの人にとって学生時代、30万円のバッグを買ったり、1食に2、3万円をかけるのは現実として捉えられるものではなかったと思います。「無理」という言葉で終わったでしょう。全然問題なく買えた人は是非恵んでください。
それが、年を重ねて働くようになり、収入が増えるにつれて
高級バッグを買うことも、良いディナーを食べることも現実的になってきます。
これが「現実の変化」です。
ある物を「それは買えない」という人はいつまでたっても買うことができません。
「買うためにはどうしたら良いだろう」という言葉を持つ人にとっては買うことは現実の中にあるのです。
この現実をコントロールするためのレバレッジを高める方法として

1. 夢や目標など「意志」を見つける
2.自分の人生を振り返る
3.レバレッジの良し悪しの違いを知る
4.「どうやったら今自分がやっていることをより多くの人に、より少ない労働でより安く提供できるか?」の答えを探る

ことが挙げられています。
レバレッジの良し悪し、というようにレバレッジには
良いレバレッジと悪いレバレッジがあります。
例えば、借金。多くの人にはアレルギーのように悪い印象を持たれる言葉ですが
それは借金を「危険」と捉えていることに起因します。
使うための借金をするのは消費を目的とした借金であり、損を生む借金と言えます。これが「悪い」借金。
では得するための借金とは?と考えると思います。
それがビジネスのための借金です。

仕事による安全にしがみつくこととビジネスを起こすことはどちらが危険か?
という問いに筆者は後者は短期的な危険、前者は一生続く危険、と述べています。

「じゃあ、ビジネスが失敗したらどうするんだ」という言葉が出ると思います。
そこに対して金持ち父さんはライト兄弟の例を使って説明しました。
ライト兄弟は空を飛ぶのに失敗することを知っており、失敗しても大丈夫なように、失敗を繰り返せるように強い風の吹く平らな土地を探し、失敗を繰り返し、そして成功した。

当時の人たちの現実は「人は空を飛べない」だった中でライト兄弟にとっては人が空を飛ぶのは可能性の範囲内、つまり現実の中にありました。
そして失敗しても大丈夫な賢い方法でリスクをとり、現実にしたのです。
これが現実をコントロールする(変える・広げる)、ということです。

次に、金持ち父さんは金持ちになる一番簡単な方法として「気前よくする事」と教えます。
気前良くする事は"浪費する"とは違う言葉です。
例えば、会社勤めの人は年功序列で給料が上がるとした時、それが同じ仕事でより多くの金を求める事であり
お金持ちは少しのお金と多くの労力で多くの人にサービスをする、と言います。
これがどういう事か不動産を例に説明しています。

金持ち父さんは何年もかけてより多くの家庭に安く住宅を提供するためアパートを買ったり建てたりして、これが増えるほど家賃は下がる。結果金持ちになる。
一方貧乏父さんは自分と家族のために大きな家を買おうと仕事をしている、と。

ここでキャッシュフロー・クワドラントの出番です。
この例においては前者はB(ビジネスオーナー)、後者はE(従業員)になります。
加えてその他の説明として
・S(スモールビジネス)は個人の独立を重んじ、自分だけを信じる頑なな精神構造から世界を見ている。
・I(投資家)はお金にお金を産ませる。
としています。
SとBは似ているようで働くレバレッジも大きく異なり、一番の違いはどれほど多くの人にサービスを提供しているかにあります。
Bは多くの人にサービスを提供する為システムを構築し、Sは個人的な力とそこにある人間的関わりだけを頼りにサービスを提供する。この結果Sは時間が足りず、多くの人にはサービスが提供できない。
労力を減らしてより多くを稼ぐ最良の方法はBになる事なのです。

このクワドラントから、終身雇用のギャンブル性は賢いビジネス(=リスクと見返りを考えたギャンブル性の低い経済活動)よりも大きいことを説いています。

前述に良い借金、悪い借金という言葉がありましたが、収入にも良い所得悪い所得があります。たいていの人は悪い所得のためにせっせと働いているから金持ちになれないとした上で本書では所得を3つに分類しています。

1.勤労所得:給料、昇給、ボーナス、残業代、手数料
2.ポートフォリオ所得:株式、債券、投資信託などの「紙の資産」から入る所得
3.不労所得:一般的には不動産から入る所得、その他印税など

このうち最悪なのは勤労所得。
理由は一番多く課税され(税制面で最も不利)、自分が働かねばならず、残存価値もレバレッジもないからです。
そして筆者が若くして豊かに引退できたのは不労所得のために働くプランだったからであり、不労所得が人生最大の支出である税金を一番抑えられ、自分が働く必要がない所得であることを理由にしています。

改めてレバレッジとは、「より少ない労力でより多くを手にする力」です。
これを手にするため何が必要かを
コンテンツコンテクストという言葉で説明しています。
コンテクスト(=現実)が狭い人にはいくらコンテンツを与えてもそれを受け入れ、自分のものにするキャパシティがない。
例を挙げると、お金を使うことしか知らない(その現実しかない)人に1000万(コンテンツ)をポンと渡しても使うことしか考えることができない(キャパシティがない)、ということです。

ではコンテクストを広げるにはどうしたらいいか?
筆者は自分の考え方を観察するところから始めるよう伝え、
金持ち父さんが言うであろう回答を以下のように代弁します。

早く金持ちになりたかったら、新しいアイディアを進んで取り入れる頭脳と、自分の今の能力を超えた可能性に挑戦できる技術を持つ必要がある。そのためにはすばやく変化、拡大、成長できる現実を持っていなければいけない。

3:プランのレバレッジ

頭脳に続いて、プランのレバレッジが2つめです。
筆者は今日、最も急激に拡大するギャップは中流と金持ちの間の金銭的なギャップと言います。
両者の違いは産業時代向きの遅いプランか現代に向いた速いプランかの違いです。
速いプランとは変化の対応が早い頭脳、結果が出るのが早いアイデア、ビジネスに関する良い教育を持つことでコンテクストを高速で変化させることができる人のプランです。
これにより、仕事量は減り、所得は増え、若くして豊かに引退できるのです。

その第一歩目として「出口戦略」を考えることが鍵になります。
いくら欲しいのか
どのように、いつ、どこで、その時期を迎えるのか。
ゴールを決めることが重要であり、これを決めたら仕事による安定を捨てて急行列車に乗ることをここでは説いています。
急行列車には先ほど述べた早いプランを必須とし、彼らの基本的プランは端的に言えばビジネスを立ち上げ、不動産に投資することでした
ここにもライト兄弟の教えは敷いてあり、あくまで失敗は前提とした上で間違いとそこから学んだことでコンテクスト、コンテンツ、多額の金を扱うキャパシティ、処理のスピードが大きく変わるのです。

上記のプランはあくまで筆者夫妻に向いたものであり、人それぞれの
長所・欠点・希望に合わせた独自のプランを作り出すことを勧めています。
独自のプランを作り出すにあたっては
自分が持って生まれた才能と、一番よく学べる方法を見つけ出すことが最初の重要なステップです。
その後、重要になってくるのが未来を見ると言うこと。
未来に向かってチャンスが開かれるのは一瞬であり、このタイミングを見据えて準備をしてその一瞬を見逃さない。
その未来が見たいのなら、自分より若い人の目から見ること。と言います。

当然、若い人の目から未来を見ることは容易ではありません。
自分の言葉・行動を変えて現実を変えることこそが一番難しいことだとしています。

現実をコントロールすることは安全を求めるほど失う力であり、自分の過去を脱ぎ捨て、不確かな未来に足を踏み出すことは若くして豊かに引退することよりも難しい。
プランのレバレッジについてはこのように
出口戦略を立てた上でどのようなプランを立てるかについて書かれています。
そして、それを「行動に移す」のが行動のレバレッジです。

4:行動のレバレッジ

ここでは、先ほどまでよりも具体的な記述が多くなります。
かなり省略してしまいますが
曰く、「口で言うのは簡単だが、肝腎なのは自分の知識を使ってどう行動するかだ。」

金持ちにする習慣として挙げられていたものは

1.会計を雇う
2.勝てるチームを作る
3.常にコンテクストを広げる
4.成長し続ける
5.新たな失敗を恐れない
6.自分の声に耳を傾ける

この習慣を欲しいものに焦点を合わせて実行する。勝っていなくても勝者は勝利の感覚や思考を持ち続けると筆者は言います。

又、行動のレバレッジについて話す中で「3つの資産」について語られており、それは

1.不動産
2.紙の資産
3.ビジネス

の3つなのですが、この中で一番難しいのがビジネスです。
そして世界で最も金持ちなB(ビジネスオーナー)クワドラントは自分だけでなく家族や仲間、従業員や投資家を金持ちにすることができ、同時に最も成功するのが難しいクワドラントでもあります。

ビジネスの難しさで最たるものは人と一緒にやっていくことであり、これこそがSクワドラントとの違いでもあります。
多くの人がビジネスをおこせないのは人についての技術が欠けているからであり、Bクワドラントで成功するにはS・E・B・Iの全ての人とコミュニケーションをとり、一緒に働く方法を取らねばならないから、そしてその能力が不可欠なのだ。
と金持ち父さんは筆者に教えます。

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このB-Iトライアングルはビジネスを立ち上げるのに重要な意味をもち、ここにある様々な専門技術を持つ人を集めるにとどまらず、その人々を共通のゴールを目指して協力できるチームとして機能させる「偉大なリーダー」でなければならないのです。

このように、この本では若くして豊かに引退するにはこのBクワドラントに属することだと説いていました。

5:感想

改めて読み返す中で農家の僕がこの本を読んで一番に感じたのは
多くの農家はSクワドラントであり、自分が働くことから離れて豊かになる発想がないと言うことです。自分自身その観念に囚われていたな、と。
現代では、車や道具など生活を楽にすることを売りにする商品が次々と開発される中で何故か楽をすることは咎められる世情があります。同じく現場で汗を流すことが働くことである、と常々考えているのが元来の農家像でもあるわけです。
世のお金持ちとされる人々は確かに原点に自分たちが稼ぎたいと言う意志を持ち、ビジネスを立ち上げ、コンテクスト(=現実)を変え、広げながらより良いチームを作って進んでいます。
その結果、多くの人にサービスをより安価に提供してお金持ちになる
今、iPhoneでできることを昔は多くの専用の機械でこなしていたわけですし
Amazonやネットで買う以前は個別で買いに出かけていた。そう言った経緯を考えるとその言葉も頷けます。
たった10年前は予想できなかった今に備えて行動してきた人がチャンスの窓を逃さなかった。
ここに気づき、自らも現実を変え、未来を見て行動することが重要だと。

ジュール・ヴェルヌの
「人間が想像できることは、人間が必ず実現できる」と言う言葉のように、自分にとって何を現実として、どんなプランで行動して、それを掴むのか
そう言った普遍的且つ基本的でありながらも多くの人が手を伸ばさなかった部分に身を乗り出した人にこそ成功が実るのだと改めて感じました。

6:終わりに

勢いで書いた割には冗長なnoteになってしまい、ここまで根気強く読んでいただいた方には深く感謝致します。
僕自身、実際にこうしてロバキヨ本を読んでみるまでは「長いし、ようわからんし、縁がないな」と思っていたのですが意外にも読み始めると「ふむふむ、なるほど、、」と読み進めることができました。

「人生のステージが変わると見方が変わる」そうなので、また読んだ時に新たな発見を得られるよう現実を変えて行きたいと言うことで締めくくりたいと思います。

ちょっと、いいコーヒーが好きです