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【第94回】 Winter '24 リリース 注目の新機能 Marketing Cloud ハイライト

Salesforce Marketing Cloud の新機能 Winter '24 の情報が公開されましたのでハイライトの記事を書いてみたいと思います。

今回の記事は Winter '24 がリリースされる前の記事のため、記載している内容に間違えがある可能性があります。予めご了承ください。

今回のリリースは 2023 年 10 月 7 日から 10 月 27 日の間にリリースされます。今回リリースされる機能の中で、個人的に最も嬉しかった機能は「ジャーニーダッシュボードから複数のジャーニーを停止」する機能ですね。小さめのアップデートですが、作業が軽減される嬉しい機能かと思います。

一方、Salesforce 社としては「生成 AI 関連の機能」のリリースが推しとなるかと思います。Einstein 生成 AI を使ってメール件名やメール本文の一部を作成する機能や、メールで使える画像を生成 AI を使って何パターンも作成し、それらを動的に出し分けできる新しいコンテンツブロックがリリースされます。

また、前回の夏のリリースではベータ版だった Journey Builder の「システム最適化ダッシュボード」も正式にリリースとなります。この機能はベータ版の時点では試していませんので、どのような画面の動きをするのかは把握できていませんが、専用ダッシュボードが用意されるので今回のリリースの中では、割りと大きめのリリースになっているかと思います。

今回も盛りだくさんのリリースがありますので、新機能 Winter '24 にて、どのような機能がリリースされたのかを順に見て行きましょう。

■ 前回の Summer '23 も記事にしていますのでご覧下さい。


■ Content Builder、CloudPages 関連

Einstein 生成 AI を使用して、メールの件名やメール本文の原稿を自動生成できるようになりました。Typeface ブロックを使用して、生成 AI 画像を自動生成できるようになりました。削除された CloudPages コンテンツが自分でも復元できるようになりました。

① Einstein 生成 AI 機能でメール件名やメール本文を自動生成

Einstein コピーインサイトで Einstein 生成 AI 機能を有効化することで、組織のブランドアイデンティティを基にして、メール件名やメール本文の原稿を自動で生成してくれる機能が追加されます

これまでの Einstein コピーインサイトが英語のみ対応しているので、この機能は、おそらく日本語では動かないのではないかと思っていますが、果たしてどうでしょうか。しっかりと多言語対応していれば良いのですが・・・。

ここで言う「ブランドアイデンティティ」とは、Einstein コピーインサイト設定のブランドセンターを使用して作成されます。すぐに使える 2 つの標準パーソナリティ(プロフェッショナル or カジュアル)を使用するか、独自のパーソナリティを最大 10 個まで作成できます。

以下、試してみた感想です。(2023 年 10 月 24 日追記)

この機能にアクセスするには Marketing Cloud のセットアップから機能の有効化ができます。セットアップの画面では自社のブランドに合わせた「ブランドセッティング」が可能です。但し、この画面自体が Einstein コピーインサイトという括りの中にありますので、このブランドセッティングにおいても「英語」にしか対応されていないような雰囲気があります。今後の Salesforce の説明会に参加して、その辺りは確認したいと思います。

実際にメールの件名行で、この機能を使用してみました。

エントリ画面では下記のように入力しました。今回は敢えて日本語でトライしています。

■ 重要なメッセージ・・・冬に発売となる新作メニューを紹介したい。4つの商品があります。
■ ブランドパーソナリティ・・・プロフェッショナル( or カジュアル)
■ サンプル件名行(任意)・・・冬の新作メニューをご紹介

Exciting New Winter Menu Launch - Four Delicious Additions!
Warm up this Winter with Our Four New Menu Items!
Introducing Our Four Winter Menu Must-Tries!
Four Mouth-Watering New Menu Items for the Winter Season!
Winter Just Got Better with Our Four New Menu Offerings!

(下記はそのまま Google 翻訳で処理したもの)
冬の新メニュー登場 - おいしい4種追加!
この冬は新メニュー4品で温まりましょう!
冬の定番メニュー4選をご紹介!
冬の食欲をそそる新メニュー4品!
4つの新メニューで冬がさらに楽しく!

結果として表示されるものは予想どおりすべて英語でしたが使えましたね。少なくとも、私がサンプル件名行に入力した「冬の新作メニューをご紹介」よりは良さそうです。この英語を基に件名を再アレンジしてみるということはできそうですね。

② Typeface ブロックの生成 AI 機能で多様な画像を自動生成

動的コンテンツの作成を効率化させる 生成 AI が組み込まれた新コンテンツブロックの登場です。この機能が無償で使えるのか、有償となるのかは、ヘルプドキュメントでは語られていません。

ヘルプドキュメントの説明では、Typeface ブロックとは「洗練されたコンテンツを迅速に作成することで、ユーザーが複数のキャンペーンを作成する際の制作コストと時間を節約するのに役立ちます」 と記載されていますが、何だか分かりづらいですね。

私の理解では、生成 AI が作り出した何パターンもの画像を Salesforce Marketing Cloud の画像として使用できる他、動的コンテンツと組み合わせて購読者に最適な画像を表示させることができる機能という理解です

上に添付した画像を例にすると "A credit card" on a wooden platform, next to a drink, with a beach in the background(ビーチを背景に、木製の台の上で、飲み物の横に置かれた A 社のクレジットカード)とテキストを入力すると、そのテキストの下にいくつかの画像が自動で生成され、それらを Marketing Cloud のコンテンツとして使用できるというイメージかと思います。

※これを使用するには、Typeface アカウントと AppExchange の Typeface アプリが必要とのことですが、この記事を書いている 9 月下旬現在では、まだ AppExchange 上では検索ができないようです。

以下、リリースされたので記事にしました。(2023 年 11 月 17 日追記)

③ CloudPages で削除されたコンテンツを復元

※ こちらの機能追加は、Spring '24 に延期されました。

CloudPages で削除されたコンテンツは「ごみ箱」に送信され、これまで削除済みのコンテンツを復元させるにはサポートのチケットを作成する必要がありましたが、そのコンテンツを所有するユーザーのみこれを復元できます。この機能を使用するには、ユーザーに削除権限が必要です。

④ コンテンツブロックを素早く並び替える Tree View 機能

これまでコンテンツブロックを並び替える作業は非常に困難であり、メール制作者を度々イラつかせるものでした。それは Content Builder のキャンバスのビューの狭さが原因となり、思うようにコンテンツブロックを再配置できないことが原因でした。そのようなユーザーの悩みを Tree View 機能が解消してくれるに違いありません。

それでは Tree View 機能 を見てみましょう。

Content Builder のメール編集画面のタブ内にある Tree View タブをクリックすると、現在配置済みとなっているすべてのコンテンツブロックが表示されます。配置場所を変更したいコンテンツブロックをドラッグアンドドロップするだけで、自由に好きな場所へ移動することが可能です。

注意点は、この Tree View タブではお馴染みのコンテンツブロック名が表示されているだけであり、それが具体的にどのコンテンツブロックを指しているかまでは分かりません。また、そこに表示されている名前を編集することもできません。よって、上図のように多数のコンテンツブロックがある場合は、どこを作業しているか分からなくなってしまい、間違えて配置する可能性が発生しますので、注意して作業をしてください。

あと見逃されがちですが、この機能に付属するコンテンツブロックの複製機能も優れものです。とても素早くコンテンツブロックを複製することが可能でした。


■ Journey Builder 関連

システム最適化ダッシュボードを使用して Journey Builder での作業が最適化できるようになりました。ジャーニーダッシュボードから複数の実行中のジャーニーと下書きのジャーニーを一度に停止できるようになりました。これまでベータ版だった Batch Event API が本番リリースとなりました。

① システム最適化ダッシュボードでジャーニーのパフォーマンスを最適化

こちらの機能は Summer '23 にてベータ版でしたが、いよいよ本番リリースとなります。こちらの機能がリリースされることで、Journey Builder を最大限活用できるように最適化を表示したり、どのジャーニーがパフォーマンスを下げているかを特定し、ベストプラクティスに従った推奨事項を伝えてくれます。また、コマンドセンターにてどのジャーニーを高速化するか低速化するか制御できるようになります。

このジャーニーを高速化・低速化させることができる機能は面白いですね。ちなみに、このシステム最適化ダッシュボードは Journey Builder のタブに表示されます。上の画像を参考にしてください。

権限:Marketing Cloud セットアップで「システム優先度の調整」という新しい権限を有効にします。

このダッシュボードを使用して、戦略を立て、次のようなシステム パフォーマンスの質問に答えることができます。

・影響を与えるどのジャーニーを最適化する必要がありますか?
・このジャーニーの進みが遅いのはなぜですか?
・この移動速度を向上させるにはどうすればよいですか?

但し、おそらくこれら推奨事項を実行しても、必ずしも速度が改善するものではないと思います。例えば、コンテンツ内で AMPscript をどれだけ複雑に実装しているかなども配信速度に大きく影響します。そこら辺までは勘定されないと思います。あくまでベストプラクティスに従いジャーニーの設計をしましょう、というお話かと思います。

② ジャーニーダッシュボードから複数のジャーニーを停止

ジャーニーダッシュボードやバージョンダッシュボードから最大 10 個のジャーニーを選択し、ジャーニーを停止できるようになりました。

この機能は、この記事の前段でも書きましたが、個人的にとても嬉しい機能ですね。私は、とにかくテストジャーニーを数多く作ります。テストが終わったときにダッシュボードの整理のため、実行中のテストジャーニーを停止しておきたいという希望があったのですが、これをまとめて作業できずに 1 つずつジャーニーを開いて停止していたわけですね。これがまとめてできるということですので、非常に時短になり助かります。

追記:2023 年 10 月 12 日
こちらの機能を試しました。既に「停止済み」のものを選択すると「停止」を選択できないようになるので注意して下さい。最大 10 個のジャーニーの最大 50 のバージョンがまとめて停止できます。皆さん、ジャーニーをフォルダで整理していると思いますが、一括で「停止」すると、現在のフォルダから外れて、なぜか「私のジャーニー」の中に入ってしまいます。削除された・・・?と思うかもしれませんが、移動されただけです。軽微なバグかもしれませんので、短時間で改修されるでしょう。この機能を使うことで非常に素早く複数のジャーニーを「停止」することができました。まったく待たされることもありません。

③ Batch Event API により最大 100 件までバルク送信が可能に

連絡先ごとに個別の API リクエストを行うのではなく、API リクエストごとに最大 100 件の連絡先を入力することで、リアルタイムのジャーニーエントリーを大規模にトリガーできるようになりました。

こちらの新機能は Marketing Cloud 開発者にとって注目のリリースになるかと思います。これまで Transactional 送信ジャーニーにおいては、2000 件までのバルク送信が可能でしたが、商用メールにはバルク送信の機能が備わっておらず、1 件ずつ処理をする必要がありました。これが 100 件までは送信可能になるということです。

まだ正式な開発者ドキュメントが公開されていないようですので、公開されたら試してみたいと思います。

以下、試してみたので記事にしました。(2023 年 10 月 26 日追記)


■ Email Studio 関連

① Email Studio のクラシック コンテンツのサポート終了

Email Studio Classic コンテンツは、2023 年 4 月 24 日に廃止されました。Email Studio Classic の機能とドキュメントは削除されました。


■ データ管理関連

Contact Builder のごみ箱を使用して削除されたデータエクステンションを復元できるようになりました。また、データ保持ポリシーが改善されました。

① Contact Builder で削除されたデータエクステンションを復元

削除後 30 日以内であれば、ごみ箱にあるデータエクステンションを復元できるようになりました。

この機能に関しては、まだ詳細が分かりませんが、ここで言う「ごみ箱」は表示上どこにあるのか?と Email Studio 側で削除しても復元の対象になるか?が気になりますね。

追記:2023 年 10 月 14 日
こちらの機能を試しました。発表があったときの疑問点として
・「ごみ箱」はどこにあるのか?
・ Email Studio 側で削除しても復元の対象となるか?

という 2 点がありました。

まず「ごみ箱」は「Recycle Bin」という名前で Email Studio と Contact Builder それぞれのメニューの最後の行にありました。Email Studio 側にも「ごみ箱」自体は用意されていました。ただし Email Studio からは、何が削除されているかを閲覧ができるだけで、削除自体は Contact Builer で行う必要があります。ここがポイントですね。

あと Email Studio 側で削除しても復元の対象となりました。どちらで削除をしても、まったく同じ一覧となります。ただし、上で述べた通り「削除自体は Contact Builder から」というルールになります。

その他の押さえておくべき点は以下です。
・削除の復元期限は 30日以内であること
・復元する際は、どこに復元するかフォルダ選択ができること
・QueryStudioの結果データ(保持ポリシーが 1 日のもの)も含まれること

② データ保持ポリシーに関する改善点

ダッシュボードの表示に 2 列追加されます。1 つ目はどのデータエクステンションにデータ保持ポリシーが設定されているかが表示され、2 つ目はデータエクステンションが削除された日付が表示されます。

また、これまではデータエクステンションの作成後に、データエクステンションに含まれるレコード数が 1 億レコード未満であれば、行ベースの保持またはデータエクステンションベースの保持の期間を更新したり、行ベースの保持を追加したりできましたが、これが 5 億レコードまで拡大されました。


■ Google Analytics 連携関連

① GA4 で作成したオーディエンスをエントリソースとして活用

これまで GA360 を使用している場合は GA360 側で作成されたオーディエンスを Journey Builder のエントリソースとして活用することができましたが、GA4 を使用している場合であっても、GA4 側でオーディエンスを作成することで Journey Builder のエントリソースとして活用することができるということかと思います。

これにより「ある Web ページを見ていた人」などの閲覧放棄のシナリオを簡単に作成できるようになります。

但し、「GA360 Audiences SKU を所有している場合は、GA4 オーディエンスを使用できます。それ以外の場合は GA Audiences SKU を購入できます」とのことで、有償機能になるかと思います。


■ Marketing Cloud アプリ、セットアップ、およびセキュリティ関連

① データエクステンションストレージの詳細のダウンロードが子 BU 向けにも対応

これまで最上位となる Enterprise 2.0 アカウント(親アカウント)の [セットアップ] に移動して [ストレージの詳細のダウンロード] をクリックすることで、詳細のダウンロードができましたが、子BU においてもできるようになりました、というお話です。

このデータエクステンションストレージの詳細のダウンロードは非常に便利な機能で、例えば、現在作成済みのデータエクステンションの全リストを作成したいという場合は、このリストを一度ダウンロードして、そこからリストを作成開始すると、割りと簡単にリストが作成できます。私も検収用の資料を作成する際に早速使わせてもらっています。

② STO アクティビティや属性グループもパッケージ可能に

パッケージマネージャーにおいて、STO アクティビティや属性グループもパッケージ化してデプロイすることが可能になりました。この機能は除々にパッケージできるものが増えていますね。


いかがでしたでしょうか?

今回のリリースは 2023 年 10 月 7 日から 10 月 27 日の間にリリースされます。この記事を発表した現時点では、まだ機能がリリースされていませんのでご注意ください。

また、今後 Salesforce 主催での新機能リリース説明会も開催されると思いますので、そちらも開催されたらしっかりとキャッチアップして補足して行きたいと思います。

今回は以上です。


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