代わりになってよ

『どこにも行けない君の代わりに僕が見たものぜんぶ見せてあげるよ』
北のいくらとほたて、海牡蠣くらげシーグラス、山木と雷鳴熊の気配、お耳をつけた大行列、うどん、ラフテー海ぶどうジーマミ豆腐、パンケーキ苺のタルトデカフェのコーヒー、とろけるあまいあまいチョコレート、空太陽闇とねぇ海と音、風。
しあわせになる為に息をする覚悟ができずに火をつける。緩やかに選んでいく。野菜屑が腐るシンクにドライアイスを素手で投げ込む。痛い、安易に冷たいもので自ら火傷しては泣き喚く。倒れる隙間もないぐらい散らかった部屋でジャンプは萌えるゴミ、私を分類して回収して燃やして、フック伏線引っ掻かれ生傷恍惚、イキそな汚な好き、愛して愛して、下らないほど激るもんで、デフォとデフォルメ、逃げてる、後生大事に瞬きで過去になる今をいまだけ現実を抱き抱えて、熟女のライン怠惰で彩る強欲の極み、目を閉じたまま味わって、本当に気づかないフリをしてよ。
涙の訳は変わらないままだよ、ひっくり返されて背中叩かれてやっと挙げた声と未だ同じ高さのまま、血を赤くする為に吐き切る、生きたい行きたい逝きたい、きもちくさしてぇな、頭真っ白に空っぽになるぐらいに深く浅く全開放のその先を、願わくば共に、交わらない過去と拘りをかざしたまま、自分でしかないまま、尊大な勘違いと我儘な誤解を恐れながら解釈して介錯して、やり取って断ち切って、私たちだけになって、孤独色の賢者タイムに吹き出した汗と茹だる脳と痛いのみぞおち、苦しくて楽しくて笑いが止まんないんだって、もっともっとでほっとでもっとで豚汁と唐揚げたいんよ、焼肉海苔とか肋骨軋むほどに食べないと夜しか眠れないんよ、で、君の名は?前前前世から振り合ってきたよね、二の腕、脂肪が死亡で精子が生死とかがちヤバない?爆音じゃなきゃ神を失くさなきゃプロテインシェイカー、振って嫌って憎んで忘れて私を無にして、それでも生きてく君を諦めさせて絶望させて。
『で?』
澄んだ目のまま問われて。
『君がいま見てるものを教えてよ、僕はずっと僕が見たぜんぶを君に送ってきたよ?君はずっと何をしてたの?何を見てたの?
てか、君は誰なの?』
同じ音楽を聴いてた、私の辿々しい感じたことを吐息のよに吐き出しては君がそれを言語化して体系づけてくれて、MVのこの表現が鳥肌並に好きとか、つうか井口のスーパーマンとちいかわの人形の煮付けの話しかしたないんよね、って。
LUSHのバスボムを入れた浴槽にスマホを投げた。
ありがとね。
しあわせになってね。
ごめぇん。
ぜんぶお湯の泡やわ。
ばちぼこいいにおいと色のお湯に泡やわ。
で、誰なん?
俺も君も。誰の代わりなん?
誰の理想で、誰の夢で、てか俺たちなんだったん?

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