文化祭で「ニアの店」に出資してもらう夢

私たちのクラスの文化祭の出資者は、「ニアの店」を経営するご夫婦だった。この学校では、文化祭をするのに自分たちで出資者を募らなければならない。

「ニアの店」のご夫婦は、英国紳士と英国淑女のような風貌の、上品で華やかな二人であった。
夫婦には一人息子がいて、彼はかの有名な「不思議の国のアリス」に出てくるマッドハッターである。

「ニアの店」はカラフルでごちゃごちゃしていた。そして、そこに置いてあるもの一つ一つが大切にされていた。
店ではマッドハッターが紅茶飲みながらいつも感じよく出迎えてくれる。

文化祭は8月初旬だが、私たちのクラスは6月末まで出資者が見つからなかった。学校には出資者に詳しい先生がいた。その先生が見かねて助け舟を出してくれ、出資者と繋いでくれたのだ。

しかしそれがまさか「ニアの店」のご夫婦とは思わなかった。クラスの文化祭実行委員の二人は、ずっと「ニアの店」のファンだったのである。
実行委員の二人が店に挨拶に行った時、マッドハッターと記念写真を撮ったらしい。その写真を見せてもらった。

私は二人に、本当に良かったね、と言った。二人はいつもクラスの中心になって頑張っていたから、そういう人たちのところには、思いがけずご褒美があるんだよなぁ、と思った。

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