二つの教会の夢

そこは雪と氷の世界であった。
天気は曇っていたけれど、雪と氷でできた真っ白な地面がわずかな太陽の光も跳ね返すので、曇り空の割に明るかった。
私たちは、そんな真っ白い地域のとある村へ、教会を見にきたのだった。その村にはもう人は住んでいない。観光地として教会だけが維持されている。

教会は村の入り口に二つ建っていた。
一つは木造の小さな教会で、村に入ってすぐ右手にある。木の温もりが優しい、可愛らしい教会だった。私たちはその教会の入り口で写真を撮った。
もう一つは真っ白い大きな教会で、村に入ったところの正面に堂々とそびえ立っている。広さは木造の教会と同じくらいだが、もの凄く高い。300メートル以上あるだろう。中は吹き抜けで、窓や祭壇や椅子やあらゆるものが氷でできていた。

そんな雪と氷の世界を象徴するような、壮大な美しさに見とれていると、どこからかミサが聞こえてきた。木造の教会から聞こえてくる。ミサをやるのは木造の小さな教会だけだ。真っ白な大きな教会ではやらないらしい。


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