獅子なムカデと猿の夢

虫の描写が出てくるので苦手な方はご注意ください。

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高校の教室で、前の戸から入ってすぐにある流しで、ゴム手袋をして弁当箱を洗っていた。そのお弁当箱は仕切りの箱が沢山あり、ただでさえ手間のかかるお弁当箱の洗い物を、より一層面倒なものにしていた。

そこへ弁当箱の持ち主である友達がやってきた。
「これ、〇〇ちゃんのだよね。部品多くない?」と言うと「そうなの、ごめんね」と言った。

細々とした仕切りの箱やら箸入れやら箸やら蓋やらパッキンやらを洗った後、本体の箱を洗おうと、ゴム手袋に泡のついた手を伸ばすと、その箱の中に何かの串揚げとイカの天ぷらが残っていた。
捨てていいものと思い、串揚げの串の部分をつまみあげると、友達が「あ、それ帰ったら食べるから残しておいて」と言った。私は「ごめん、泡のついた手で触っちゃった」と謝った。

泡がついたのは串の部分だけだから大丈夫かな、と思い、ふと天ぷらの方を見ると、天ぷらに白いイモムシがついていた。最初は小さいと思っていたイモムシは、収縮して這う毎にだんだんと大きくなっていった。

友達が、イモムシの頭から1/3あたりの部分を持っていたヘラで潰した。すると、そこから節ができ、イモムシは真っ黒な数珠のようなムカデになった。切り離した頭の方も胴体の方もまだ動いていた。友達は、今度はその胴体の方の真ん中あたりをヘラで切り離した。切り離す度にムカデは大きくなり、全長1mを思わせるほどの大きさになっていた。

切り離した頭の方が暴れ出し、数珠のような体を床に叩きつけながら教室の窓の方へ向かっていった。窓からベランダへ出ようとしているようだった。でも窓は閉まっていたので、ムカデは頭から窓に激突してしまった。

気がつくと、ムカデの頭が獅子のような動物の顔に変わり、前足がついていた。獅子のような上半身を持ったムカデは、そのまま窓際を教室の前から後ろへ向かっていった。

私は獅子なムカデの行く先に先回りしていたので、教室の後ろ方の窓を開けた。窓は二重構造で重かったが、なんとか獅子なムカデが来る前に開けることができた。

そのベランダは、向こうの校舎への渡り廊下と続いていた。窓から外に出た獅子なムカデは、一度こちらを振り向いて一声吠えると、颯爽と向こうの校舎へ去っていった。

やれやれ、と思い窓を閉めると、窓の外に猿が来た。体調は30cmくらいで、尻尾が長くて、丸くて、毛足の長い灰色の毛むくじゃらの体にオランウータンの子どものような顔がついていた。首をかしげて「キュルッ」と愛嬌たっぷりに鳴いていて、中に入れて欲しそうに見えた。
可愛かったが、何か嫌な予感がしたので無視した。

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