【誹謗中傷】書き込みを削除する

送信防止措置依頼書を送付する


送信防止措置とは、削除のことです。
国内のプロバイダが管理しているサイトならば、そのプロバイダに削除依頼をすることになります。
大抵はサイトの下にお問い合わせ窓口と言うものがありますから、そこから依頼します。
もしわからなければ、『○○(プロバイダ名) お問い合わせ』とか、『○○(プロバイダ名) 会社概要』とか検索すれば、代表者名から住所、電話番号、メールアドレスなどが出ています。

それで反応がない場合には、送信防止措置依頼書というものを書いて、プロバイダに送付します。

送信防止というのは、削除のことです。

この送信防止措置依頼書は、プロバイダ責任制限法に基づく法的手続きの一種であるため、削除の可能性が高くなります。

名誉毀損やプライバシー侵害などが発生し、『情報の流通によって他人の権利が不当に侵害されていると信じるに足りる相当の理由』があれば、プロバイダは削除する義務が生ずるのです。

第一条 この法律は、特定電気通信による情報の流通によって権利の侵害があった場合について、特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示を請求する権利について定めるとともに、発信者情報開示命令事件に関する裁判手続に関し必要な事項を定めるものとする。

https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=413AC0000000137

名誉毀損やプライバシーの侵害などであれば、個人の申し出でも、プロバイダに送信防止措置依頼書が届いてから、1週間程度で削除されるようです。

送信防止措置依頼書はこちらからダウンロードできます。

https://www.moj.go.jp/content/001243953.pdf

上から見ていきます。

まずは日付を記入します。

●至 [特定電気通信役務提供者の名称]御中
[特定電気通信役務提供者の名称]のところはプロバイダの正式名称。

●[権利を侵害されたと主張する者]
住所氏名などを記入。

枠内です。
●掲載されている場所
問題の書き込みがなされてたサイトのURL
掲示板の名称(スレッド名)
掲示板内の書き込んである場所(レスNo.)
ID・投稿番号
日付
書き込みに、画像などが添付してあれば、そのファイル名(リンク)

●掲載されている情報
実際の書き込み内容を記入します。コピペで構いません。

もし、情報が長くなり、枠内に収まらないようであれば、「詳細は添付資料にて」と書いて、別に、スクリーンショットやページを印刷したものを同封しましょう。

●侵害されたとする権利
『名誉毀損』(または、『プライバシーの侵害』)

●権利が侵害されたとする理由(被害の状況など)
(例)
レスNo.○における書き込みは、○○が○○している事実を摘示するものである。
上記の事実は、名誉権を侵害し、社会的評価を著しく下げる行為であり、当該書き込みにより、精神的苦痛を被り、近隣住民や友人知人との人間関係が崩れ、今後の活動に悪影響を及ぼすものである。

名誉毀損では伝搬可能性も重視されていますから、『本件投稿はインターネットで常に公開されており、時間の経過により、閲覧される機会が増え、人格権侵害の被害が拡大するものです』という書き方もあります。

●発信者へ氏名を開示して差し支えない場合は、左欄に○を記入してください。
空欄でも結構かと思います。

※注意
送信防止措置依頼書は正式書類ですので修正液は使用できません。
もし間違えた場合は、二重線を引いて押印して訂正しましょう。
一から書き直してもよいと思います。

書類を書いたら次のものも同封します。

●請求者の権利が侵害されていることを示す資料
スクリーンショットなど
●本人確認資料
身分証のコピー
●印鑑登録証明書
役所で発行してもらいます。登録していない場合、印鑑証明の登録をしなくてはなりませんので、印鑑持参で『印鑑登録』してからになります。役所に出向いて、『印鑑登録したいのですが』と言えば通じます。

すべてまとめたら、普通郵便ではなく、特定記録郵便や簡易書留で送付します。

プロバイダが削除相当に該当すると認めれば到着から1週間程度で削除されます。

参考
名誉毀損以外の権利侵害の書式はこちらから。

https://www.isplaw.jp/vc-files/isplaw/p_form.pdf



とはいえ、送信防止措置依頼書を送付できる管理者、会社ならば苦労はありません。
問題の多くは、海外のサイトでしょうから、送付先を公開していないところがほとんどです。
5chなどは、送信防止措置依頼書の送付先を弁護士にしか知らせていないんですよ。

twitter

ここから『Xおよびセンシティブなコンテンツを安全に使用する』に進み、『あるアカウントが私またはほかのアカウントに嫌がらせをしています』を選び、あとはフォームに沿ってX社に通報します。

ここから進んでもいいかもしれません。

Instagram

Instagramは有益で多様性のあるコミュニティの育成を目指しています。明らかな脅迫やヘイトスピーチ、個人の誹謗や名誉毀損を意図したコンテンツ、脅迫や嫌がらせとして公開した個人情報、繰り返し発信される迷惑メッセージは削除されます。

https://help.instagram.com/477434105621119

匿名掲示板の削除フォームはVPNアプリを使いましょう

続いて、匿名掲示板の削除方法になりますが、5chや2ch.scの削除フォームを使用すると、削除板にそのまま表示されますが、ホスト名も出てしまいます。
これは、webサーバの名前やIPアドレスのことでして、これがわかったからと言って、個人情報が特定できるわけではありませんが、プロバイダやだいたいの地域がわかることもあります。

そこで、VPNという技術を使いましょう。

VPNというのは、簡単に言いますと、仮想のネットワークでして、実際のネットワークの間に、この仮想の部分を経由して情報を送ることで、送信者側のwebサーバやIPアドレスが相手側にはわからなくなるというものです。

VPNはフリーwifiを使う際などにもセキュリティ上安全になりやすくなるため、推奨されています。

使い方は難しいものではありません。
ほとんどインストールし、会員登録するだけです。

有料のものなら安心できますが、無料のものもいくつかあります。

iPhoneやMacでしたらこちらがおすすめです。
月間2GBまでなら無料プランで使用可能です。

https://www.tunnelbear.com/apps/mac

Windowsでしたらこちらが比較的安全と言われています。
個人的にも使ったことがあります。

5ch

5ちゃんねる削除体制

まずは、5ちゃんねる削除体制を確認します。

5chの場合は、当事者であればメールで申請ができますし、当事者以外でも、 削除要請@5ch掲示板にフォームから書き込むことで削除してもらえます。

まずはメールでの申請方法です。

こちらにあるメールアドレスから申請します。

meiyokison@5ch.net

【件名】 削除申し立て
【内容】 URL
     レス番号
     削除理由
     理由を根拠付ける資料があれば添付
     本人確認のための資料

名誉権を侵害しているのですから、削除理由は次のように書きます。

【削除判断基準】の1.名誉
『個人ないし法人の社会的評価を低下させる事実を摘示するもの。』に該当するため。

プライバシーの侵害ならば次のように書きます。
【削除判断基準】の2.プライバシー
『人の名前(イニシャル等であっても、個人の特定)、住所、家族の名前、電話番号等の組み合わせで、個人のプライバシーを侵害していると判断できるもの。』に該当するため。

次に削除要請板の申請方法です。こちらは、削除版で依頼内容が公開されます。メールアドレスは公開されませんが名前は公開されますので、ニックネームや削除要請などにしましょう。

このページの下にフォームがあります。

●名前は仮名(ニックネーム)でもいいようです。
●メール欄に記入します。
●法人名/団体名は、個人なら空欄で良いと思います。
●対象区分は、個人・三種にチェックを入れます。

●掲示板アドレス
削除要請板のアドレスです。
https://ace.5ch.net/saku2ch/index2.html
●削除対象アドレス
問題のスレッドのURLを貼り付けます。
●削除理由・その他
レスNo.○○
ガイドライン1.名誉に該当

削除理由は公開されるということもあり、シンプルに書けば良いようです。

削除要請板は当事者以外でも申請できる、いわゆる通報の機能を果たしているようです。
むしろメールよりも削除要請板に書き込んだ方が早いくらいではないでしょうか。

5chの場合は、2週間を目途に削除されるようです。

2週間待って削除されないようでしたら、再送の旨を明記してメールを送るか、長期未処理[レス依頼]報告板に書きこみ、催促します。

2ch.sc

2ch.scは、メールでの依頼より先に、削除依頼フォームで受け付けています。
削除ガイドラインを読みます。

読んだら削除依頼をします。

削除依頼の入り口@2ch掲示板

削除要請板の方ですね。

下の方にフォームがあります。

●削除の区分
個人・三種
●お名前
本名でなくて構いません。仮名(ニックネーム)か、『削除要請』とかでよろしいかと思います。
●掲示板
板名もしくはディレクトリを入力します。スレッド名やURLではありません。
例)http://sweet.2ch.sc/test/read.cgi/laplace/1400489501/1の場合は、"広場” もしくは “laplace” と入力します。“laplace” は、後ろの数字の前の部分ですね。

すると、次の画面になります。

●削除対象URL
 例:http://sweet.2ch.sc/test/read.cgi/laplace/1400489501/3

対象URLの次に『/』をつけ、該当のレス番号を付けます。
 ※ スレッドタイトルを削除対象とする場合は、レス番号1を最後に付けます。
 例:http://sweet.2ch.sc/test/read.cgi/laplace/1400489501/1
●依頼の理由 :
削除ガイドライン1.個人の取り扱い 削除対象 誹謗中傷 三種に該当
個人を特定する氏名を明示のうえ、虚偽の内容にて誹謗中傷をしている。


掲示板の所にURLの中のディレクトリの部分を入力するのがポイントですね。

2週間ほど待っても削除されない場合は、メールで要請します。

その他の注意と重要なお知らせ
ただし、依頼が2週間以上、削除も返答も却下もされていない場合に限り、専用メールに削除依頼のURLアドレスを添えてご連絡ください。

https://macaron.2ch.sc/saku2/index2.html

『専用メール』をクリックするとsaku@2ch.sc宛のメールが開きます。

(例)

【件名】 削除申し立て
【内容】 
お世話になります。
○○と申します。

○月○日に、削除依頼フォームにより、削除要請板宛の削除依頼をしましたが、いまだに削除されていないようですので、メールにて依頼させていただきます。

該当スレッド: スレッドのタイトル
該当スレッドURL:
レス番号:
削除理由:当該レスに書かれている内容は、御社が定める削除ガイドライン「1. 個人の取り扱い三種、削除対象誹謗中傷三種:個人を完全に特定する情報を伴っているものは削除対象です。」に該当します。
理由を根拠付ける資料があれば添付:

お忙しいとは存じますが、よろしくお願い申し上げます。

本人確認資料は提示を求められてからでいいかと思います。

2ch.scの問題点

まず、削除フォームの掲示板を入力するところですが、普通でしたら、スレッドの名称を入れるものと思いますが、ディレクトリ名を入れるところです。以下に書いてあるのですが、5chに比べるとわかりづらいところです。

2ch.scの場合は、いきなりメールではなく、まずは削除板にフォームから出さないと対処してもらえないようです。

削除してもらえない場合、弁護士に依頼して、裁判所の仮処分と言うことになりますが、2ch.scの場合は、どのみち削除板に書き込む必要があります。

先ほどのフォームの『削除の区分』を『判決/命令』を選択し、『依頼の理由 』に『削除仮処分決定』と記入することになります。
そして、削除仮処分決定の書類をPDF形式で国内サーバーにアップし、そのリンクを貼り付けます。
その際にアップロードするPDFは、住所部分は伏せて構わないこととなっていますので、必ず黒塗りしてからアップロードしましょう。
そして、削除を確認したら、すぐにリンクを消しましょう。

どのみち、削除要請板に依頼するほかないということになります。

2ch.scの場合は、仮処分決定であっても削除板に乗せる必要があるという問題がありますが、仮処分なら確実に削除できるようです。

5chは大抵、フォームなりメールなりですぐに消してくれますが、2ch.scは似て非なるもののようです。

爆サイ

爆サイもまた、利用規約を読むことから始めます。

第3条【禁止事項】
他人の名誉、社会的信用、プライバシー、肖像権、パブリシティ権、著作権その他の知的財産権、その他の権利を侵害する行為(法令で定めたもの及び判例上認められたもの全てを含む)

https://bakusai.com/rule/

こちらに該当する書き込みであれば削除対象になります。

問題のある書き込みのスレッドの一番下に『削除依頼』のボタンがあります。

爆サイの場合、会員登録しないと受けつけないので、まずは会員登録をします。

googleやtwitterのアカウントでも会員登録できるようです。

会員登録をした後に、改めて『削除依頼』のボタンを押すと、削除依頼フォームになりますので、必要事項を入力します。

『スレッドNo.』と、『スレッドタイトル』は自動で入力されます。

●レス番号
●通報区分
名誉毀損やプライバシー侵害の場合は、『その他』を選択します。
●お名前(任意)
空欄でも仮名でも削除依頼でもよろしいかと思います。
●メールアドレス
●削除依頼理由
お世話になります。
当該レスに書かれている内容は、御社が定める利用規約第3条1項5号の禁止事項である「他人の名誉、社会的信用、プライバシーを侵害する行為」、及び同条同項6号の「本名の記載」に該当します。
当該書き込みにより、精神的苦痛を被り、近隣住民や友人知人との人間関係が崩れ、今後の活動に影響を生じさせる怖れもあります。
上記理由により迅速な削除対応をお願い致します。

又は、シンプルに、『当該レスに書かれている内容は、御社が定める利用規約第3条1項5号の禁止事項である「他人の名誉、社会的信用、プライバシーを侵害する行為」、及び同条同項6号の「本名の記載」に該当するため』でもよろしいかと思います。

更にこういう書き方もあります。

レスNo.○における書き込みは、○○が○○している事実を摘示するものです。

当該レスに書かれている内容は、虚偽によるものであり、公共の利害に関する事実でもなく、公益を図る目的でもなく、名誉権を違法に侵害し、社会的評価を著しく低下させる事実を摘示するものです。

当該書き込みにより、次のような被害が生じています。
他の掲示板にも転載された。
からかい、嫌がらせの電話やメッセージが10件以上届いたことにより、電話番号を変えた。
SNSのアカウントに誹謗中傷のレスが20件以上書き込まれ、投稿をすべて消した。
地域性のあるスレであるため、実際の人間関係にも悪影響が生じ、日々、ネットをチェックし続け、精神的負担が続いている。

本件投稿はインターネットで常に公開されており、時間の経過により、閲覧される機会が増え、人格権侵害の被害、さらに著しい損害又は急迫の危険が拡大するものです。

また、爆サイ利用規約の「第3条【禁止事項】他人の名誉、社会的信用、プライバシーその他の権利を侵害する行為(法令で定めたもの及び判例上認められたもの全てを含む)にも違反していますので、削除をしていただけるようお願い申し上げます。

箇条書きもあり得るかもしれません。

・当該レスに書かれている内容は、虚偽によるものであり、公共の利害に関する事実でもなく、公益を図る目的でもなく、名誉権を違法に侵害し、社会的評価を著しく低下させる事実を摘示する。
・当該書き込みにより、からかい、嫌がらせの電話やメッセージが〇件以上届いたため電話番号を変えたり、SNSのアカウントに誹謗中傷のレスが〇件以上書き込まれたなどの二次被害が生じている。
・実際の人間関係にも悪影響が生じ、日々、ネットをチェックし続け、精神的負担が続いている。
・該当の投稿はインターネットで常に公開されており、時間の経過により、閲覧される機会が増え、人格権侵害の被害、さらに著しい損害又は急迫の危険が拡大するおそれがある。

上記理由により削除対応をお願いします。

爆サイの場合は、5chや2chの削除板と違って、最小限ではなく、丁寧に書いた方が依頼が通ると思います。

ちなみに、スレッドを丸ごとを削除したい場合、削除依頼フォームのレス番号に『0』と入力します。削除の難易度が高くなるだけですのであまりお勧めしません。

削除されるかどうかは、72時間を目途に決められることになっています。
72時間たって何もなければ再送してもいいでしょう。
しかし、混雑している場合などは2週間程度かかる場合もあるようです。

削除フォームとは別に弁護士・法務関連の申告窓口もあります。

送信防止措置依頼書を送付するための窓口です。
一見、弁護士でないと送付できないように見えますが、本人なら可能なはずです。
STEP1の『送信防止措置依頼』をタップします。

削除の場合は、『送信防止請求』ですが、開示請求も同時にできます。

『事務所名』は、『本人』と書けばよいかと思います。
そうすると、送信防止措置依頼書の送付先の住所が知らされるそうです。

送信防止措置依頼書を送付する際には、身分証のコピーも必要になります。
ただ、よくわからない、個人情報保護方針もない会社に身分証のコピーを送るのはためらいますね。


削除依頼をしても応答がない場合は、公的な相談窓口を利用したり、削除要請をしてもらいましょう。

総務省の人権相談窓口(インターネット申し込み)

https://www.moj.go.jp/JINKEN/jinken113.html

誹謗中傷ホットライン

掲示板の書き込みを削除した後は、googleの検索結果を削除すべきだと思いますので、こちらをご参考ください。

爆サイの問題は、ローカル版と言うところにあります。
つまり、地域が限定される事によって、書き込みの伝播性が高まるということです。

しかし一方では、よりその誹謗中傷の『同定可能性』が認められやすくもなります。

『同定可能性』というのは、書き込みされた人物が現実の誰であるのかがその書き込みによって知れるということでして、名誉権やプライバシー権などの個人の尊厳に基づく人格権が侵害されたと主張するには、『同定可能性』も必要となります。

要は、すでに知っている人間以外には、よほどのことがない限り、その誹謗中傷が誰だかわからないような場合は、人格権の侵害にはなりません。
例えば、何の所属も推察されないような状況で、イニシャルのみであるとか、完全に伏字だけであるとかです。

それを知らない者にとっては同定可能性がなくても、書き込まれた人のことを知っている人間からすれば、それを同定可能なら、権利侵害が認められる可能性があるとされています(最高裁平成14年9月24日)。

爆サイについては、批判避けで削除フォームを設定しているかもしれませんというくらい、削除基準がわかりません。
弁護士でないと削除されるのは稀なようです。

画像削除

匿名掲示板にアップロードされる画像は、imgurというサービスを利用していますので、画像の削除はこちらから行いましょう。


最初の枠にリンクを張ります。
月理の枠に権利侵害の内容を英語で書きます。
プライバシーの侵害、個人情報であれば、This image containing personal information is posted without permissin.
名誉毀損であれば、This image is defamatory. Not even real.


本人訴訟のやり方

どの掲示板であっても、裁判所の仮処分の命令には従い、削除するようです。

通常の裁判手続きは時間がかかりますが、削除においてはそんなことも言っていられないので迅速な対応が求められます。
そこで、仮の処分命令と言うことで、仮処分と言うことになります。
簡単に言うと、仮処分の命令が出た段階で、いわゆる勝訴と同じ効力があります。
もしそれに従わなければ、行政の強制執行となりますから、まず従うものとみて間違いはないでしょう。

仮処分による削除は、次の順番で進みます。

  1. 申立書提出

  2. 審尋(しんじん)

  3. 立担保(たてたんぽ)

  4. 仮処分命令の発令

まずはサイト運営者を相手方として、裁判所に証拠資料を添えて「申立書」を提出します。

サイトの管理者が誰であるかを示す書面については、WHOISの検索結果を出す必要があるようです。

申立書には、どこの掲示板のどんな書き込みがどのような権利を侵害して、それを放置しておくとどのような被害が生ずるのかなどを記入します。
証拠資料には、該当の書き込みを印刷したもの、更に被害状況(当該書き込みの影響によるものと思われる他の書き込みや、嫌がらせやからかいのメッセージなど)がわかるものがあればそれも印刷して提出します。
裁判官に『確からしい』という推測を生じさせることを『疎明(そめい)』といいますが、名誉毀損の場合は、通常の裁判で求められる「証明」よりも確信の低い程度の「疎明(一応確かと認められる)」で良いとされていますので、印刷で十分とされています。動画サイトならば、その動画を撮影したものとなります。
その際、URLが印刷されたものにしましょう。

  • 書き込みがわかる印刷物

  • 違法であることを証明する書面

  • WHOISの検索結果

原告側の提出書証を「甲号証」と呼びます。付される番号と相まって、書証を特定するために付されます。
例)甲第1号証、甲第2号証

書き込みの内容が、名誉権を侵害する事実を適示するものであること、同時にその違法性を申立書に記入します。

申立書類を提出すると、その場で裁判所書記官による形式審査が行われます。

違法性が認められない、つまり適法とされるのは、その行為が公共の利害に関する事実に係り、もっぱら公益を図る目的でなされ、適示された重要な部分の内容が真実であるときであるとされています。

海外法人の場合が多いですから、申立書を翻訳したものも用意しておきましょう。


次に「審尋」が開かれます。裁判所に赴き、申立書を提出した後、原則として、午前中に受付手続が終了した場合は当日もしくは、翌日以降に、午後に受付手続が終了した場合は翌々日以降、裁判官との面談となります。

こちらに案内があります。保全命令とは民事保全法の仮処分手続の民事保全命令の略で、 裁判が終了するまでの間、権利が実現できるようにするために裁判所が出す命令です。

審尋とは、裁判官が当事者・利害関係者(サイト管理者など)から口頭や書面で陳述する機会を与えることで、それぞれの言い分や証拠をもとに仮処分の可否を決めます。
一般的な裁判のイメージと違い、当事者が公開法廷の場で口頭弁論をするものとは違い、債権者(仮処分命令の申立てをする者)と債務者(サイト運営者)がそれぞれ別々に裁判官と面談をするようです。
大抵は一度で済みますし、匿名掲示板やSNSの運営法人は海外法人ですので、サイト運営者が立ち会うことはないようです。


仮処分が認められるための要件は、民事保全法によって定められています。

第13条(申立て及び疎明)
1.保全命令の申立ては、その趣旨並びに保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性を明らかにして、これをしなければならない。
2.保全すべき権利又は権利関係及び保全の必要性は、疎明しなければならない。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E4%BA%8B%E4%BF%9D%E5%85%A8%E6%B3%95%E7%AC%AC13%E6%9D%A1

仮処分をするには、『被保全権利』と、『保全の必要性』満たす必要があります。

民事保全法第23条  
1.係争物に関する仮処分命令は、その現状の変更により、債権者が権利を実行することができなくなるおそれがあるとき、又は権利を実行するのに著しい困難を生ずるおそれがあるときに発することができる。
2.仮の地位を定める仮処分命令は、争いがある権利関係について債権者に生ずる著しい損害又は急迫の危険を避けるためこれを必要とするときに発することができる。

https://ja.wikibooks.org/wiki/%E6%B0%91%E4%BA%8B%E4%BF%9D%E5%85%A8%E6%B3%95%E7%AC%AC23%E6%9D%A1

民事保全法第23条第2項です。名誉毀損などの誹謗中傷の投稿は『著しい損害又は急迫の危険』に当たります。

被保全権利は、守られるべき権利のことで、名誉毀損などにより、どのような権利が侵害されているのかを明確にする必要があります。
名誉毀損ならば、『名誉権』です。
仮に書き込みが嘘ではないとしても、公表されることによって、名誉権が侵害されますから、被保全権利の存在は認められるでしょう。
これは、送信防止措置依頼書などでも同じですね。

保全の必要性とは、権利侵害状態を仮処分で迅速に解消する必要があるということです。
ネットの書き込みは、公開されているわけですから、放置しておけば、被害が拡大する恐れがあります。仮処分によって更なる損害や危険を避けることができると、裁判所に認めせなくてはなりません。

審尋を経て、裁判所が被保全権利及び保全の必要性を両方とも認め削除の仮処分命令を発令すべきと判断したら、申立人は法務局に担保金を供託することになります(民事保全法14条1項)。これを「立担保」といいます。
法務省に赴き、あらかじめ供託申請書を用意しておくのが良いでしょう。

担保金の額には幅がありますが、一般的には30万前後が相場らしいです。

万が一、仮処分命令が間違っていた場合に備えて、担保を供託するわけですが、もう担保を取る必要がないと認められれば、手続き後、返還されます。

期日までに担保金を法務局に供託し、供供託が完了したら、託証書が発行されます。これを裁判所に提出(提出するのは写しで、正本は提示するのみ)することで、仮処分による削除命令を出してもらえます。
他に、当事者目録・発信者情報目録・投稿記事目録等:各3枚、決定正本送達用郵便切手:当事者1名につき1,099円も提出します。

午前11時までに供託書の写しや目録・郵便切手を提出すれば、当日の午後4時に投稿記事を削除するよう仮処分命令が発令されます。11時を過ぎた場合は、翌営業日の午後4時に発令されますので正本を受け取ります。

これをPDF化し、サイトの管理者にメールで送ったり、2ch.scのように、適当なサーバーに上げた後に、削除フォームで申請します。
この際、公開さ内容が公開されますから、住所は黒く塗って良いとされています。
削除を確認したら、速やかに、サーバーから仮処分命令のファイルを消去しましょう

おおよそ、申し立てから、仮処分命令が出されるまで1~2か月かかるようです。

これで従わない場合は、強制執行(民事保全法52条)となりますが、これは自動的に行われるものではなく、また申し立てが必要になります。

参考

書式

ちなみに、弁護士の方によっては、依頼するのと同額の費用を払えば、本人訴訟のアドバイスをいただけるところもあるようです。
『自分でやりたい』という勉強熱心な方もいらっしゃるでしょうから。

弁護士に依頼する場合

まず、改めて他の掲示板もチェックし、他に問題のある書き込みがないかを確認してから依頼をしましょう。

削除されない場合、弁護士に依頼することになるのでしょうが、通常は、先ほどご説明した送信防止措置請求となりますが、この措置は、実は任意と言うことになります。
弁護士に依頼すれば可能性は高まりますが、従わない場合もあるということです。
その場合、弁護士の実績や費用を見てからの依頼となるでしょう。
弁護士費用については、着手金と、成功報酬があります。
着手金だけで成功報酬を取らない場合もありますし、その逆もあります。
一概にどちらが良いとは言えないところです。

確実に削除してもらいたい場合は、削除依頼を依頼するのではなく、初めから削除の仮処分を依頼するという手段もあります。

仮処分と言うのは、通常の裁判は時間も費用も掛かりますから、比較的簡易な手続きで迅速に裁判所から、掲示板の管理者に対して削除措置の命令が下されることを指します。
仮処分にはどこの掲示板の管理者も従うようです。

仮処分依頼となると弁護士費用も嵩(かさ)みますが、確実な手段と言えるでしょう。

費用参考

自分で調べてみて思いましたが、お金に余裕があるのなら、弁護士の方に依頼するのが良いと思います。
特に、ITやインターネットに関する知識や経験が豊富な方に依頼するといいと思います。

以上、削除方法をまとめました。


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