ラス・メニーナスが名画である理由
ども美術史家になりたいおのでらです!
今回は前回のカラヴァッジョに引き続きバロック期に活躍したスペインの天才画家ディエゴ・ベラスケスの代表作、ラス・メニーナスについて解説していきます
ラトゥールでも良かったけどラス・メニーナスの凄さをいち早く知ってほしいなという気持ちが強かったもんで
こちらがベラスケスの『ラス・メニーナス(女官たち)』たちという絵画で1656年頃に制作されました
みんな大好きカラヴァッジョ先輩が死んでから40年後くらいです
もうこの絵は名画中の名画で知れば知るほど驚いちゃう絵です
この絵はベラスケスが宮廷画家として勤めるハプスブルク家のフェリペ4世に王女マルガリータを主役とした自分たちの絵を描いて欲しいという依頼の元に制作され、左の画家はベラスケス自身となっています
また、このハプスブルク家ですが、美術史によく登場する王の一族なんですが、なんと近親交配の末に滅びてしまうちょっとヤバいやつらでもあります
ハプスブルク家についてもいずれnoteで詳しく解説したいですね
さて、本題に戻るとしてこのフェリペ4世さんこの依頼でベラスケスにかなりの難題を与えているんですね
でもそこは流石のベラスケス、この難題をうまく利用してとんでもない絵に仕上げてしまいます
凄さ①荒いけど正確なタッチ
さて、ではこの絵の凄さに迫ります
まずこの絵のすごさは荒いけど正確な筆致です!
この画材からもわかるように、主役のマルガリータ王女のドレスはかなりササッと描いています
そんなササッと描いてるのにちゃんとドレスの質感が出ちゃってるんですねぇ🫢
マネもこのベラスケスのタッチには影響を受けこのタッチを真似しています (マネだけに🤛
凄さ②明暗対比のうまさ
次にこの絵のすごいところは明暗の扱いです
右側の窓から光が伸びているのがわからと思いますが、その光にマルガリータ王女だけが顔を向けているんですよね
そのことによってマルガリータがすごく目立つようになっているんですよね
そしてこの部屋の奥側に注目してみると何やら小さな入り口に人がいるのがわかります
この奥の部屋の暗い中に明るい入り口を置くことで奥にも空間があることを想像させちゃうんですね
凄さ③ 絵の構図part1 観客巻き込み型
そしてラスメニーナスといえばこの構図が全てといっても過言ではありません
フェリペ4世はベラスケスに自分と自分の奥さんのことは年老いているため目立たせないように小さく描いてほしいと希望していました
みなさんはフェリペ4世夫妻がこの絵のどこにいるかわかりますか?
この絵の中央部に注目してください、鏡に人が2人いるのがわかるでしょうか
実はこの2人こそがフェリペ4世夫妻なんですねぇ
ベラスケスはフェリペ4世の希望を鏡の中に描くことでその希望を叶えました
そこで浮かび上がってくるこの絵の設定があります
実はこの絵を見た時に私たち自身がフェリペ4世夫妻視点になってベラスケスに肖像画を描かれている感覚になれるんですね
ベラスケスはフェリペ4世の難題をうまく利用して観客を巻き込む構図にしちゃってるんです‼️
凄さ③絵の構図part2 部屋の空間表現
そしてこの絵の広さの表現にもベラスケスの天才ぶりが読み取れます
この絵の部屋はベラスケスのアトリエなのですが一目で広さが伝わりますよね
この広さは絵を横に半分にした時に下側に人、上側に空間を設置することで広さを表現してるんですね
こんな感じで人を下に集めることで上の空間も際立ち、部屋を広く見せています
そしてこの空間表現に重要なアイテムが描かれています
それが左にあるちょーでかいキャンバス!
みなさんこの絵にキャンバスがなかったらどんな絵になるか想像してみてください
なんだか上と下で2分割されちゃって締まらないような気がしませんか?
実はこのキャンバス、上側の空間と下側の人のいる空間を繋げる役目を果たしているんです!
このようにキャンバスが上下にかかっていることで絵画として締まりのある絵にしているんですね
さりげないけどすごい仕掛けです
さすがベラ先輩✨
余談ですが僕の好きな画家でクールベという画家がいるんですがこのクールベもこのラス・メニーナスに影響を受けてある絵を描いています
それがこの絵なんですが、この絵は上と下がきっぱり分かれちゃっててラスメニーナスに比べるとあんまり締まりがありませんよね💦 (クールベ先輩ごめんす😅
凄さ③ 絵の構図part3 考え抜かれた視線誘導
ベラ先輩、人物の配置で視線誘導を巧みにしています
こんな感じでキャンバスから始まって部屋の一番奥の入り口の人にかけてジグザグに視線誘導をしているんですよね
いやもう凄すぎますよこれ笑
さらにこの遠近感を出すためにベラ先輩、人の位置でピントを変えてるんです
この画像からもわかるように、人の顔の解像度が奥にいくほどボケていってるんですね
でもこれだけじゃないんです、人の視界って手前すぎてもぼやけて見えますよね
この画像からもわかるようにマルガリータより前にいる犬や右の侍女たちなんかはマルガリータよりもぼやけて描かれているんですねぇ
これによってこの絵を鑑賞する私たちは本当にフェリペ4世がマルガリータを見ている感覚になれるんです
いやぁほんとにすごい、書いて改めて凄さにしびれます
まとめ
以上がラスメニーナスのだいたいの凄さになります!
タッチ、明暗、構図、何においてもここまで天才的な絵画はなかなかありません
正に名画中の名画です!
今回はベラスケスのラスメニーナスついて紹介しました
楽しく読んでいただけたでしょうか?
次回もまた楽しみにしてくれたら嬉しいです!
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