2024/01/01 記録

16:10
地震が起きる。実家の犬3匹、母、妹、弟と散歩に行こうと家を出たら緊急地震速報が発動し、外にいてもわかるほど地面が揺れた。横揺れだ。

速報を見たら石川県で震度5強、私のいる埼玉県では震度3の地震が起きていた。その時ぱっと見た情報では津波警報は発令はされていなかった。だから、大丈夫だろうと散歩に出発した。だって元旦に大地震だなんて、そんなことないだろうと思ったのだ。

17:20頃
1時間ほど散歩をし、家に帰ってきて1階のリビングのテレビをつけると、どの放送局も石川県の地震の様子を報道していた。
石川県能登で大津波警報、震度7とのこと。津波が沿岸に押し寄せる映像も流れていた。テレビに映る輪島市での火災の映像を、正座をしながら妹と見る。
東日本大地震の時にも、暗闇の中炎が煌々と燃えているのを毛布にくるまりながら眺めていたことを思い出した。
テレビには建物が倒壊している様子が映っている。

これが元旦に見る映像かと自分の目を疑う。ここに住む人たちがなにをしたっていうんだよと怒りが湧いてくる。家で家族と食事をしたり酒を飲んだり、神社に参拝に行ったり、たった一人で過ごしていたとしても、ただしずかに、今年も頑張ろうと胸のなかで思っていたひともたくさんいただろう。
テレビでは、新聞社だかテレビ局のオフィスで、働いている人たちが地震の揺れに驚く様子が写っている。地震の瞬間の映像だ。激しい揺れの中でカメラを回している人もいる。元旦から働いていたのに。こんなひどいこと、ないよ。

地震速報が何度も流れる。体感としては10分おきくらいだろうか。緊急地震速報の音も何度も流れる。かなり不安な気持ちになる。
Xでは、#生き埋めと救助を求める投稿が流れている。

川崎大師に行くと言っていた父にLINEで連絡をする。大丈夫だよ、とのこと。

iPhoneの画面をじっと見つめたあと、テレビに再び目を移す。泣きそうになってくる。燃え盛る炎の近くに消防車が2、3台停まっているのが見える。広がり続ける炎に、たった数台の消防車で太刀打ちできるはずがない。救助うんぬんより早く逃げてほしいと思ってしまった。自分は無責任だ。

燃え盛る家々のすべてに、人の生活があったということを思う。涙が出そうになる。胃が痛くなる。ものすごい不安が襲ってきて、ただただ犬の福を抱きながらテレビを見る。
散歩のあとでマフラーも外さず、呆然とテレビを見続けた。祈ることしかできない。呆然と、祈ることしかできない。

18:46
志賀原発 異常の情報なしと速報が入る。本当に?

18:50
弟が1時間以上風呂に入っている。地震が不安で、自分が安全であることを感謝すべきはずなのに、弟の行動にイラついている自分自身にも驚く。弟がやっと風呂から出たので、風呂に入る。風呂の中でもXを見る。作家のくどうれいんさんが「いま起きていることに何かしないと落ち着かないようなら、いま何が起きているのか淡々と書きましょう」と投稿している。だから書く。

Xでは、生き埋めがトレンドになっていた。ふと気づいたら、自分の呼吸がかなり浅くなっていることに気づく。

また、ACジャパンのテレビCMが延々と流れる日々が続くのだろうか。自民の裏金問題は、この震災によってもみ消されるのだろうか。岸田首相はほくそ笑んでるのでは?などと髪の毛を洗いながら考える。いつだって一番の被害者は、ただいっしょうけんめい毎日を生きている市井の人びとだ。

何も元旦に起きなくても…と思うが、元旦だろうがその他の日だろうが起こってほしくない、こんなことは。
30分ほどで風呂を出た。

無神経な弟が、スマホで格闘技を流しながらリビングに入ってくる。福の犬種について、「ミニピンって調べたら暴れん坊ってでてくる〜!」などと言って笑っている。こんなときに何を、と思うがその無頓着さに少し救われる。妹の部屋に様子を見に行くと、妹は布団に入っていた。声をかけると、思ったより明るい声が戻ってきてほっとする。

19:31
地震発生後3時間が経った。テレビに首相が出てこない!とイライラしてたら17:17頃コメントを出していたらしい。見てみると、だるそうにコメントをしていてイライラする。私の国のトップ、まじで何?

19:40
少し頭痛がする。こめかみのあたりが痛い。犬の健三がおならをする。弟と祖母と笑う。
テレビは延々と映像が流れる。地獄絵図だと思ってしまう。でもそこで懸命に生きている人がいるのだ。

一度食事をするためにテレビを消す。2階にいる妹に、テレビも消しているしご飯食べよう、と言う。自分の感情と出てきた言葉が矛盾している。こんな軽率な言葉を吐いている自分に驚く。

21:30
食事を終えて恐る恐るテレビをつけたら、正月番組がやっていた。画面の端に「津波警報」という表示、そして小さな日本地図が映っているだけだ。拍子抜けする。NHKでは燃え盛る炎が引き続き映されていた。大津波警報から津波警報には変更されたけど、倒壊された建物も、燃え盛る炎も、冠水した道路も、避難している人々も、ずっとそのままのはずだ。北陸新幹線も停まっている。温度差に驚く。でも私だって、日本酒を飲んで蟹を食べたのだ。テレビの能天気さと何も変わらないではないか。

今日一日くらいは、寄り添ってあげてくれよ。全社テレビで報道してくれ。頼む。と自分のことを棚にあげてそんなことを思うが、テレビの能天気さにほっとしている自分もいる。

NHKでは観測した津波は、輪島市で1m20cm以上と出ていた。でも、実際にどれくらいの津波が観測されたかは分からないから、「〜以上」と報道されているらしい。引き続き、津波警報が出ている。

「ちょっと辛くなってきたからチャンネル変える」と言ってリモコンをとると、弟に「じゃあ見なければいいじゃん」と言われる。「でも日本のことだから知っておきたい」と返す。
元日から夜ふかしという番組にチャンネルを変える。場の雰囲気が悪くならないために「マツコの髪、変!」とケラケラ笑ってみせる。
隣ではマツコを見て祖母が笑っている。

ふとリビングを見渡すと、犬が腹を出してすやすやと眠っていた。

22:10
歯磨きをして、2階の自室に行って眠った。

1:00すぎ
目がさめる。目が冴えてしまい、寝付けない。X、Instagram、threadsを繰り返し眺める。Xをふらついていると、あのちゃんのアカウントにたどり着いた。固定されている投稿の動画をみると、暗い部屋でひとり、あのちゃんがギターを弾いて歌っていた。
「ずっとずっと怖かった 東京で見上げた空 街頭ビジョン」「I want heaven 全部壊しちゃえば」「you anymore ひとりじゃないから」
青白い光の中、あのちゃんが歌っている。

2:20
犬の新が救急車の音に反応して遠吠えをしている。なかなか鳴き止まないので1階に降りて様子を見に行く。新が近寄ってきて、私の顔を舐める。ひとしきり顔を舐めて、新は2階へ上がって行った。すると福が起きてきて、私の顔を見ながらトイレシートの上におしっこをした。えらいね、かしこいね、と福の顔を掌で包んで褒めると、目を細めて嬉しそうにしていた。福のベッドにのせてやり、ブランケットで福の体を包む。えらいね、かしこいね、すごいね、とまた何度も何度も声をかけて、おやすみと言って福のもとを離れ、水を飲んで2階にあがる。

2:48
眠れない。iPhoneをなかなか手放せない。

2:58
NHKニュースで輪島市中心部で50棟以上の火災と報道あり。夕方テレビで見ていた火災の現場だ。朝市通り周辺とのこと。調べてみると、「日本三大朝市」の1つといわれる輪島朝市が行われていて、観光の名所らしい。活気のある場所なのだろう。HPも美しく見ていて楽しい。またひとつ、文化が失われてしまった。

iPhoneの画面を見続けて、4時になった。ふと眠気が来て眠りについた。

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