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VR建築と「無用の用」

どうもバーチャル土木ねずみさんのたいらのどかです~
今回はVR建築について書きます。
内容としては第0回「VR建築」コンテストについて触れながら、モデリングが容易に楽しめる昨今を陶芸との対比で述べたうえで老子「無用の用」からVR建築における「空」とは何か論じてみました。

第0回「VR建築」コンテスト

私は第0回「VR建築」コンテストに作品を出展しました。

建築とxR(VR/AR/MR)のコミュニティ団体「xRArchi」は、ソーシャルVRプラットフォーム「VRChat」にて「第0回『VR建築』コンテスト」を開催しています。12月8日より計107作品の一般公開が行われており、コンテスト結果は12月16日に発表予定となっています。
VR建築コンテストが開催中、61作品が「VRChat」で一般公開 | Mogura VR - 国内外のVR/AR/MR最新情報

私の作品は「mousehouse」という不思議な形のおうちなのです。

手ごろに楽しめる3Dモデリング

何かを操作して別の何かを生み出す。ものづくりって楽しいです。
最近では陶芸が多くの人に趣味として楽しまれているように3Dモデリングもまた趣味として楽しまれています。3Dモデリングと聞くとむつかしそうなイメージがありますが家でろくろを回しているのと大差ない、私はそう思っています。
従来3Dモデリングをするには高額なPCやソフトウェアを使わなければなりませんでしたが、安価で高性能なPCの普及とオープンソースのモデリングソフトの登場によってモデリングのためのハードルは下がったのです。
陶芸にたとえるならろくろや陶芸窯、材料となる粘土などがめちゃめちゃ安くなったイメージです。
もちろん素人が作る焼き物はいびつで不揃いな部分もあると思うのです。でも自分で作ったという体験は素敵なものです。
そのうえ作品を他の人に褒めてもらえたならとても嬉しいのです。
3Dモデリングもこれと同じなのです。

作品をみてもらう

自作3Dモデルをみんなに見てもらうことが手軽にできるのです。
その例はMMDで作った映像作品やVRM形式で作ったアバターの生放送での利用、そしてSecond LifeVRChatなどの仮想空間でのアバターや建物の利用など枚挙にいとまがありません。
素人が趣味で作った作品をみんなに見てもらうことができる。ほぼすべてがインターネットでできるので陶芸よりもみんなに褒めてもらいやすい、3Dモデリングはそんな趣味なのかもしれませんね。

「無用の用」から見る陶芸とVR建築

さて陶芸を例としたのには理由があります。
老子の『無用之用』には器や建築物に関する記述があります。
現代語訳を引用します。

粘土をこねて器を作ります。
そこ(器の中)に何もない空間があるから、器としての役割を果たすのです。
戸や窓を貫いて部屋を作ります。
そこ(部屋の中)に何もない空間があるから、部屋としての役割を果たすのです。
つまり形ある物が価値があるのは、形ない物がその役割を果たしているからです。
老子『無用の用・無用之用』現代語訳・書き下し文と解説 / 漢文 by 走るメロス |マナペディア|

何もない空間は一見何の価値もないように見える、けれども形あるものの価値は形ないものがあるからこそ生まれるのです。
この古典を読むと器の中の空洞、建物の中の部屋これらこそが器や建物の価値を生み出していることに気づかされるのです。

そう3Dモデリング、とりわけVR建築も同じなのです。
VR建築を構成するものはポリゴンやテクスチャ、コライダーなどすべてデータです。これらが組み合わさってVR空間上に建物ができるわけですがそれだけでは土偶のような芸術作品でしかありません。人が往来する「空」がないのですから。

そこで、VRChatなど人が活動している仮想空間に配置することで初めて「用」となるのです。ということはインフラとしての仮想空間という「空」があるおかげでVR建築は「用」となることができるのです。

人々が仮想世界で遊び、学び、恋をして、暮らす、そのために資するVR建築は何もないからっぽな仮想空間というインフラによって維持されているのです。つまり、建築が土木や電気のインフラに支えられているようにVR建築もまたVRChatのような仮想空間インフラが必要なのです。(※追記)

面白いですね。

結果発表が楽しみ

さて、私も今回の出展された作品をVRChatで全部見ました!
どれも素敵な作品でした。
私はVRの街って楽しそうだなってとてもわくわくしてます。

どんな作品が賞を取るのかとても楽しみなのです!

審査委員長の番匠カンナ(@Banjo_Kanna)さんをはじめ大会運営されてきたスタッフの皆様にお礼申し上げたいのです
今日まで本当にお疲れ様でしたそしてありがとうございます!

お読みいただきありがとうございました。

追記(2018年12月16日21:20)

Captain+鯨井さん、最優秀賞受賞おめでとうございます!

「バーチャル土木ねずみさん」の「たいらのどか」です!ツイッターでもいろいろつぶやいてます、見てください! twitter:https://twitter.com/nodoka_taira 誤字脱字ありましたらコメントにてお知らせいただけると幸いです。