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中国版イーサリアム「NEO」の野望

今日は中国版イーサリアムと言われるNEOについて、イーサリアムとの比較も交えながら考察していきたいと思います。以前も別のブログで書いたものなので、読んだことがある方はスルーしてください。

NEOとは

NEOは中国版イーサリアムと言われるブロックチェーンです。
中国政府が2017年9月頃にICOを禁止することを発表したため、しばらく暴落していましたが、マトリックス感のある名称にしたことで、復活。
このへんはみなさんご存じでしょうから飛ばします。

NEOとイーサリアムの共通点

NEOとイーサリアムの共通点は大体以下の3つです。

1. 両方ともスマートコントラクト、dApps、ICOを扱うことができる
そのため、ICOはイーサリアムの専売特許みたいに思われていますが、実はNEOプラットフォーム上でも可能となっています。
実際、NEOプラットフォーム上でのICOは既に多数(THEKEY, NEXなど)行われています。
2. 両方ともプラットフォームを回すための燃料が必要
(NEO : GAS, イーサリアム : Ether)
3. 両方ともオープンソースで開発が行われている

このへんもみなさんご存知でしょうから特に深入りしません。
というか、これくらいしか共通点はありません。

NEOとイーサリアムの違い

共通点に比べて、NEOとイーサリアムの違いは結構多いです。
以下にまとめてみました。

1. NEOは中国政府やマイクロソフトなどITの巨人の支援を受けている

ちなみにNEOの開発コミュニティはCity of Zionといって、基本的にはこのコミュニティが政府からの資金援助を受けています。

2. イーサリアムはSolidityという特殊な言語で書く必要があるが、NEOならJavaやC#で書ける

そのため、開発者にとっては学習コストが低く、開発しやすい環境になっています。

3. イーサリアムのコンセンサスアルゴリズムはProof of Work(今後casperに移行する予定)だが、NEOはdelegated Byzantine Fault TolerantというProof of Stakeを少し改良したコンセンサスアルゴリズムを用いている

delegated Byzantine Fault Tolerantについてはこちらを参照してください。
このコンセンサスアルゴリズムでは、(たくさんの)NEOを持った人たち同士で不正なブロックが作られないように監視し合っています。
ブロック生成における参加者の66%の賛成を得られないと次のブロックが作られないため、ハードフォークが起こらないなどのメリットはありますが、イーサリアムも今後Proof of Stakeに移行するため、コンセンサスアルゴリズムによる差はそこまで大きなものではないと考えられます。

4. NEOの方がトランザクション能力に優れる
コンセンサスアルゴリズムの違いもあって、トランザクション能力においてもNEOに軍配が上がります。
NEO : 10,000件/秒
イーサリアム : 15件/秒
ただし、トランザクション能力についてはイーサリアムでもraidenやPlasma, Shardingといった技術が開発されており、いずれ解決されるものとされています。

5. イーサリアムはEtherを使ってネットワークを動かすが、NEOはGASという別の暗号通貨を用いる

NEOトークンを保有する人はNEO株式会社の株式を保有しているようなもので、ブックキーパー(NEOプラットフォーム上で生成されたブロックを検証する人)を選出する権利を持つことができます。
NEO株式を持っている人たちによって、NEO株式会社の方針(実際にはNEOプラットフォームで生成されるブロックのこと)が決められるというイメージです。
一方、GASはNEOプラットフォーム上の全ての取引や契約で手数料として用いられます。このGASはNEOをNEON Walletに保有していれば配布されます。マイニングする必要はありません。

6. NEOは量子コンピュータ対策がされている
NEOにはNeoQSという量子コンピュータによるハッキングにも耐えられる仕組みが実装されているようです。(正直仕組みはわかりません。ホワイトペーパーには量子コンピュータでは解決できないShortest Vector Problem (SVP) and the Closest Vector Problem(CVP)が実装されているぜ!と書いてあります。どなたか詳しい方がいらっしゃいましたらご教授ください。)
残念ながらイーサリアムは量子コンピュータ対策がされていません。

7. NEOにはマトリックス感がある
NEOやCity of Zionという名称を聞いて何か思い出した人も多いのではないでしょうか?

そうです。映画マトリックスですね。NEOとマトリックスの対応関係は以下のようになると思います。
ネオ = NEO
ザイオン = City of Zion
モーフィアス= 中国政府
ここまであからさまなネーミングをつけるあたり、開発メンバーはマトリックスのファンなのでしょうか?
このマトリックス感はイーサリアムにはありません。
ちなみに僕はミフネ船長が好きです。漢を感じます。どうでもいいですね。

さて、ここまでの説明では「うーん、なんだかNEOは基本的にはイーサリアムと同じなんだけど、NEOの方がトランザクションが早くて、開発も楽ちんで量子コンピュータ対策もされていて、(マトリックス感があって)いいなぁ。」という印象を受けた方も多いかと思います。

目的の違い

しかし、イーサリアムとNEOは根本的なところ、目的が異なるのです。
それを公式サイトで確認してみましょう。

イーサリアム

Ethereum is an open blockchain platform that lets anyone build and use decentralized applications that run on blockchain technology

イーサリアムはdApps開発におけるプラットフォームとしての地位を確立してきており、WindowsのOSのようなものを目指しています。Vitalikさんの野望は壮大です。

NEO

NEO is the use of blockchain technology and digital identity to digitize assets, the use of smart contracts for digital assets to be self-managed, to achieve "smart economy" with a distributed network.

一方NEOはスマートエコノミーを目指すと言ってます。このスマートエコノミーという思想。単純にビットコインみたいなデジタル通貨をブロックチェーン上で管理するんだろ?って思ったあなた。
甘いです。このままではエージェントスミスに消されてしまいます。
NEOのホワイトペーパーにはこんな記載があります。

Proving the connection between digital and physical assets is possible through digital identity.

デジタルアイデンティティーを通じてデジタルと現実の資産のつながりを証明する。と言ってます。
このスマートエコノミーでは、服や家具、さらには車や家まで、全ての資産をデジタル化します。
デジタル化された資産及びデジタルアイデンティティーはブロックチェーン上に所有権が記載され、その人の資産であることが保証されます。
デジタル化された資産の取引は全てスマートコントラクトを通して行われ、取引内容もまたブロックチェーン上に保存されることを目指しています。

また、開発コミュニティには政府自らが資金援助していることは先ほど述べた通りです。

これらを踏まえると、中国政府は中国13.7億人の資産状況及びその移動の全てをNEOプラットフォームを介して把握するつもりということが言えるのではないでしょうか。。。?
こえー。。中国怖すぎる。。。
さっきのマトリックスの構図は間違いでした。訂正します。
モーフィアスなんていなかったんや。マトリックスが支配する世界や。。。

ネオ = NEO
ザイオン = City of Zion
マトリックス = 中国政府
電池 = 中国国民

さらに中国は他国のITの巨人たちを締め出すことでも悪名高いです。
中国ではGoogleもfacebookもYoutubeもLINEも使えません。
その代わりどれも中国独自のサービスが発達しています。WechatとかAlibabaとかrenrenですね。
これは完全に憶測ですが、中国はブロックチェーンにおいても今後イーサリアムを締め出して、NEO一本でやっていくことを狙っているような気がします。別の意味で壮大な野望です。

この意味において、イーサリアムとNEOが直接競合することはないでしょう。というかイーサリアムとNEOが目指すものは真逆です。
また、中国ではICOが禁止されていますが、これも政府がブロックチェーンに関する方針を決めるための時間稼ぎのようにすら思えてきます。
こんな発想、日本やアメリカじゃ思いついても政治的に無理ですね。中国だからこそできる政策です。
共産党による独裁ずるい。

NEOに投資するか?

今後中国で独占的に使われていくプラットフォームになると考えられます。さらに、Social Credit Systemとも結びつきそうです。

個人的にはAmazonの時価総額が約7,800億ドル、Alibabaの時価総額が約5,000億ドルであることを踏まえると、同様にイーサリアムの時価総額に対して60%くらいのポテンシャルがあると思います。

なので僕の中のミフネ船長が買えと言っています。

今日は以上となります。
では、良い仮想通貨ライフを!

参考資料

【twitter】https://twitter.com/nogacrypto?lang=ja
【voicy】https://voicy.jp/channel/545

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