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ブロックチェーンがディスラプトする業界 -P2P編-

ちょっと前に、非中央集権化の利点について述べました。

さて、この結果どんな業界がディスラプトされるのでしょうか?
今回はそんな考察になりますが、分量が多いので2回に分けてお送りします。

まずは主に非中央集権化が進み、中間の第3者がいなくなり、より純粋な意味でP2Pが実現することで影響を受ける業界です。

1. 金融

最も有名な言わずもがなの例ですね。
そもそも、サトシ・ナカモトの論文は中間の第3者を抜きにしたP2P送金システムの考案でした。

ビットコインを始めとするP2Pの送金が一般的になればなるほど、銀行の送金業務は減ります。
次に預金業務です。みんながビットコインウォレットを持つようになればなるほど、銀行口座は必要なくなります。みんな口座にお金を預けなくなり、銀行はそもそも企業に貸し付ける原資がなくなってしまいます。

さらに貸付業務も必要なくなる可能性があります。
ETHlendのようなP2Pでの貸し付けサービスが一般的になればなるほど、別に企業が融資しなくても個人間で融資すればいいということになりますね。

ICOは最たる例で、こちらは融資ではなく、本来的にはただの寄付なのですが、いかなる第三者を挟むことなく、P2Pで容易に資金調達することが可能になりました。もちろん詐欺も多いけどね。

(まぁICOレビューサイトとかインフルエンサーという第三者に依存するようになったという別の第3者は必要だけど。)

銀行もそれがわかっているため、自らブロックチェーンの実証実験したり、独自コイン発行を検討しているわけですね。MUFGは自社のプライベートブロックチェーン実用化に向けて着々と動いていますね。

bankeraのようなブロックチェーン時代の銀行もスタートアップで出てきました。

証券取引所においても仮想通貨におけるDEXと同様、分散型の証券取引所が出てくるかもしれません。

2. 不動産賃貸

引っ越しとかしたことがある人なら共感できると思うんですけど、あれってなんかすげーたくさん仲介者がいるんですよね。町の不動産屋、保険会社、管理会社、大家、ホームズなどの賃貸物件掲載サイト。。。どんだけ関係者いるんだよ。

最も仲介業者を抜きにしてP2Pでやり取りしたい領域の一つですよね。

既に、短期の賃貸ではBeeToken(voicyで紹介済み)のようなAirbnbを抜きにしたサービスが始動しています。問題点は借りる人/貸す人の信頼性はどのように担保するのか?そして、借りた人が問題を起こした時の補償等はどうするのかという二点です。

信頼の方は信頼を蓄積させておく別のプラットフォームと連携させておけば何とかなりそうですが、問題を起こした時の対処法はP2Pだとちょっと無理そうですね。結局中央に誰かがいて非常時に対応するという構図は変わらないのかもしれません。

この非中央集権世界における緊急時の対処法は至る所で障害になるかもしれません。スマートコントラクトによる記述もプログラムする段階であらゆる緊急事態や例外を想定できるわけではないでしょうから、全てをプログラムだけで済ませることはできず、どうしても人間が何とかしないといけない領域というのは残りそうです。

ただし、BeeTokenの利用者はトークンも持っているわけです。
不正を起こした者はトークンを没収する仕組みにしておけば、少なくとも今後BeeTokenを使い続けようとする人が不正を働いたり、借りた部屋を滅茶苦茶にすることなく、普通にサービスを利用し続けるインセンティブになるはずです。

なので、全体として見れば中央に立つ人の必要性そのものは薄くなっていくのではないかと思われます。これはBeetokenのような不動産賃貸だけでなく、シェアリングエコノミー全体で言えそうです。

ちなみに不動産売買をブロックチェーンで行った事例がウクライナで既にあるようです。これはpropyというP2Pで不動産売買やろうぜというスタートアップが絡んでいます。

3. エスクロー

シェアリングエコノミーに関連して、エスクロー業務もブロックチェーン技術で代替することが可能です。
ちなみにエスクローは特にメルカリのようなC2Cサービスにおいて存在しています。

例えば、メルカリで服を買った時、出品者に支払った金額はいったんメルカリに預けれられます。そして、メルカリは購入者の入金を出品者に通知します。

その通知が来たら、出品者は商品を発送します。購入者は商品が届いたらそれをメルカリに連絡して、メルカリはいったん預かっておいた購入代金から手数料を差し引いた分を出品者に振り込んでいるというわけです。

商品が届かなかったり、届いた商品が違ったりすれば、お金を預かっていたメルカリが購入者に代金を返金してくれるので、非常に安全な仕組みでメルカリが数%の手数料持っていくのも納得ですね。

しかし、これがブロックチェーンで実現できるとすればどうでしょう。この場合は、厳密にはブロックチェーンというよりアトミックスワップなどに使われるマルチシグの仕組みを用います。

購入者は出品者と両方の鍵で開くデジタル金庫にいったん送金し、商品がちゃんと届いたら鍵を使ってデジタル金庫を開けます。同様に、出品者も自分の鍵を使ってデジタル金庫を開けます。このデジタル金庫は複数の鍵がないと開かない仕組みなので、どちらか片方の鍵だけでは開けることはできません。

ただしこのやり方だとやはりトラブル対応のために、メルカリのような第3者に入ってもらって、この第3者も鍵を持っておく必要はあります。

スマートコントラクトの仕組みなら完全に第3者を排除したエスクローも可能らしいです。確かに予めプログラミングしておけば確かにできそうだけど、あまり詳しい仕組みは知りませんw

4. ゲーム

ゲームのデジタル化はますます進んでおり、デジタルでの売上はグローバルで見ると50%を超えています。要はみんなスマホのアプリ内購入やらPCゲームのダウンロード購入やらコンソールゲームもダウンロード版を買うようになってきているということですね。それでもまだデジタルじゃない方の売上が半分もあることに驚きですがw

当然このデジタル上でゲームを販売するときにはスマホの場合はGoogleとAppleという二大企業が30%もの手数料をとっていたり、PCだとSteamという支配的プラットフォームが存在しています。(手数料は不明)

この牙城を切り崩すことが可能かはまだわかりませんが、個人的には実現してほしい領域です。

5. 教育

既にオンライン教育は相当発達しており、世界中の子どもたちが世界最高レベルの教育にアクセスすることは可能になっています。

この動きがブロックチェーンにより促進されるでしょう。

2の不動産賃貸や4のゲームと同じで、中間搾取がいなくなればより低コストで教育をさらに広げることが可能になりそうです。

6. 宝くじ、懸賞、オンラインギャンブル

以前、gumiの投資先の一つにpryzeという分散型懸賞サービスがあるという話をvoicyで配信しました。

別に懸賞に仲介者なんていらなくね?って話で全くその通りって感じですね。宝くじの当選番号なんてランダムだし、週末のサッカーの試合の勝ち負けなんて不正しようがない(八百長は別w)ので、トラブルも起きないでしょう。

特にオンラインギャンブルは日本だとほぼ違法(黒に近いグレーって感じ?)ですが、合法の国も多いので、グローバルだと実は大きな市場だったりします。

ちなみにこのブログを読んでいる賢い方に宝くじを買っている人なんていないと思いますが、宝くじは政府が仲介料として売上の半分を中抜きしています。世界でも稀に見るレベルのスーパー割に合わないギャンブル(搾取)の一つです。(ラスベガスのカジノだってここまでえげつない中抜きはしてないんじゃないの??)

今日はこんなところで。
それでは、良い仮想通貨ライフを!

書いた人

参考資料

Photo By NASA's Marshall Space Flight Center

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