ピエール瀧のコカイン逮捕から見る世の中の歪み

ピエール瀧がコカイン使用で逮捕された。
 
俺は別に彼のことを特別好きなわけでも
特別嫌いなわけでもない。
どっちかというと「好印象があった」程度だ。
 
 
ラジオ「たまむすび」を聞いていた頃には
仕切りもトークも上手くて聞き心地が良くて、
「おい、あかえ!」と赤江珠緒さんをいじるのが面白くて、
時たま出てくる無邪気さも好ましかった。
 
それからオラフの声であったり、
はたまたドラマや映画の脇役であったり、
彼じゃなきゃならないって地位を
着々と築いていた最中だった気がする。
 
だから邪魔されたのかな。
そういう人って隙を見せると
すぐに落とし穴に突っ込まれるし。
 
 
本業の音楽、電気グルーヴにおいての
彼のポジションについては詳しくは知らないけど、
あのユニットは石野卓球という音楽マニアが
1から10まで作っているユニットなはず。
 
そこでのピエール瀧のポジションは
FUNKY MONKEY BABYSの真ん中であったり、
SEKAI NO OWARIのピエロであったり、
それらとそんなに変わらない印象がある。
 
旗持ちというか賑やかしというか。
 
 
そもそもハウスとかテクノって音楽は
ただ耳で聞くというより
全身でビートやベース音を感じるものであって、
その感触を助長してくれるのがクスリ。
 
大きな会場で行われる音楽フェス、
特に海外のフェスなんかでは
平気でクスリをやりながら
楽しんでいる人がごまんといるはず。
 
オーディエンスがそんな風に気持ち良くなっていれば
当然プレイヤー側もやりたくなって、
それが癖になってしまう可能性なんて普通にありえる。
 
だからと言ってクスリは法律で禁じられているから、
その法を犯したことは良くないことで。
 
その行為自体を肯定するつもりは全くない。
 
 
だけど、必要以上に大袈裟に騒いで囃し立てて、
CDを回収したり過去に出演した作品をお蔵入りにしたり。
そこまでする必要なんてないんじゃないかなと思う。
 
みんなやってるじゃん。クスリ。
 
例えばそれがテロリストみたく
何百万人に1人とかそういう次元だったら、
確かにとてつもなく凶悪な存在で
ドン引きしてしまうのもわかる。
 
でも、その辺のクラブとかフェスとか行けば
クスリをやっている人なんて大勢いて。
ましてやピエールの周囲にだってやってる人は盛り沢山で。
 
「お前ら、クスリ続けたらこうなるからな」っていう
見せしめの逮捕だって聞くけど、まさにその通りで。
 
 
そしてまた、法的に良くないことをしたんだから
罪は償わなくちゃならないけど、
過去の作品を全否定する必要なんてないはずで。
 
「クスリやりながら作った曲」とか
「クスリをやった後に演じた作品」とか、
そんなの本人にしかわからない話で。
 
クスリをやった人の演技なんて信じられないとか
そういうコメントも目にしたけど、
そもそもドラマや映画なんて虚像でしかないでしょ。
そこに演者のプライベートは関係ない。
 
大切なのは演じている人の人格じゃなくて
どういう芝居をしてその劇に溶け込んでいるか、
その物語のピースになっているかってことでしかない。
 
 
そもそもピエールがコカインをやったことで
誰かに迷惑を掛けたのかって話で。
 
薄汚い正義感で「裏切れた」とかとホザく
潔癖人間は置いておくとして。
 
それだったらNGTだかなんだかのレイプまがいの方が、
よっぽど他人を傷つけて迷惑を掛けてるんじゃないのかと。
 
そっちは逮捕されないで、
圧力かけられて大きく報道もされなくなって。
 
一方のピエールは…別に迷惑掛けてるわけでもないし、
確かに悪いっちゃ悪いんだけど…なんだかなぁって思う。
 
 
特に何かの主張や提言があるわけではない。
でもそこまで騒ぎ立てることでも決してないはずだ。
 
見栄や体裁を気にする日本社会と、
やたら個人がヘタクソな正義感を振り回すネット社会と、
いくら誰かが大きな事件を起こしても
個人の趣味趣向は決して変わらないという現実と。
 
そういったものが交錯する世の中。
 
正解や間違いなんて基準は
自分で決めていくしかないんだろうなと思う。