見出し画像

あにの 寝ぼけた話

 あれー?
 どうも。打ち合わせで今週は夜遊びとか夜更かしの話になるって言ってたのに、微妙に外されて戸惑っているあにです。
 でも安心してください! あにのデスクトップにある「妻の失言」ファイルには寝ぼけたような話のストックならいくらでも……!
 かみさんが横でとても怖い顔をしているので、別に話をしましょうか。

=======================

 【推しの子】という漫画が好きです。今季アニメ化もされていてそこそこ話題も目にするので、この記事を御覧頂いている方の中にもご存じの方がいらっしゃいますでしょうか。
 またそのアニメがとても力が入っていて素晴らしく、是非ネタバレなしに見てもらいたいので、ここではできるだけ内容に触れません。動画視聴系のサブスクにご加入されている方には是非1話だけでも見ていただきたい。特にアマプラに加入しているおとおとは必見です。あとで感想ください。

 で、
「ロック以外は音楽じゃない。J-POPなんて聞くやつはクソじゃ」
が口癖のおとおとの前で言うのもなんですが、このアニメ【推しの子】の、OPがとてもとても良いのです。おとおとほどでないにしても音楽に関してはわりと偏食気味なあにですが、アニメの1話(初回90分SP)のラストで流れた歌を聞いてすっかり一目惚れ(一耳惚れ?)をしてしまったので(初めてiTunes でダウンロード購入をしてしまったくらい)嫌な顔をしているであろうおとおとの事はひとまず忘れて、少しだけその話をさせてください。


 YOASOBI「アイドル」
 歌詞がこちら。著作権とかJASRACとか怖いんですが、引用ってどこまで認められるんでしょうね。

 【推しの子】は、天才アイドルのアイ、その双子の兄妹の話なので、アイちゃんが如何に可愛いか、視聴者はアイちゃんにどれだけ惚れられるかが、物語に没頭するためのキーポイントになります。
 制作は動画工房。直近だと「ちいかわ」「可愛いだけじゃない式守さん」「刀剣乱舞花丸」などを手掛ける、可愛いものを可愛く描くことに長けた老舗制作会社です。そんな会社が、通常のアニメでは考えられない初回90分という長尺を使って、しかも全国の映画館で先行上映を行ってしまうくらい気合をいれて全力で視聴者をアイに惚れさせに来ているのです。もう、1話が終わるときには視聴者は全員「アイ無限恒久永遠推し」になっていること間違いなしです。
 そして情緒をぐっちゃぐちゃにされているところに、初回だけエンディングのスタッフロールが流れ始め、そのバックにテーマ曲が流れはじめます。
 聞き始めは
「あ、またメインテーマYOASOBIなんだ。ガンダムもこの人達だったなー。最近流行ってるなー。」
程度の認識でした。

 イントロなしで、メロディーに乗らないセリフのような、ミュージカルのセリフのような語りから始まります。正直こういうお歌はちょっと苦手です。しかし直後に
「天才的なアイドル様」
とても聞き取りやすいメロディーに乗せて、視聴者にこれはアイのことを歌った歌なんだなということを伝えてきます。もうこの時点でがっつり心を鷲掴まれます。
 その後アイのものと思われる「誰かのこと……」という台詞から、サビでアイドルアイの素晴らしさを高らかと歌い上げます。
 誰視点の歌なんだろうという一抹の疑問はあるものの、第一話の余韻をこれでもかと盛り上げてくれるテーマソングでした。

 となれば次はフルバージョンが聞きたいじゃないですか。

 youtubeでMVをみるわけですよ。またこれがいいんだ。1番はそのままTVサイズで使われたところと同じで、アニメと同じく動画工房がアイの可愛らしさを全力でぶつけてきます。
 改めてアイ無限恒久永遠推しになったところで2番に入ると、曲の頭と同じミュージカル台詞調のパートが始まるのですが、曲調も歌詞も急に暗くなり、これまでの歌詞の語り手、視点が、アイのアイドルグループのメンバーのものであることがわかります。
 妬みや嫉妬が綴られ、ボルテージが上がりきったところで唐突にサビ突入します。が、それは1番の時とは違い、星野アイというパーソナリティを認めない、世間とアイ自身が作り上げた「アイ」というアイドル像を押し付けそれ以外は認めない、それこそが本物という、とても胸苦しいものです。

 流行り物に疎いあにが知っているくらいなのできっと皆さんも御存知でしょうが、YOASOBIは歌を作るときに必ず既存の物語、小説をもとに作るそうです。
 で、今回のアニメ化に際してテーマソングを作ってもらうために、原作者赤坂アカ先生が書いた小説がこちらの「45510」です。(期間限定での公開のようなので、後でこの記事を読んでる人はもしかしたら見れないかも)
 ガンダムのOPを作るときも監督自ら小説を書いて作曲を依頼したそうですが、なんだか裏技っぽいというかバグ技っぽいですよね。
 本編のネタバレは全然ないし、7千文字弱のとても短いおまけ的なショートストーリーなので、普段あにの大して中身のないただ長いだけの記事を読んでいただいている皆様ならさらっと読めると思います。ぜひ一度読んでからMVを見ていただきたい。
 合わせて読むと、イメージソングとかそんなレベルじゃなく小説の内容を咀嚼して、ダイレクトに歌詞にしているのがわかってとても曲への理解がすすんでオススメです。

 で、ここまでで小説の内容はしっかり踏襲されているな。終わりかな? と思ったときろで曲の方は再びミュージカル台詞調になります。
 今度は1番とも2番ともテンポが変わり、歌の視点が別人になったことをわかりやすく視聴者に伝えて知らせてくれます。そして1話90分SPを見てからこのMVを見始めた人は、それがアイの物であるとすぐにわかります。
 2番までで小説の内容は網羅されているのに。
 小説にアイ自身は出てこないのに。

「母としての幸せと、アイドルとしての幸せ、普通は片方かもしれないけど、どっちもほしい。星野アイは欲張りなんだ」
「人を愛した記憶も愛された記憶もないんだ。そんな人にアイドルなんてできないでしょ」
「心の底から愛してるって言ってみたくて、愛してるって嘘を振りまいてきた」
「私はまだ子供達に愛してるって言ったことがない。その言葉を口にした時、もしそれが嘘だと気づいてしまったら……そう思うと怖いから」
「愛したいと思いながら、愛の歌を歌ってたよ。いつかそれが本当になることを願って」

 原作1巻のキーとなる台詞をふんだんに取り入れ、原作ファンとアニメファンの心をぐちゃぐちゃにしてきます。
 なんだよそれ!
 聞いてた話とちがうじゃん!
 YOASOBIズルじゃん!
 ありがとう!

 そしてトドメの
「ああ、やっと言えた」「この言葉は絶対うそじゃない」
のところで

©Masayuki Ishikawa 2006 もやしもん3⃣より

 となるわけです。

  
 本当は譜割りや言葉遣い、台詞回しの妙についても語りたいのですが、いいかげんオタ語りが長くなってきたので今回はこのへんで。
 以上。あにの「寝ぼけたふりして好きな物の話を自由に書こうの話」でした。
 だって夜遊びの話って聞いてたんだもん!


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?