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Kawai Project 「お気に召すまま」観た!

9/15(金)、こちらに行ってきた。
(彩の国さいたま芸術劇場小ホール)

控えめに言って、すごくおもしろかったので、見れるものなら一度、舞台を見て欲しい!(9/17月祝日まで)

以下、あらすじのネタバレから、劇のネタバレに続きます。
これから見る人がいたら、読んじゃダメ。

■あらすじ

ご存知の方には、冗長なあらすじ。
貴族の子だが、教育を受けることもままならず、下働きとして不遇を囲っている男、オーランドー。美しい見目で、公爵の姪御だが、こちらも実の父(元公爵)を現公爵(叔父)に追い出されて不遇のロザリンド。オーランドーが出場した、レスリングの試合で出会い、お互い一目惚れ。

二人には、それぞれ身の危険が迫るよくある一悶着が起き、オーランドーとロザリンド、それぞれ都から離れるはめに。そうとは知らず、お互い、バラバラに都とは遠く離れたアーデンの森に。

ロザリンド、女二人と道化で逃げ出すには、身綺麗な格好ではいられない。男装して逃げ、男装したまま森での生活に入る。そうとは知らないオーランドーと出会ったり、元公爵たちとのやりとりがあったり。最終的には、大団円。

■役者さんが素敵

ロザリンド、私の知るシェイクスピアでは、めずらしいずっと日向を歩く明るい女性(環境や、起きた事象は暗いけど)。今回のロザリンド(太田緑ロランスさん)は、見てると好きになるタイプ。

あの台詞量が入ってるだけで、尊敬するけど、本当に、恋に恋する熱量、表に出る行動がすごくかわいらしい。

公爵の娘で、従姉妹のシーリア(山𥔎薫さん)が、これまた、いい仕草、台詞の調子、どういう場面(笑っていい場面)か、山𥔎さんの演技で、感じ取れる。

道化の釆澤靖起(うねざわやすゆき)さんも、まさに八面六臂の活躍ww
釆澤一人で、もう一人の道化のセリフを声色を変えて、しゃべりまくる。台詞も、その場の切り替えで3通り?の声色で話す。
(三方の客に向かって、状況がわかるように動きを合わせるもう一人の道化も大変・・梶原航さん?)

ロザリンドも道化タッチストーンもそうだけど、台詞は、もう動作とセットで覚えてんじゃないか。

今回の脚本の翻訳、演出の河合先生と、翻訳家の松岡先生のアフタートークでも話されてたけど、今回は、ダブリング(複数の役を同じ役者さんが演じる)の妙が、おもしろさを際立たせてた。

一つのキーが、ロザリンドの男装がいつバレたのかということ。
この問題について、過去にどう公演されてきたかが、以下の訳の解説に、河合先生自ら書かれている。

バレというのが、一つのおもしろさになっているので、それを理解しやすくするため、いろんな仕掛けがあった。ロザリンドの父の元公爵と、その弟の現公爵は、同じ鳥山昌克さん。

舞台は暗転するも、元公爵→現公爵への変わり身、マントをまとうシーンは、うっすら見えるようになっている。非常に、わざとらしいダブリングになっている。わざとらしさを強調することで、バレの雰囲気を醸している。

これも、アフタートークで話されていたが、宮廷と森のコントラスト、宮廷では、悪い鳥山さんも、森では温厚、森に入ると何もかもが浄化される。そういうコントラストが際立つから、わざとらしくても、キャラ変更に、すっと入っていける。
(床の模様や周りの道具などもそうでしたね)

宮廷と森の解説については、アフタートークで話されてた松岡先生と、河合隼雄さんの対談本にも出ています。

今回は、拍手を送りたい役者さんが多かったー。
(オードリーも、フィービーも)


山崎努さんが、「俳優のノート」の中で、役者をコントロールするある演出家を強く批判する箇所があったが、役者さんの力を信じると、こんなおもしろいんだなーと。役者さんの力がすごい!


■客との一体感

導入の歌から、観客に手拍子を求めるところから始まり、客を巻き込むことが多かった。劇場があったまるかは最初がキモだけど、割とすんなり、温度を持って始まったと思う。全体を通して歌が多いので、歌いながら客席に座ったり、ちょっと、お客さんをいじったり。

ちょっとやりすぎか?大丈夫か??と思う場面もあったけど、
(演じる側は、もっとそう感じる場面もあっただろう)
ま、うまくいったんだと思う。

決して、客いじりを信条としていたり、盛り上げの常套手段としているわけではない。舞台と観客が近かったころのグローブ座、それが河合先生の頭には、常にあるよう。その距離感を大事にしたかった、だから、客席三面の舞台を選ばれたとのこと。

河合先生のシェイクスピアに対する愛が強いから、当時の〜とか、シェイクスピアのライム(韻)等々を大事にするあまり、もしかすると、こういう取り組みがうまくいかないこともあるんじゃないかと思う。

けど、今回は、役者さんの力もあって、どハマりしてた!

こういうのがあるから、舞台みたいなーと思う。




シェイクスピア愛、演劇愛の強い、河合先生、松岡先生の授業は、ほぼ日の学校オンラインで見れるので、ぜひ、見てほしいなー(年会費5,400円)



いい歌を詠むため、歌の肥やしにいたします。 「スキ」「フォロー」「サポート」時のお礼メッセージでも一部、歌を詠んでいます。