note始めました。

はじめまして
自己紹介させていただきます。
私、日本の伝統芸能の能楽の演者で、シテ方観世流(かんぜりゅう)の
遠藤喜久(えんどうよしひさ)と申します。

長らくライブドアblogを利用してましたが、只今広告のないブログに引っ越し先を検討中。
noteの登録が簡単だったので、試しに始めてみました。
過去の自分のライブドアblog記事を検索したら、なんと19年も書いていました。
ほとんど日記のようなものですが、時には皆様の役に立ちそうな記事もあるので、それを復元しつつ、また新たに何か書ければと思います。

能楽夜話(のうがくよばなし)というタイトルのblogでしたので、このnoteではとりあえず能楽yobanashiというタイトルにしました。
どうぞ宜しくお願いします。

最初に書いたシテ方というのは、能楽は色々な役割が専門職になっていて、シテ(仕手)という主役的な役者の役をしたり、地謡(ぢうたい)という謡い(ストーリーや主人公の心情を歌う合唱的な歌のパート)をお囃子方の演奏と合わせて歌ったり、後見(こうけん)という演技の補佐をしたり、楽屋であれこれ働いたり、公演を運営したりする役職です。
その他、ワキ方、狂言方、囃子方と役職があり、どれも生涯専門に勤めて、各役職が組み合わさり一つの舞台を作ります。

各役は、流派、グループ、家族などで構成されていますが、毎回その都度に他の役職とチームを組んで舞台を作ります。
毎回メンバーの組み合わせが変わるのが普通で、同じ作品をやっていていも演者が変われば自ずと変化が生まれます。同じ作品を何回見ても飽きないのは、その辺りに秘密があるかもしれません。

稽古練習は普段個別に行い、修行方法も生活も各役で違うので、一つの劇団の一座のように最初から顔合わせをして一緒に作り上げてゆく様な組み上げ方をしないのが特徴です。
毎回召集されたチームで直ぐにバチっと一つの舞台を決めるのがプロの演者といえます。そのための各自の下準備や稽古修練に最初は何年、何ヶ月も時間がかかります。自然、キャリアを積んだ経験値の高いベテランの人の舞台が総じて安定感があるといえます。(もちろん新人の舞台もフレッシュで魅力ありますが)

私は、新宿区神楽坂にある矢来能楽堂(やらいのうがくどう)を本拠地に活動している観世九皐会(かんぜきゅうこうかい)というシテ方の団体が直属のグループです。

プロの公演や、アマチュアの舞台など、年間50-100公演ほどの舞台に出演するので、能楽修行に入った20代から40年間。過去2千から3千公演以上は舞台に関わっている計算になります。

私は還暦を過ぎましたが、能の世界は定年がなく90歳過ぎても現役バリバリの大先輩もいますので、それを励みに道を歩いています。
能をやる人は、年齢を重ねても若い頃と生活が変わらないので(勉強し、稽古をし、体を動かし、大きな声を出す、そして本番で人前で勤める。また準備や雑用も自分で何でもやるなど)
そのせいか比較的年を取らない人が多いので、それも芸事の良いところです。
能の演目は200曲以上あるので、学ぶことが多く、未だに日々勉強の毎日。
能の世界には「40.50(歳)は鼻垂れ小僧」なんて言葉があり、ようやくこの年になり、経験を積んで少し見聞が広がってきたかな。という奥深く面白い世界です。

能楽師(のうがくし)というのは、ちょっと珍しい仕事かもしれないので、演者の視点から何か能について書ければと思います。
今後とも、どうぞ宜しくお願い申し上げます。


Profile
遠藤喜久
能楽観世流シテ方
能楽協会会員
観世九皐会所属
観世流準職分
重要無形文化財総合認定保持者
幼少より子方を勤め、三世観世喜之のもとに住込み修行に入り、以降40年近く舞台を勤め、現在も現役で舞台に出演。
能楽重習曲、翁、道成寺、望月、砧、安宅など披歴。
矢来能楽堂を本拠地に国立能楽堂をはじめ各地の公演に参加。また、ワークショップや学校公演などアマチュアの指導、普及講座にも長年尽力。
埼玉県の所沢ミューズでは、能楽公演と共に、延べ800名以上の人と体験ワークショップを行っている。
公演のない時は、東京中野、練馬、埼玉、秋田等にて、一般の方を対象に、仕舞や謡いを、身近な習い事として稽古、指導している。





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