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クラウド・ルー インタビュー in京都音博「音楽を通じてハッピーを届け、生命の瞬きを伝えたい」

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α-STATION FM京都『IMAGINARY LINE』
2018/10/28(日) 放送分 ラジオ書き起こし ※インタビュー部分のみ
ゲスト:クラウド・ルー(盧廣仲)
インタビュアー:岡村詩野(音楽評論家・音楽ライター)
通訳:星原宣子
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京都音楽博博覧会2018に出演したクラウド・ルーの現場インタビューがとても良かったのでラジオを書き起こしました。
クラウド・ルーの発言は中国語を聞き取りし、極力意訳・要約せずオンエアより細かく起こしています。10分ちょっとの短いインタビューですが、創作に対するスタンスやくるりと自分の音楽について、2019年の活動予定など、台湾でも語られたことのない新エピソードがたくさん引き出されています。

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岡村詩野(以下「岡」)
岡:わたくしは今、9月23日(日)京都音博博覧会 梅小路公園の会場に来ています。目の前にはこの方がいらっしゃっています。まずはお声をお聞かせください。

クラウド・ルー(以下「ク」)
ク:クラウド・ルーです。
岡:こんにちは。
ク:コンニチワ。
岡:はじめまして。
ク:ハジメマシテ。

岡:わたくしはクラウド・ルーさんにお会いするのは初めてなんですけれども、いまライブが終わったばかりのタイミングでバックヤードにかけつけてくれました。今回はくるりが主催する「京都音博」、こういう雰囲気の野外フェスティバルに実際出演してみて、感想はいかがでしたか。

ク:くるりがこのフェスに僕を呼んでくれてとても嬉しいです。僕は京都のお寺や神社を見るのが好きなので、京都で今回初めてミュージシャンとして演奏することが出来て、新しい体験ができてとても嬉しいです。

岡:京都は通算で何回ぐらい訪ねていらっしゃるんですか?
ク:少なくとも…5回以上。
岡:おお~、結構ベテランですねぇ。好きな場所とか雰囲気が気に入っている、また行ってみたいところはありますか。
ク:秋の嵐山が特に好きです。
岡:じゃあまさに、このあと1~2か月後のシーズンですね。

岡:クラウド・ルーさんは1985年台南生まれ、日本でももうおなじみのアーティストでいらっしゃいます。わたくしも実は単独公演を見させていただいたことがあって、作品も大好きです。

今日、わたしが伺いたかったことなんですが、ふだんいち音楽リスナーとしてどんな音楽やアーティストを聞いていて、また作品を作る上ではどんな音楽にインスパイアされることが多いですか。

ク:僕はブルースとソウルが一番好きなので、作品をつくる上でもこの辺のジャンルの音楽の影響が大きいと思います。例えばスティービー・ワンダーやレイ・チャールズなどの類ですね。

岡:ブラックミュージックは、いま世界規模で新しい世代のミュージシャンが人気を集めていますね。最近ではアメリカでR&BやHIPHOPのセールスがROCKを上回ったというニュースも話題になりました。そういう感じで、新しくブラックミュージックに目覚める若いリスナーも増えていると思います。

クラウド・ルーさんは、もちろんブラックミュージック(だけ)とは言いきれないアーティストですが、ご自分の活動を通じてブラックミュージックの若い層への拡がりや手ごたえを実感することはありますか。

ク:僕がブルースやソウルを好きなのは、楽しく自由な感じがするからなんです。僕は僕の音楽を聞いてくれる人々に、そういったムードやポジティブなエネルギーを届けたいと思っています。僕の音楽を聴くことで皆さんの生活が楽しくなればという思いで、歌ったり音楽を作ったりしています。

岡:確かにブルースやソウルはもともと労働者の日常生活の中から口伝えで発祥した、生活に最も密着した所にある音楽ですよね。
クラウド・ルーさんの音楽は仰々しい“音楽”ではなく日々の生活から自然に生まれてきている歌という印象もあるので、そういう意味でブラックミュージック、ブルースやソウルの本質をしっかり受け継いでいるんじゃないかな、と思います。

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岡:実際に曲を作る時、表現するのが一番難しいと感じるのはどんな所ですか。

ク:僕はメロディは割と直観的に出てくるんですが、それに対して歌詞は割と苦労することが多いです。
僕は自分が歌う歌詞には自分の生活を記録したいと思っていて、生活記録でありつつ、同時に歌詞を通じて僕の物事に対するとらえ方や世界観や人生観を分かち合いたい、曲を通じて(僕という)一人の人間の生命の瞬きを伝えたいという思いでずっと音楽を作っています。音楽によって、ファンの皆と一緒に成長していけると思っているので。

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岡:歌詞を作る上でのモチーフは音楽以外にも本や映画、日常生活など色々ありますが、最近の曲で元にしたモチーフの例があれば教えて下さい。

ク:曲を作る時は『佛母』の姿を想像しながら書くことが多いです。『佛母』は僕たち1人1人のいのちの中に存在し、ずっと成長を見守ってくれている存在です。『佛母』と話したい時は(心の中で)『佛母』に語りかけます。そうして書いた歌詞は自分でも感動します(笑)
※『佛母』は対応する日本語が無いため中国語のまま記載
※参考:「幾分之幾 you complete me」の歌詞は『佛母』を思い浮かべながら書いたそうです

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岡:歌詞を書く時、具体的に想定する人物や曲を届けたい相手がいたりしますか。

ク:そういうケースもあります。ある時は誰かに向けて、またある時は特に目的なく、潜在意識から歌詞を書くこともあります。でも、潜在意識のひらめきで書いた歌詞は出来があまり良くないと、後から気づくことが多いです(笑)

岡:出来が良くないと思った曲はもうボツにしちゃうんですか?

ク:以前は自分でイマイチと思ったらもう人には聞かせない事が多かったけど、最近は「イマイチだけどそれも僕の一部」と思うようになったので、機会をみつけて世に出すようにしています。(と言った後、ずっと笑っているクラウド・ルー)

岡:そういうお話を伺うと、今後クラウドさんの音楽を聴くのがまた違うイメージになりそうで、楽しみです。

岡:今日はちょっともう一つ質問したいんですが、くるりとは去年ラジオにゲスト出演されてそこから交流が生まれ、今回音博に招待してもらったということですが、くるりの音楽とご自身の作る曲に共通するにおいとか、何か近いものがあると感じられるとしたら、どんな所だと思いますか。

ク:くるりの音楽は、聞いていて楽しくなるタイプの音楽ですね。僕は(日本語の)歌詞の内容は分からないけれど、(くるりの曲の)アレンジや曲の雰囲気から、潜在意識にあるハッピーな気持ちが呼び覚まされます。

今日の僕のステージでも、お客さん達は(中国語の)歌詞が分からなくても音楽に合わせて踊ったり手拍子してくれていて、それが僕たちが通じ合うポイントだと思ったので、僕もお客さんの潜在意識のハッピーな気持ちを喚起できたのかなと思いました。

岡:クラウド・ルーさんの曲はバンドセットじゃなく弾き語りでもグルーヴがあって、体が自然に動くようなある種の楽しさや躍動感、フィジカルな良さがすごくあるので、そういう所ももしかしたら(くるりの音楽と)共通するのかなと思います。

ク:今日の音博での弾き語りソロパフォーマンスは、くるりの為に準備したんです(ウフフと笑い)。

岡:たぶん彼らもすごく喜んでいると思います。

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岡:京都にはすてきなライブハウスやコンサート会場がたくさんあるので、ぜひ今度はゆっくり、単独公演をしに来てください。

ク:すごく楽しみです。ぜひまたその時にお会いしたいです。

岡:来年(2019)の予定、ニューアルバムの予定などを聞かせてください。

ク:現在、カバーアルバムとオリジナルニューアルバム、それぞれ1枚を準備中です。今後イレギュラーな事が特になければ、2019年は2枚のアルバムがリリースできると思います。

岡:すごーい!忙しそうだ。カバーアルバムはちなみにどの辺のアーティストをやる予定ですか?ちょっと教えてもらえたら。

ク:・・・・・・
通訳:ちょっと秘密にさせていただきたいと思います。
ク:(笑)

岡:もしかしたら、スティービー・ワンダーやルイ・アームストロングなどのルーツ、影響を受けたアーティストの曲が聞けるかもしれませんね。
とっても楽しみにしています。
IMAGINARY LINE、この時間は、京都音楽博覧会2018に出演されたクラウド・ルーさんにお話しを伺いました。そして通訳をしていただきましたのは、星原さんでした。どうもありがとうございました。

ク:アリガトウゴザイマシタ。

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FM京都「IMAGINARY LINE」番組twitter:@fmkyoto_ImLine  #イマラジ
岡村詩野さん twitter:@shino_okamura
クラウド・ルー twitter:@hiposition / instagram:@captain.lu

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