見出し画像

クライアントとの共通言語を持っていないとお話できないし、デザインできない

日本の企業の99.7%は中小企業、個人事業者です。これらの名も無い企業が日本を動かしているのです。この人たちに寄り添い、デザインの力で中小企業や個人事業者のビジネスを成功に導くことが、デザイナーに課せられた使命だと思っています。(もちろん大企業のお仕事も大切ですが今回はちょっと置いておきます)

デザインの力を発揮したいとは思っていても、難しい壁として立ちはだかるのがクライアントである経営者とのコミュニケーションギャップです。

これまでいろんなクライアントさんとお話ししてきて、クライアント(中小企業の経営者)は自分の会社経営のことで頭がいっぱいで、僕たちデザイナーが思うようなデザインやクリエイティブやイメージなどの重要性に関してはほとんど関心がないんだな〜と感じています。

しかし、相手のビジネスに関してこちらが関心を寄せると、目の色が変わります。「お、デザイナー のくせに、わかってるね」という具合に。同じ世界の空気を吸う人間にならなければ話が通じないので本気で腹を割って話をしてくれない気がしています。

このことはデザイナーが税理士さんと話をするときに、お互いの専門分野が違いすぎるために、「こちらは税金のことはよくわからないからうまくやっといて」という気分になってしまうことに似ているのかも。

税理士さんに「いやあ、ここのフォントの選び方次第でイメージの世界観が一変しますね。このレイアウトはスイスタイポグラフィの影響を受けているんですか?」なんてこと言われたら「お、税理士のくせにわかってるね」とつい口にしそうになるよね。(税理士のくせになんて失礼なことは口にしませんが)

つまり経営者と同じことばや言語を理解し、悩みや関心にどれだけ共感して寄り添うことができるのか、が大切なのではと思います。

ではどうすればそうすることができるのか?クライアントさんの専門分野の勉強をすることはなかなか難しいし、にわか勉強をしてもこの道何十年という専門家にはかないません。同じ経営者として最大公約数で、共通語となるのはやはり経営の知識や社会のトレンドです。どんな業界の社長さんでも知っている言葉をデザイナーはどれだけ理解できるのでしょうか。

コロナ禍の時代の成長戦略、競争戦略、イノベーション、SDGsと売り上げの相関関係、多能工化のメリットデメリット、モチベーションを上げるための組織などなど、まるで日経ビジネスの特集記事のタイトルのような言葉ですが、経営者さんは日頃からこのようなことに関心を持ち、考えているのです。

だからデザイナーもこのようなことに関心を持って、勉強していくことが必要です。デザイナーの作ったデザインはクライアントのその先の広い社会へ発信され、広がっていき、誰かに影響を与えるものとなるのですから、その現代社会に対して疎いデザイナーというのはいかがなものでしょうか。商業デザインはアートではなく、経済やビジネスのひとつの重要な手段であることを頭に置いてデザインを考えていきたいものです。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?