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文学カフェのボルシチ

文学カフェ(Литературное кафе)で食べたボルシチです。現地のボルシチの写真を見るといつも思うのが、いつでもディル(写真のボルシチにトッピングされてるハーブ)が手に入っていいなー、なんですよね。日本はこれが手に入りにくく(高級ストアならあるかと思ったら見当たらず、あったと思ったらおかひじきだった)。ハーブなのでベランダあたりで育てることもできるんですが、残念ながらうちはしいたけとサボテン以外は枯れる家。

文学カフェの2階です。「インスタ映えするよ」と窓側の明るい席に通してくださいました。文学カフェというのは、ロシアの文豪プーシキンが決闘前に立ち寄ったことで有名なレストランです。同じく文豪ドストエフスキーもお客さんだったそう。

文学カフェは、ボルシチとかカツレツ、ビーフストロガノフみたいな、ベタなロシア料理が食べられるお店です。ネットを見ると、そんなに高級なレストランじゃないとか、味はそこそこ、まあ観光客むけだね、みたいなちょっとネガティブな評価もあるんですが、この内装だし、BGMはピアノの生演奏だし、料理のスタイリングはかわいいし、歴史はあるし、美味しいし、リーズナブルだし、日本から来た庶民からすると、もうじゅうぶんです(むしろこれ以上高級な雰囲気だと緊張して困ると思う。あとドレスコードとか余計なことが気になっちゃって)。

サッカーW杯の時期に、日本のメディアが謎のペリメニ推しをしたせいで有名になっちゃって、やたら食べたがるひとが増えてるらしいんですが、この料理は現地では、たこ焼きとかお好み焼きみたいなポジションらしいです(水餃子みたいな料理です。たまたま見かけた紹介のしかたが、「肉汁たっぷり、もっちもち」みたいな感じだったので、まあ勘違いするのもわかります。高級中華でも水餃子は出てくるし)。そのため高級レストランでは出てくるはずもないんですが、どうしてもそこで食べたい、といって譲らない日本人観光客も多く、ガイドさんが困っているそう(事情を説明したらわかってもらえないんですか?と聞いてみたんですが、これを食べにはるばるロシアまで来たんだから、というテンションでなかなか諦めてもらえないそう)。

でも文学カフェはそこまで高級なレストランではないので、メニューにあります。見た目がゴージャスなわりに観光客の希望が叶いやすい、ありがたいレストランです。ペリメニは、スーパーにいけば冷凍食品のコーナーにたくさん売ってるので、それを家で茹でて食べるというのが、現地っぽい食べ方のようです(手作りされるかたもいらっしゃいます)。でも旅行者はそういうわけにもいかないので、テレモーク(ロシア料理のファーストフード店です。チェーン展開しているのでわりと見つけやすいです。吉野家のようなもの。ブリヌイとかボルシチが手軽に食べられます)でオーダーするのがちょうどいいかもしれません。テレモーク、日本に来ないかな。

地図入れ放題なの便利。文学カフェ、けっこうエルミタージュ寄りなことに、今頃気づく。川2本分より先だと思っていました(現地ではぜんぜん気づきませんでした。原因は、最後の頃までイサアク大聖堂とカザン大聖堂の区別がついていなくて、ごっちゃにしてたせいで、頭の中の方位磁針が狂った)。

大通りに面した1階の窓辺には、執筆中のプーシキン(蝋人形)がいます。原寸なので、遠目では誰かお客がいるようにしか見えません。

何のサラダか忘れたんですが、ツェーザリ(Цезарь:日本で言うところのシーザーサラダ)かな? テーブルクロスの色が深緑なので、皿の下に敷いたレースペーパーが映えます。レースペーパー、うちに山ほど余ってるので(基本、1組100枚売りなので)こうやって消費しようと思います。

文学カフェの場合、お会計の伝票は、本を模した箱に入った状態で、テーブルに置かれます。ファベルジェ美術館のカフェでは、卵のかたちの箱でした(ファベルジェ美術館のメインが卵細工なので)。

この箱にお金を入れて、いったん戻すと、お釣りを入れて持ってくるので、そこにチップを入れてまた戻す、という手順でした。チップ、何から何まで出さなければいけないというわけではなく、サービスにすごく感動したら出す、くらいでいいそうなんですが、レストランは別で、10%くらい渡すのが普通だそうです。

出入り口にくまがいます。原寸です。剥製かもしれない。ペテルブルグを歩いていると、店先に原寸のくまのぬいぐるみや剥製を見かけることがありますが、くまは出ません。

文学ついでに、ドストエフスキー博物館(Музей Ф. М. Достоевского)の近くを通りすがったときの写真です。ドストエフスキーが最後に住んでいたアパート(上の写真)が博物館になっています。

地下鉄のドストエフスカヤ駅を出たらわりとすぐ、という感じです。

駅前にドストエフスキーのぼっち像があります。『罪と罰』の舞台となったセンナヤ広場付近は、治安があまりよいとは言えないエリアなのだそうですが、ドストエフスキーヲタの日本人が事情を知らずに聖地巡りをしようとして、トラブルにあうこともあるそうです(なぜ日本人はそんなにドストエフスキーが好きなのか? と現地民は不思議に思っておられるそう)。ドストエフスキー作品に限らず、聖地巡りを計画するときは、現地の治安状況をよく調べておくのをおすすめします。外務省のサイトにも、情報がいろいろ載っています。


また同じ駅前に、ドストエフスキーが洗礼を受けたというウラジーミルの生神女大聖堂(Собор Владимирской Иконы Божией Матери)があります。「生神女」ってなんやねん、と思いますがもう気にならなくなりました(聖母、みたいな意味だそうです)。ここもあちこち修復中。駅前ロータリー挟んですぐ、みたいなとこにいきなり建っているので、こちらも広場の中央にぽつねん、という写真にはならないです(日本人がイメージするかわいいロシア、広場に玉ねぎ屋根がぽつねん、は田舎にいかないと見れないのかも)。御茶ノ水のニコライ堂、狭い道に接するように建っているので、後ろに下がって全体像を撮る、ということがやりにくいんですが、もともとそんなもんなんだな、というのがわかりました。

ドストエフスキーというとなんか格調高いもの、と勝手に解釈してましたが、中学校の教科書に出てくるようなもので、格調高くはないらしい(ただひたすら暗いだけ…と現地ガイドの人がおっしゃっていました)。ペテルブルグの土地勘もできたし、今度読んでみようと思います。

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