MP連載第二十九回:タスク単位、1日単位、それ以上におけるMP消費計画

MPが消費されているという感覚は、精神的な疲労感です。

体力的にはまだ、外を1㎞くらいは走れる。しかし、住所の宛名はもう1通も書けない。というのがMPの消耗感です。マラソンできるのに住所の宛名が書けないということは、肉体疲労的には説明がつきません。

この疲労感は、タイムスパンに沿って、3タイプに分けられると経験的に考えています。

1つは、タスク単位です。
あまりに同一の作業を続けると、その作業が続けられなくなったり、続けられるにしてもかなり雑になったりします。工場のルーチン作業でよく問題になります。心理学的には「心的飽和」として知られる現象です。

2つめは、1日単位です。MPは睡眠によって著しく回復するため、倉下さんも触れられていますが、起床時から入眠に至るまで、基本的には一貫して減るとされています。

少なくともある程度生活習慣に気を配っている作家は、ほぼ例外なく「午前中から昼食までが一番仕事がはかどる」といいます。寝る直前に本を書くという作業は、精神的にキツいのです。

3つめは、長期間にわたるMPの消費です。これは1週間から半年に及ぶこともあります。

睡眠によって毎日のように「補給」されているのに、長期にわたって「MPが不足気味」になるというのはたとえば、学生時代の「学期末テスト期間」のことなどを思えば想像がつくでしょう。

特定のことを絶え間なく気にせざるを得ないため、起きている時間は何をしていても、「余計なMP消費」が止まりません。同時にその特定の気がかりのせいで寝不足になることも多い

つまり、覚醒時には余計な消費があって、しかも補給がうまくいかない。その課題が消えるまでの間、MPの慢性的不足は解消されないのです。

ちなみに、この特定の課題に「持病」があることもあります。

この3タイプのMP不足に対して、それぞれに対策を打つことも可能です。そ対策の中には「GTD」と呼ばれるものや「タスク管理」と呼ばれるもの、あるいは「長期計画」と呼ばれるものがあるわけです。

いずれの方法論においても、「頭を切り替えるシステムを持つこと」や「気がかりな課題から距離を置くこと」や「計画的に休憩を取ること」が含まれるのは、こうしてみると当然と言えます。

MPの使用と回復は同時に行われないため、消費が続けば回復を要するのです。しかもその回復率は消費速度を上回っている必要がある。くわえて、消費している時間帯による作業の生産が、締め切りとの競争に勝たなければなりません。

仕事の計画とは、こうした文脈で見れば、MP消費計画のことに他ならないわけです。