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少年と犬。

【ジョン・走る】(九谷陶板画)
戸出雅彦 作 
〜@金沢西病院 1fロビー常設展示〜

ときどき通っている病院のロビーに飾ってある、大きな九谷焼き陶板画。

見ているだけで元気をもらえる楽しい作品で、通院の子ども達に人気がある。

今日も作品の後ろ足を撫でていた子どもが、触るんぢゃありません!と母親から叱られていた。

こんなコロナ禍の状況だからこそ、病院の雰囲気を明るくする「アートの存在」はとても大切だと思う。

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青空を駆け巡り愉しげに吠えているジョンは、作家が子どもの頃、飼っていた犬がモチーフだと云う。

陶板画以外の戸出雅彦の作品にも、ジョンはしばしば登場する。

急須の蓋に前足をかけたり、水鉢に穴を掘ったり、大皿に寝そべったり。。

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ふと、谷川俊太郎の『ネロ』(愛された小さな犬に)という珠玉の詩を思い出した。

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ネロ
もうじき又夏がやってくる
お前の舌
おまえの眼
お前の昼寝姿が
今はっきりと僕の前によみがえる
お前はたった二回程夏を知っただけだった
僕はもう十八回の夏を知っている
そして今僕は自分のや又自分のでない
いろいろの夏を思い出している
メゾンラフィットの夏
淀の夏
ウィリアムスバーグの夏
オランの夏
そして僕は考える
人間はいったいもう何回位の夏を知っているのだろうと
ネロ
もうじき又夏がやってくる
しかしそれはお前のいた夏ではない
又別の夏
全く別の夏なのだ
新しい夏がやってくる
そして新しい いろいろのことを僕は知ってゆく
美しいこと みにくいこと
僕を元気づけてくれるようなこと 
僕をかなしくするようなこと
そして僕は質問する
いったい何だろう
いったい何故だろう
いったいどうするべきなのだろうと
ネロ
お前は死んだ
誰にも知れないようにひとりで遠くへ行って
お前の声
お前の感触
お前の気持ちまでもが
今ははっきりと僕の前によみがえる
しかしネロ
もうじき又夏がやってくる
そして
僕はやっぱり歩いてゆくだろう
新しい夏をむかえ 秋をむかえ 
冬をむかえ 春をむかえ
更に新しい夏を期待して
すべての新しいことを知るために
そして
すべての僕の質問に自ら答えるために

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かく云うわたしも子供の頃、2匹の犬を飼っていた。

メルとリック。

メルは、芝犬の雑種で小学から中学の頃。

リックは、秋田犬の雑種で2人の弟たちが可愛がっていた。


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他にも好きになった犬はたくさんいる。

ラッシー、タロとジロ、パトラッシュ、そしてジョリー。

たとえドラマやアニメのなかであろうと、

たとえ血統書があろうと無かろうと、

いつだって犬は少年にとって一番の親友である。