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夜の高速道路に人生を魅る

夜行バスの窓から遠ざかるネオンを見る。
15の春を思い出す。

あの日私は期待と孤独でいっぱいだった。
親元を離れ、都会での一人暮らし。
きらびやかなネオンはまるで夢のサンセットストリップ。
ウォークマンから伝わる振動を感じて不敵に笑う。
気分はロックスターだった。

やさぐれた今の私は夜行バスで何処に向かうのか。
残念ながら大したドラマはない。
急遽決まった只の正月休みのスノボツアー。
大嫌いな長距離移動とアウトドアを克服する為に向かっている。
一緒に来た親友はゴープロや360度カメラを玩び楽しそうだ。
私は窓の外を見る。

年末年始の高速道路は家族連れが多い。
これから実家へ帰るのか、それとも日常に戻るのか。
インターチェンジでは孫を抱えて微笑むお爺ちゃんお婆ちゃん。少しよそよそしい嫁や夫。
思春期の子供は親と並んで歩くのを嫌がっている。
旅行へ向かうのであろう大学生の集団、友人や恋人と楽しそうにはしゃぐ若者達。疲れた顔のトラックの運転手。
私達はお揃いみたいなスポーツウェアを着てお揃いのムートンブーツを履いた仲の良いカップルに見えているだろう。
人は表面だけでは分からないものだ。

すれ違う車の中を見る。
眠そうに運転している一人の男性。もしかしたら彼だってこれから暖かい家庭に帰る途中かもしれない。
再出発の最中なのかもしれない。
急な出張が入ったのかもしれない。
1人1人、1台1台にストーリーがある。

家なのか街なのか、みんなどこかへ帰っていく。
そして新たな出発をした人もいる。

駅や空港のターミナル 高速道路 インターチェンジ。
そこは人生の分岐点であり通過点。

高速道路から見えるビルに灯りがともる。
正月早々、スーツ姿でオフィスで残業している人。
まだクリスマスの飾りが残ったままの家。
暖かい光が漏れているのを見ると心が和む。
きっと、この窓の中一つ一つにもストーリーがあるのだろう。

幸福も不幸も出逢いも別れも入り交じった夜のネオンとヘッドライト。このカオス感が堪らなく好きだ。

私はウォークマンのイヤホンを装着する。
今の気分はクラシックでもヘビメタでも邦楽でもない。
ジャニス・ジョップリンのアルコホリックな声が聴きたい気分だった。

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MEMELAB

ミームラボです。 楽しい事と美しいものと絵を描く事と音楽と映画と人間が好きです。 笑ってハッピーに生きてたい。 お仕事依頼は随時受け付けております。 楽しい企画などありましたら是非参加したいのでお気軽に連絡下さい。

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