
アイツ―Vの者
もういくつ寝るとクリスマス。
これまで何度かTwitterで話題にしたことはあったのだけど、ちゃんと言及をしていなかったのでこのクリスマスアドベントカレンダーイベントを借りて思いの丈を綴ってみたい。
世界一有名なバーチャルキャラクター
わたしが世界で一番有名なバーチャルキャラクターなのではないかと密かに思っているアイツ。サンタクロース。
1821年作者不詳の絵本に始まり、その後多数の人の手によって形作られた彼は、多少の違いはあれど世界各国でほぼ共通のビジュアルをしているし、行動もほぼ同じ。実在していないのにも関わらずだ。
サンタクロースがサンタクロースで在り続けていられるのはなぜなのだろうか?
子ども達は信じる
朝起きたらプレゼントが枕元にある。
こんなことしてくれる人は良い人に違いない。
好き。大好き。
子どもも大きくなると真実を知る。
でも、もしそれを言ってしまったらまるっとサンタクロースからのプレゼント分が無くなるかもしれない。
だからちゃんと気づいてないふりをする。
あたかも、サンタクロースがいるかのように振舞う。
子どもによっては「あれ、お父ちゃんなんだぜ」「未だに信じてるやつはガキ」などと萎えることを言って回っては悦に入るのも出てくる。
好きな人はずっと居て欲しいもの。だから「本当は居ない」って言われても、「本当は居ない」って知っていても否定したくなる。好きな人が居なくなっては悲しいものね。
大人達は演じる
子どもが欲しがっているものをそれとなくリサーチし、こっそりプレゼントを買っては見つからないように押入れの奥に隠し、クリスマスの夜には枕元にそっと置く。
人によっては自分の教育理念から外れようとも、子どもの描くサンタクロース像を壊さないようなプレゼントを選ぶかもしれない。
もういい加減バレているのがわかっていても、子どもが知らないふりをしてくれる限り演じ続け、そういう建前を崩さずにイベントとして成立させる。
これって
Vtuber周りの演者もファンも同じだなと思うのですよ。
人の手で作り上げられた2Dや3Dの偶像と知りながら、また、場合によってはどんな機材で中の人が誰なのかすら知っていながらも、ちゃんとバーチャルキャラクターとして迎え入れ盛り上がることが出来るし、手の内がバレていても喜んでくれるなら全力で徹する。
中の人がどうとか所属企業がどうとかは、サンタの中身がお父ちゃんなのをバラされるのと同じで、「そんなことは知ってて楽しんでる」のよね。
バーチャル蠱毒
思えば、同じ姿、同じコンセプトでそれを12人集められても、それがそれぞれ独立した人物であり、かつ同一人物でもあるようにリスナーが対応できたのも、サンタクロースによって鍛えられた結果なのかもしれないと思ってしまう。
世界中を飛び回るなんて、一人では絶対に無理なのに一人しかいないという設定を貫き、それでも遠く離れた友人のもとに来たサンタクロースの存在を否定しない。
バーチャルキャラクターの存在は矛盾すらも超越して人々の心に焼き付いていく。
Vtuberはサンタクロースに追いつけるのか
サンタクロースは3種類居る。
元となったキャラクター、お父ちゃん、そしてサンタクロース協会公認サンタクロース。
公認はそうそう簡単に取れるものではなく、現在世界に120人前後しかいない。サンタクロースというものが絵本の中に居た空想上のキャラクターであることを理解していても、公認サンタはもはや限りなく本物に近い状態にある。ぶっちゃけ会ったら大人でも感激する。
空想の世界からリアルの世界に肉体を持って顕在し始めたサンタクロースに、Vtuberは果たして追いつけるのだろうか?
見てみぬふりをしている中の人、企業、ポリゴン数、制御…そんなものに一切の疑念を抱かないほどの圧倒的な説得力を持ったVtuber。いや、Vtuberでなくてもいい。
わたしは追いつけると思っているし、いずれは個人で持てるサブアカウントのような戸籍が出てくると思っている。そうなれば、自身が思う夢の住人として生きることも実現するのではないだろうか。
もしそれぞれの空想を纏って顕在化した一般人と共に暮らす現実世界なんてものが出来たとしたら、もしかしたら、子どものままでいられるのかもしれないね。
2018年わたしはこんな思いに浸れるプレゼントをサンタクロースにもう貰ってしまった。
ゴッドブレスユー。みなさまに神の祝福を。
メリークリスマス!