あっ、いらっしゃい。
久しぶり、
ほんと、ひさしぶりよねぇ！
急なお願いだったのによく来てくれたわね。
あぁ、嬉しいわ！
さ、とりあえず座って、乾杯しましょ。

ええ、ええ
積もる話はそれから、ね。

はい、どうぞ。

じゃ、乾杯！
……
元気そうでよかった。
あれからもう、５年もたつのよ、覚えてる？
そう、
入院でしばらくお店休んだでしょ、
そのあと、寂しくなって再開したけど……

はい、次はこれね。
え？これ？ピーマンよ
きらいだった？大丈夫でしょ？
かき混ぜて食べてみてね。

それから……
と、
今日のメインはこれ、鰯のなめろう。
鰯、好きでしょ？
ふふ、言うと思ったわ。
普通の刺身で食べたほうが好きなのよね。
でも、あたしなめろう好きなのよ。
……
ね、悪くないでしょ？
私の得意料理なの。

……
うん、そうなの。
問題がなければ明日から、開店するつもり。
だから今日は全部私のおごりね！
いいのよ、だってお願いして来てもらったんだし。
何しろまだお店やってないんだから。
ふふ、そのかわり、お店が始まったら
ジャンジャンのんで食べてね！

あ、ごめんなさい
つい話に夢中になっちゃって。
お酒、おかわりね。

はい、お酒のおかわりと、あとはこれね。
酢の物、さっぱりしていいでしょ。
え？私の好きなものばかりだろうって？
あら、覚えててくれたのね。
……
そりゃそうか、しょっちゅう入り浸ってたものね。
あ、ごめん、来てくれてたものね。
あの頃のみんな、また来てくれるかしら。
懐かしいわぁ……

そう、お酒はもういいの？
もうちょっとなんか食べられるでしょ？

これね、さっき私が食べるんで作ったの。
ほんの少しだけど、
こういうの食べるとおなかが落ち着くでしょ。

……
あら、もっとゆっくりしてってくれていいのに。
そう、商売繁盛ね、それはよかった。
じゃぁ、また近いうちにいらしてね。

今日は楽しかった、ありがとう。