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【能登半島地震】スターリンクは万能か?

支援業務と自分の生活再建のため書く時間が取れなくなっています。このためしばらくの間、@Nahomamamuu さんに校正や編集をお手伝いいただいています。ありがとう。

元旦の地震発生直後、スマホもすぐ使えなくなりました。
通常なら基地局のバッテリーを稼働させて、半日程度は通信可能な状態にするのが現在の基地局標準なのですが、 今回の地震では大規模な地殻変動があったために山崩れが頻発し、おそらく基地局も倒壊など大きな被害を受けたのでしょう。

BCPのセミナーなどで「半日ぐらいはスマホがつながります」と言っていた過去の私を叱ってやりたい気分です。ごめんなさい。


大切な電話番号は暗記しましょう

ドコモはすぐに繋がらなくなり、ソフトバンクもパケット通信ができなくなりました。
ただ電話だけはかろうじて繋がったので、家族と実家には電話して無事を伝えることができました。

一方でスマホが繋がらずお困りの方たちが避難所にいらっしゃいました。非常時ですからもちろんお貸しするのですが、そのうちの何人かは連絡先の電話番号がわからず、通話できずに戻ってゆきました。

最近はスマホに電話番号を登録してあるので、暗記しないんですよね。親や子供には必ず緊急連絡先の電話番号を暗記させるようにしましょう。

とはいえ私も会社の電話番号を覚えていません。覚えていたとしても、そもそも元旦でお休みです。
普段はSNSなどを使っていくらでも連絡できるのですが、ネットが使えなければ、IT企業の社員など丘に上がったかっぱも同然です。

SNSでしかつながっていない人も多いんですよね

地震発生後、私がSNSに書き込まないことで心配してる人はいるんだろうなと思いつつ、どうにもできませんでした。

24時間以上経って、軽トラで通れる道を歩道とかも使って縫うように走り、能登空港に着いてネットに繋がった時は、スマホの通知音が5分ぐらい鳴り止みませんでした。
皆さん心配して下さってありがとうございます。

復旧作業でも困るのは通信がつながらないことです。 足りない物資もあれば、薬のない人もいるし、 使えるトイレがどこにあるかもわからない。
何より大事な人の安否がわからない。

金沢の実家に避難してからも、能登に親類や家族がいる知り合いなどからひっきりなしに問い合わせが来ますが、 自分の避難所以外の事は何も解りません。通信が繋がらないのはほんとに困ります。

スターリンクがやってきた!

と言うことで、私も衛星インターネット「スターリンク」を探しました。

サイボウズにはなかったので、社員の皆さんにパートナーさんなどを当たってもらった結果、三重県のコムデックさんがなんと3台も出してくれることになり、 初期設定が終わったものを半日で準備してくれました。

伊勢でスターリンクを準備してくださったコムデックのみなさま。kintoneの構築サポートには定評がありますのでよろしかったらお問い合わせください!

そして、 名古屋在住のサイボウズ社員のコジマくんが伊勢から金沢駅まで運んできてくれました。

金沢駅のコンコースで受け渡し!

翌日から早速持っていこうと思ったんですが、タイミングの悪いことに翌日から天候は雪。当時の道路事情ではとてもパンクせずに走りきることができません。

なので、とりあえず金沢市のほくりくみらい基金の事務所に持っていってテストしてみたのですが、あんまりうまくいきませんでした。

スターリンクは、アンテナの向きを自分で調整してつながる衛星を探してくれるのですが、真上から北西の方向にかけて開けた場所でないとうまくつながってくれません。
街中では、真上が空いていることが意外になくて、特に軒下だと軒がひっかかってアウトです。

ルータに電源がついていて、そのルータから10メートル位のケーブルでアンテナにつながるのですが、このケーブルが専用ケーブルで延長できません。

なので、窓や玄関からケーブルを敷ける位置で設置場所を探すのですが、建物から10メートル以内で真上から北西が空いている場所を探すのは意外と困難です。

と言うことで、テストはしたもののあまり意味のない結果となって、現地に持っていくことになりました。

空があれば無敵の衛星インターネット

友人がいる門前町黒島地区の避難所で電波が繋がらない状態が続いていて、海のそばまで友人が出てくる1日に1度しか連絡が取れず(海上基地局があったので海のそばのみ通信可能)、避難物資のやりとりなどに支障をきたしていたので、まずはそこに持っていきました。

もの珍しさもあって、設置作業時はちょっとした人だかりとなりました。 テストの結果、繋がらない条件だけはわかっていたので、軒下を避けてベースを作り、電源を入れると私の心配をよそにあっさりつながりました。

コンクリートの側溝をひっくり返して台座にしてその上にアンテナを設置。避難所のみなさんがウキウキで作業してくれました。
ちなみに電源をいれてしばらくするとこのアンテナがウィーンと動いて衛星を探しだし「おおーっ」と歓声があがります。

最近は、LINEのIDを持っている人が多いので、LINEのビデオ通話を使うと家族と顔を見ながら話すことができるんですよね。
スターリンクの場合は、回線容量もそこそこあるので、同時に何人かビデオ通話することも可能です。

設置したおかげで家族の顔を見ることができた人もいたようで、お役に立ててよかったです

スターリンクの購入を検討している方へ

そんなわけで、非常に助かっている衛星インターネット「スターリンク」ですが、私の目論見と違ったというか、設置上の注意点はいくつかあります。

1. 真上から北西方面にかけての空が見える場所に設置すること

前述の通りですが、都会では屋上以外に設置する場所はなさそうです。
逆に僻地では大変な武器になります。
私の山の中にも設置したいところですが、木が邪魔をしそうな気がするのである程度杉の木を伐採した後になりそうです。と言うわけで、設置場所を探すのにはちょっと苦労します。

2.意外にでかくて重い

箱が大きくてデスクトップパソコンを持ち歩くようなものです。
アンテナは基本屋外に設置するので、台座が金属製でかなり重くできていて箱2つを持ち上げることができない感じです。

なので必要な都度持ち運ぶ想定の場合は結構苦労します。
私もハイエースで持ち運びながら使おうと思っていたのですが、載せるのには大して苦労しないもののアンテナを展開するのはなかなか骨が折れます。(しかも目立ちます)

3.繋がるまで15分くらいかかる

初期セットアップが終わっていたとしても、電源をつないでインターネットがつながるようになるまでアンテナが衛星を探したり、接続を確立したりするのに割と時間がかかるようで、15分ぐらいしないと繋がりません。

なので、ちょっとその辺に車を止めてテレビ会議やるかと言う感じでは使えません。 半日くらいそこにいる前提で使うなら、電源などの準備を含め30分のセットアップタイムを見込んでおく必要があります。

4.燃費はイマイチ

衛星に繋げているという点を考えれば、充分に小型で消費電力が少ないとは思いますが、通常のIT機器はポータブル電源を持っていけば、丸一日楽勝で使えるのに比べ、このスターリンクは1台で100Wから150Wの電力を消費します。

ノートパソコン3台分で、大きめのデスクトップパソコン1台といい勝負という感じです。 なので、手で持ち歩くタイプのポータブル電源だと半日も持ちません。
丸一日運用しようと思ったら転がすタイプのポリタンクのような大型のポータブル電源か発電機が必要です。

それでも地球上どこからでもつながるのはすごい!

とは言え、どんな山の中だろうが、人が住んでいない僻地だろうが、 電源があって、真上から北西方面の空があいていれば地球上どこからでも繋がると言うのは凄いことだと思います。

既存の建物で使うのは、設置場所に苦労しそうですが、これから作る仮設住宅や建て直す住宅では、スターリンクを設置することを前提に設計するのがいいかなと思っています。

マンションを選ぶ時でも、古民家を買う時でも、私たちのようなリモートワーカーは通信環境をかなり重要な要素として見てしまうので、それを無視できると言うだけでも素晴らしいです。

次に震度6強の地震が起こってきても、皆さんを心配させることがないようにしようと思います。(いやもう二度とごめんですわ)

私も被災者のお手伝いをしたいと思われたあなたへ

公式のボランティアの受入も始まりましたが、まだ人数もかなり限られます。
とはいえ、障害物で入ることもできない家、雨で濡れてゆく家財、動けない身体に忍び寄るエコノミークラス症候群と被災者の支援も急を要しています。
自伐林業仲間である福井の団体が私の町を拠点に震災ボランティアとして活動してくれています。泊まるところ(寝袋ですが)もありますのでぜひご応募ください。
現場はとても厳しいので条件は多いです。よく読んで応募くださいね。

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