シェク・カネー=メイソンとは?

ヘイ。ブロ。今日はまだ日本のクラシッククラスタが気づいていない(いや気づいているのか?)どえらい、――いや、どてらいチェロ弾きを紹介したい。

とりあえず聞いてくれ。
これだ。


もう最初の音がなったとき、気づくひとは気づいだはずだ。おいおいおい。おいおい。ヤバいやつが現れちゃったなって。その広がり。口の形(?)。まるでこの男の体のなかにそこはかとなく広い河が広がっているみたいじゃないか。

そして誰かに似ている。――そう。ジャクリーヌ・デュ・プレっぽい。

もうみんな知ってて当然みたいな言い方をした。知らないひとに言っておくと、デュプレはこの地球が生んだ中でもっともすぐれたチェリストかもしれないとあそこやここやのチェロ族たちの会話の中で言われている、言わばチェロ界の神だ。



そんなチェロ界の神の演奏を聴いて聴いて聴きまくってきたおいらが、始まってすぐに「デュプレっぽい」とおもった。その弓の弦への圧のかけ方。フォーム。力強く、壮麗、奥深い音の広がり。

これまで多くのチェリストをみてきたが、ここまでデュプレ的な懐の深い演奏をするチェリストをみたことはない。しかも。しかもだ。よくみれば黒人の血が入っている(気づくのが遅い)。

何をいまさら。おまえ、21世紀に黒人だとかなんだとか。おまえ何を言ってるんだ!?そんな風に言おうとしている君。そうじゃない。そうじゃ、そうじゃ、そうじゃないんだ。

じつはクラシック音楽の世界では、黒人の(もしくは黒人の血が色濃く入っている)演奏家で、コレという才能はまだでてきたことがないんだ。ロシア。フランス。英国。どこの国もいい奏者を輩出してきた。しかしそこに黒人はいない。――いやいなかった。このメイソンが現れるまでは。

僕ぐらいの年齢(30台前半)になると、こういう現象はみたことがある。そう。それはテニスの世界に、ウィリアムズ姉妹が現れたときの衝撃と似ている。それまでテニスは高貴な白人のスポーツってな感じで、ウィリアムズ姉妹が現れた時にはまあまあの口には出せないバッシングを受けていた。



けれどウィリアムズ姉妹がスパコンスパコンとコートにボールを突き刺しているうちに、時代は変わっていったわけだ。

おそらくだが。これは僕の予想に過ぎないが。クラシック音楽をやる黒人の個体数が少ないと、そこから特別な才能がでてくる可能性は限定的なものになる。だから天才は白人ばかりで、本来は適性があった黒人の子供たちはクラシック音楽の世界にはこなかった。

しかし、この、いま。いままさに。クラシック音楽の歴史をこの、シェクことメイソン。メイソンことシェクが。そのもわもわのグルーヴィな髪型で変えようとしているんだな。おれはそうおもったわけなんだ。



カモン。メーン。

この繊細で奥深い、悲哀と愛情のなかを弓がいったりきたり。軽さと重さ。遊びと深淵がひとつに濃縮されたこの演奏に、文句を言えるやつがいるだろうか。

トップ。

そうなんだ。チェロ界のトップにこの男はなるよ。おれみたいなやつは彼がまだ19歳だとか、 BBC Young Musician of the Year awardが始まって以来38年のなかで初めての黒人の受賞だとか、――そんな能書きはまったく問題じゃない。

おれは彼のなかにデュプレをみているし、たぶんこの演奏をはじめてみるチェロ族もそのことをデフレ居酒屋で話はじめるだろう。

「おい君たち。僕はとてつもないチェロ弾きをみつけたよ。え、まだ、シェクを知らないってのかい?(メガネを触る)君たち遅れてんな。21世紀最高のチェロ弾きになる男を君たち知らないのかい。男版デュプレを知らないって?」

これぐらいどやっても大丈夫だ。彼は来る。いや、もう来てるんだ。ここに。



ふ、ふるえがとまらねえ((+_+))

この男のことはチェックしておこう。そのうちベルリンフィルとかをバックにソロで弾いてるぜ。

まちがいない。

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野宮 直喜

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