ことば、だけじゃなくて。

僕は所謂「ポケベル世代」だったり「コギャル世代」だったり「忘れられた世代」だったりする。
色んな呼ばれ方をする1977年度生まれだ。
ギリギリ詰め込み教育世代、すぐ下からゆとり教育世代になっていく。
まさに格差の真只中の世代であって、同学年でもその差は全く異なる。

1990年代前半。
高校生になればポケベルを持ち、公衆電話から「74321223350488557391」と打ち込む。
メシイクゾ ノムラ
となる。
そしてPHSが生まれ3分40円という「当時で格安」で通話ができ、SMSもでき、次第にEメールになっていった。
今はSNSでほぼ無料で通信できるが、昔はケータイ代が万円単位になったりしたものだ。
この頃には数は少ないが絵文字も出てきたが、自分が納得しないことばなので未だに使わない。
66歳の母親から来るLINEの方が絵文字が多い。

納得できなかったから大学進学を止め、納得したから専門学校に通い。
納得できなかったから安易な就職を止め、納得したから正社員になるまでの半年間はアルバイトしながら就職活動をした。
納得できなかったから「私の好きな雑誌」という入社試験であるお題の感想文ではなく、「私の嫌いな雑誌」という切り口で納得行く文章を書いて正社員、雑誌編集者になった。

しかし、1998年から1999年末まで「紙の情報伝達の遅さ、情報量の少なさ」に納得できなくなり、Webに移った。

Web制作者になり19年経つが、納得できないことも理不尽なことも物凄く多くあった。
寧ろ、それらが殆どだ。
だからこそ、Webの制作のサーバー構築から企画、マネタイズ、各種プログラム、デザイン、コーディングなど守備範囲を物凄く広くなれた。
それなりに大きな仕事や世に出た仕事もできた。
評価してもらった仕事も、フォーマットを創ることもできた。
歯ぎしりをしながら、悔しさを飲み込み、理不尽を喰らい、それでも納得を追い続けたからこそ今の自分が居る。

罵詈雑言を浴びて生きてきた実感はある。
勿論、納得できることも納得できないこともある。
理解すらできないこともある。

僕は誰かに救われたのだろうか。
そもそも救いを求めて生きてきたのだろうか。
そもそも救われたくて生きてきたのだろうか。
僕を嫌っている人の方が多いのかもしれない。
僕はそれはそれで仕方ないし、それくらいは受け入れている。

しかしながら数は多くないが、こんな僕を受け入れてくれる友達は居る。
だいたい酒を飲みながらいろいろ喋る。
歳を重ねるごとに、友達のことばや行動に救われていることに気づいている。

お前、よくそんな無茶したな。
わからないことで困っているので助けてください。
面白いこと考えるな、企画書を書いてくれよ。

そういうことばやことばじゃないことに恐らく救われているのだろう。
だから、病気をしながらも今を生きて行けているのだろう。

僕は納得に対して決して諦めなかった。
本当に納得できたことなんか米数粒くらいなもんだ。
今まで食ってきた米は完全に納得できるものでは決して無い。
決して誇れる人生ではないし、誰かに救いのことばを吐けるほどの人格でもない。

今。
僕が20以上年前に通ってきた10代。
僕の10代と今の10代とではヨノナカの作りが全く違う。
だから、僕のことばは通用しないだろう。
親子ほど年齢が違うのだから。
Webに初めて触れたのは18歳、専門学校1年生の春。
Yahoo!Japanが産声を上げた頃。
僕自身も41年10ヶ月の人生のうち、23年5ヶ月をWebと共に生きてきた。
ここ最近、漸くWebと共に過ごした時間が多くなったくらいだ。
情報インフラが劇的に違う。
情報価値観が劇的に違う。
生まれてからずっとWebと共に生きてきた今の10代とは環境が違いすぎる。

僕は納得を求めて生きてきた。
妥協しなければいけないこともあった。
でも、妥協に流されなかったからこそ今の自分が居て、それなりに今の自分に納得している。
妥協に流されるよりはマシだったかな、と。

だから、諦めないで生きてほしい。
妥協しないで生きてほしい。
怖がらないで生きてほしい。
晴れやかに生きてほしい。
苦しくても生きてほしい。
自分の限界を自分で決めないで生きてほしい。

納得して生きてほしい。

生きて、生きて、生きてほしい。
僕は誰かを救えることばを吐けるほど聖人君子じゃない。

でも、まあ。
大丈夫。
どうにかなるって。
どうしようもない自分は、こう書くことで自分で自分を救おうとしている。
少なくとも自分のファンは自分自身だ。
少なくとも貴方のファンは貴方自身だ。

納得して生きて、ことばを吐いて。
そのことばや生きることは巡り巡って誰かの救いになる、と信じている。

ことばだけじゃなくて、生きること。
そうやって誰かを救っていってほしい。

間違いなく、これからは貴方たちの時代なんだから。

#君のことばに救われた