お店の未来は、そんなに変わらない。

noteの企画に乗っかってやろう。
これから「お店」はどうなっていく?というお題。

僕の結論はタイトル通りだ。

お店の未来は、そんなに変わらない。
言うほど無人化もされないだろうし、特に日本ではキャッシュレスも今が限界だろう。

何故か。

日本の非ネット小売業はスーパー・ショッピングモールとコンビニが大きい比率を持っている。
個人商店は少なくなった。

最近はセルフレジや支払い方法の多様化も進んでいる。
技術がもっと進歩すれば「提案」や「見せ方」なども変わるだろう。

ただ「物を買う行為の本質」は変わらないだろう。
つまり、消費者のニーズは今以上に変化はしていかないだろうということ。
消費者が変わらなければ、いくらお店が変わろうが、それは供給者の「押し付け」に過ぎない。

例えば服屋に行くとする。
まあGUでいいか。
あれやこれや、個人で考えるわけだ。

今持っている服はこの色が多いから、こういう色がいいのかな。
買おうと思っていた服より、こっちの服のほうがしっくりくるな。
とか、そういうのは楽しい。

そういうところまでお節介されたらサービス過剰。
いや、自分で考えますからってね。

よくあるのが家電量販店ね。
ヨドバシでPCの実物を見るのが好きなんだけども、僕は見てるだけだし。
そこに店員が来て「なにかお探しですか?」「いや、見てるだけです」
これすら、僕は鬱陶しい。
そこに機械的な提案が入ってきたら、二度とヨドバシいかないね。
そしてビックカメラに行って同じ目に合うわけだ。

しつこいって!

服の色味を眺めたり、キーボードの打感を体験したり、そういうのも含めて物を買うわけだ。
スーパーに行ったって、野菜を買う時には多少は選ぶでしょうよ。
そういうところへの介入は「選んで買う楽しさ」を損ねてしまう。

買い物って楽しいでしょ。
ソビエトの配給の行列に並ぶわけでもなし。
個人のお金で個人の裁量で個人で買う。
そこに技術が介入しすぎるのは無粋だと思う。

あと、日本は災害が多い。
東日本大震災もあったし、熊本地震もあったし、北海道胆振東部地震は自分が体験した災害で最も大きい。
大手3社は停電しているから閉店。
だけど、僕らのセイコーマートは車やら発電機やらを用意して、停電していても店が開けられる。
北海道は毎年、雪害に遭っているようなものだから、用意が出来ている。

技術が発達しても電気がなければ何にもできない。

それに個人商店が減った代わりにコンビニが増えている。
高齢者も買いに来て、一定のコミュニケーションを取るわけだ。
僕も近くのコンビニのオーナーがレジにいる時は「最近、どうっすか?」とか「いやあ、今日はしばれますねえ」とか軽い会話をする。

個人商店での会話コミュニケーションはコンビニに移っているのだ。

そして、キャッシュレス。
日本の商習慣が180°変わらない限り、今以上は厳しいと思う。
特に個人経営の飲食店。
実家が居酒屋だったからよくわかる。

現金ベースでやらないと、店が回らない。

飲食店の純利益はバイト無しで30%、バイトありだと10〜20%になる。
100万売り上げて漸く生活できる、と思うでしょ?
消費税さんの登場です。
年間売上が1000万を超えたら、店舗に納税義務が生じるのです。
しかも今年の10月から10%に増税。
月間100万円、年間1200万円。
120万円の納税が入るから実質月間90万円、年間1080万円。
これはでかい。

個人経営の飲食店はほぼ消費税を取らない、いや取れないからね。
利用者は割高と感じてしまい、チェーン店に流れるから。

そこにキャッシュレス。
いくら手数料が安かったって4%弱。
いくら入金が早くても翌日。
現金をおろしたらその手数料もかかる。

それに、急な出費も多い。
やれ食材が足りなくなっただの、ビールが切れただの日常茶飯事。
個人経営の飲食店でもバイトが入るのは開店の少し前。
頼み忘れだってあるし、急な大人数の入店もある。

じゃあ売掛でお願いすればといえどこのご時世、信用がなければ当然現金払い。
信用は積み重ねだ。
新規開店してじゃあ売掛でなんてのは非常に難しい。
卸業者も商売だし。
飲食店としても売掛頼みで払えないというのは地獄絵図。

卸業者が物を持ってきて
「はい、これ伝票でーす。何千何百円でーす」
「はい、じゃひーふーみー…、これで!」
「お釣りが何十円です、どうもあざーっしたー!」
実はこれが一番楽で、信用を得やすいのだ。
その日の内に伝票締められるからね。

また、これがちょっと難しいんだけども。
「なんとなく値引き」というのもある。
いつも来てくれるから、まあこれくらいという。
どんぶり勘定と言ってしまえばそれまでなんだけど、客もそれをわかっているからまた来る。
少し値引いても、また来てくれるなら有り難い。
団体さんで来てくれるなら、なお有り難い。

故に!個人経営の飲食店にレジがないところが多い!
特に居酒屋は!
経営者も飲んじゃってるんだから!

これが日本の商習慣。
どんぶり勘定な面が大きいけども、そういったものを込み込みで考える。
キャッシュレス先進国だってチップは払うでしょ?
そのお金の透明性はどうなのさ?

何が正しい、何が間違っているではなくて「文化としての商習慣」をまっさらにするのは難しい。

それにお題そのものに対する矛盾点を突くけども。

人のITスキルって千差万別なんだぜ。

料理も酒も美味いし雰囲気もいい!
けどPCを弄るのは苦手なの、という経営者も多い。
そこに「ITスキルが備わっていること前提で、これからのお店はどうなる?」ってお題を出されても、じゃあITスキルは絶対的なものなの?
それが無いとお店を経営しちゃいけないの?

そういう風になる。

まあnoteさんはIT企業ですから、ITスキルがあって当たり前の会社でしょ。
僕もそうだし。
でもね、お店から人が居なくなることは決してない。
少なくとも経営者は絶対に一人いるんだから。

noteさん、わかるでしょ?
僕も同じデジタルな人間だよ。
でもさ、御社の社員が全員同じスキルレベルじゃないでしょ。
人間、得手不得手ってのがあるわけよ。

僕らが本当に考えなきゃいけないのは「IT技術で進歩!」じゃなくてさ。
ITはどれだけ人に優しくできるか、なんじゃない?
様々な顧客と様々な経営者。
色んな人がいるけども「ITの力でどれだけ商活動を活発にできるか、スキルの差を超えて」というお題がベストなんかないかな。

アナログな人がいたっていいじゃない。
そういう人を包み込むのがITの優しさであり、これからのIT社会であり、ITを活用する人の在り方なんじゃないのかな。

僕はそういうのをひっくるめて

お店の未来は、そんなに変わらない。

と言い切る。