生産年齢人口

確定した未来3 生産年齢人口 その2

 続きです。上の絵は左が総務省「労働力調査」及び「人口推計」により作成されたもの、右が、国連「世界人口推計 2015年改訂版」により作成されたものです。直近の総人口は減少しているものの、1986年からの30年間では、527万人も増えている。ベビーブーマーは1学年が300万人近かったのに、現在は約100万人。つまり優に5学年分、5歳分もの人間が増えているにも関わらず、その内訳にすぎない生産年齢人口は、650万人も減っている。ざっと7割近くで日本経済を支えていたのが、ちょうど6割で支えるようになったという概算です。

 右の絵を見ると、1995~7年をピークに、2015年に生産年齢人口が10%以上も減少したのはこの4カ国で日本だけ。やや似ているどいつでさえ半分の5%減少にとどまり、英国は9%増加、米国に至っては、13.5%も、20年間で増加しています。これらの国々の1人当たりGDPは日本が縮小している間に大きく増えています。(豪州の個人所得は20年で1.8倍の所得に)

 昨日書いた記事のグラフ以上に、上記のように見ると日本だけ、突出して生産性向上が急務であることがわかります。にも関わらず、アクセンチュアらの予測によれば、日本の生産性向上率は先進13カ国中、最下位をスペインと争っています。

   一人あたり所得が落ちている原因の1つが、非正規労働の急増と、正規労働者との賃金格差が他国比で断トツ高い(派遣先が払う対価は正規労働者より高いことが多いのですが)、ことに求められるでしょう。パートタイム労働者という微妙にちがうカテゴリではありますが、厚労省らがそのように発表しています:

 下図は、賞与、昇給、役職手当、慶弔休暇の歴然とした違い:

 先に、アクセンチュアらによる、生産性向上【予測】の数値に言及しましたが、実績が、賃金が上がらない理由の1つを物語っています:

これでは、「貧乏になるのは自己責任のせいばかりじゃない!勤勉なのに貧乏なままの日本を見ろ!」と最近米国で言われるようになったことが見事に裏付けられてしまってます。

 このまま、生産性の低さで格差が拡大しつつ、断トツの人口減少、生産年齢人口減少が続いたらどうなるか。人手不足で、超長時間労働し、誰もが70歳以上まであくせく働く貧乏な国、円安で海外に行くなんて夢のまた夢、みたいな国を孫子の代に残すことになりかねません。

 だ・か・ら、一気呵成に、道具としての今のAI導入に全力を傾け、挽回をはかろうではないですか? AIで仕事消滅(実際には新しい仕事が増える速度の方が上回る)だの9割失業など、経済の基本もわからない出鱈目(AIの実態をわかっていない、来世紀以降の技術革新と足元の変化をごっちゃにしているところから来る根本的な誤りです)を流布したり信じている暇などないのです。

※冒頭のグラフは下記より:

 http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hatarakikata/pdf/sankou_h290328.pdf

 白書には原則著作権が無いので、図表を引用します。




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