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「鍵」って何?鍵の本質とは?

 本日は、NTTコミュニケーションズさんのベンチャー共創6社のコンペを見学しましたが、3社がデータセンター関連の効率化の関連でした。他の2社は鉄塔関係(鉄塔に取り付けたセンサーで風の状況をきめ細かくモニターしてドローンが安全確実に飛べるようにするのと鉄塔愛コンテンツで街おこし)、1社は、スポーツテックです。


 今日のサービスロボットの適用範囲は理想に比べると狭いものです:

大したことができない、人間なみの対話には程遠いソフトウェアを、中途半端に人型にしたロボットに入れると、事前期待が高まる分、失望が激しく、ロボットは埃をかぶることになります。その点、ただの茶筒のようにしたスマートスピーカーは実に賢く、期待値をさげつつ、ネット接続で膨大な情報にアクセスできることでなんとか実用性を保っています。拙著「最強のAI活用術」にその戦略の賢さを書きました。しかし、「AIに勝つ!」では、なかなか使えない現状を具体的な対話例とともに、分析しています。

 人間のフィジカルな動きをともなう作業を代替させるサービスロボットに挑戦した今回のベンチャーの試みは素晴らしい物です。サービスロボットの適用対象として、「データセンターでの面倒な作業」というニッチなところで実用化の壁の突破を狙った点、頑張っています。いまの人間がやっていること、セキュリティの厳しいセンターに入場し、サーバーマシンにコンソール画面表示用のモニターのケーブルを刺す行為を堅牢なロボットにやらせる。汎用部品ではなかなか器用にできないけれどそれは今後の改良に委ねるとして、遠隔地で、ロボットの「目」を通じてその作業をするサーバー管理者が、往復の時間を節約できる、というメリットの経済効果の合計値は如何でしょうか。人間のアルバイトよりも安価にすることがチャレンジのようです。

 一方、データセンターで実作業にかかる前の認証のステップを簡便化する試みは興味をひきました。多くの個人が多数の金属鍵を持ち歩く不便さ、安全上の不安(紛失、盗難)を21世紀のいまだに引きずっているのはおかしいだろ、という問題意識には頷けるものがあります。

 オンラインのネットサービスでは、崩壊した7-payのまさかの杜撰なログインシステムなどの例外を除けば、メールボックスや、SMS、ワンタイムパスワードのデバイスやアプリで、単純なパスワードだけによる仕組みを補完し、セキュリティを強化しています。これに、生体認証、すなわち、指紋や虹彩、網膜パターンや、声認証(声紋等)、などを組み合わせることもありますが、これらは、風邪をひいたり怪我したり、生理的コンディションが変化したときにうまくいかない難点があります。DNA照合が凄まじいスピードで出来るようになれば解決するかもしれませんが、、いやいや、権限ある人の髪の毛1本を盗めば突破できるようなセキュリティではだめですね。 

 今回の発表で面白かったのは、入場時に(テンポラリーに)登録しておいた身振りを、操作対象のサーバーの前に来た時にもう1度行うことで本人確認を行うというプロセスを提案していた(会社があった)点です。身振りの動きの種類というのは意外に少ない情報量なので、認識率が高く堅牢。途中で人が入れ替わったり、間違ったサーバーに触らせないという意味で、なかなか簡便かつ優れたセキュリティになっている印象でした。

 そう、この身振り(の登録と照合)が、新種の「鍵」なのですね。その場で作ってすぐ使って捨てる「鍵」。「鍵」の機能の本質は照合であり、合わないものを断固排除することが大切。鍵が物理的存在でなくなるのは大歓迎だと思いませんか? 私は今も、数本の金属鍵をキーホルダーに入れて、決して無くさないよう、また、所持していることを一瞬で確認できるよう、ズボンのポケットに入れています。それでズボンの傷みが早いし身に着けている時の不快感もばかになりません。

 AI技術を気軽に身近なところで活用し、安価に、物理的実体のない鍵があちこちに普及すると快適な暮らしができそうな予感がします。安定的に、確立された画像認識、動画認識技術を一ひねりして使って快適かつ堅牢なセキュリティに応用しようという発想は「買い」だと思いました。まぁ、ワンタイムでない自宅の鍵につかったら、その身振りを他人にみられたらおしまいかもしれないので、まだまだ広い用途には難しいかもしれません。でも、考えるきっかけを頂いたことには感謝いたします。






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