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イグノーベル賞の日本人たち

 書籍「AIに勝つ!」では、イグノーベル音響学賞(妙に具体的すぎる部門名も可笑しさに色を添えますね)に輝いSpeechJammer(スピーチ・ジャマー)を紹介しました。その部分を下記投稿で引用しています:

 上品 = noble に、否定の接頭辞 ig を付けた形容詞、ignoble は、下品、下賤という意味。Nobel とは、 e、l の順番が入れ替わっていますが、弱アクセントの弱い母音なので、英米人も聞き違えるくらいですから、「お下品ノーベル賞」くらいのニュアンスで、彼らも理解していると思います。

 下記展覧会を、開催終了後に知ったときは地団駄踏みました。この案内ページを見ているだけで本当に楽しく、幸福な気分にさえなってきます:

”「イグ・ノーベル賞」とは、1991年に創設された「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に与えられる賞で、"表のノーベル賞"に対して"裏ノーベル賞"とも言われています。授賞式は毎年秋に開催され世界的な話題となっています。これまでに日本人研究者も多数受賞し、大きな話題となりました。”

”本展覧会は、「イグ・ノーベル賞」を企画運営するサイエンス・ユーモア雑誌「風変わりな研究の年報」の編集者 マーク・エイブラハムズ氏の協力を得て制作される、世界初の「イグ・ノーベル賞」公式展覧会です。受賞研究の紹介や体験コーナーなど「イグ・ノーベル賞」の軌跡を追いながら、笑って、考えさせられるユニークな研究の数々をお楽しみいただけます。さらに、展示会に即したユーモア満載の物販販売の実施も予定しています。”

 本家ノーベル賞のトップは米国で、経済学賞など8割を占めていたりしますが、イグノーベル賞のトップは日本と英国。さすが、皮肉屋イギリス人とか、おとぼけド真面目(で面白いことする)日本人、という国際的な評価があるのでは、と思います。

★「逃げ出して隠れる目覚まし時計の開発」、これなどは、私が13年連続で関わっている、API活用プログラミングコンテスト、マッシュアップ・アワード(今年はHL=Hero's Leagueに改名)のお馬鹿作品によく似た発想です。過去の優秀作品には、頭に金属の大鍋をかぶせて外側からガンガン叩いてうるさくするなど、あの手この手で、たたき起こすマッシュアップ作品が実際に選ばれています。2015年以前の最優秀作品群や、メタデータ賞受賞作については、「人工知能が変える仕事の未来」第8章『新サービスが始まる』に多数解説付きで紹介しています。

★「ガスマスクに変形できるブラジャー」、女性の友人に、万一に備えて着用を促そうものなら、意図を疑われてしまいそうです。

 末尾に、今後も常に更新されるはずの、wikipediaのページです:

初受賞の下記などは、大真面目な研究だったのではという気がします:

★1992年 医学賞 「足の匂いの原因となる化学物質の特定」という研究に対して 神田不二宏、八木栄一郎、福田實、中嶋啓介、太田忠男、中田興亜(以上、資生堂研究員)

名前が「医学賞」でなければ、お笑いだと誰も気づかないかも。

 1995年以来、14年連続受賞した中で、私が見た限り、海外で最大の笑いをとったのは、下記でした:

★2017年 生物学賞 雄と雌で生殖器の形状が逆転している昆虫(トリカヘチャタテ)の存在を明らかにしたことに対して 吉澤和徳(北海道大学准教授)

なんとメスがpenusをオスに挿入するという事実を吉澤先生が大真面目にプレゼンしたときの大爆笑の渦は、とても印象的で忘れ難いものでした。

下記については、、うーん、ためにする研究というか、ウケ狙いのネタを最初から探してきた感じで、、科学者としてはあるまじきアプローチやもしれません。

”誤報に基づく授与
1994年、「地震はナマズが尾を振ることで起こるという説の検証」という、7年間にわたる研究に対して、日本の気象庁に物理学賞が贈られた。しかし、受賞理由とされた報道が、誤りだったことが後に判明したとして、撤回した[15]。イグノーベル賞の公式サイトの歴代受賞者リストからは削除されている。 東京都水産試験場が1976年〜1992年にわたって「ナマズの観察により地震予知をする」研究をしていたが、日本の公的機関が「ナマズの尾で地震が発生する」との仮説のもとで研究を行った記録は存在しない。”

 科学と、お笑い。良いテーマです。心がほっこりします。


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