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「人生の目的」を持つと長生きできるか

 標記タイトルは、先に投稿した、「生活の解像度」とは真逆に聞こえるかもしれません。幸福感と長寿は同じではありませんが、日常の些細な出来事を幸運に、幸福に感じることと、人生の大目標をもって頑張ることは相反するように感じます。こんな「人生の目的」を持つかどうかがあなたの寿命に関係している、という研究結果があります。長生きをするために、糖質過多の外食をやめる、DHA,EPA豊富で血管年齢を下げる青背の魚を食べる、などの食生活の改善や、「運動」で身体を鍛える、酒タバコを止める、ほどよいダイエットでBMI値を改善するなど、さまざまな方法が有効と言われています。


 ミシガン大学の研究者たちは、1992年にスタートした「The Health and Retirement Study(HRS)」
という50歳以上の被験者7000人を対象とした調査結果を利用し、分析を行いました。この調査で被験者は
「将来についての計画を立て、計画を実現することを楽しんでいる」という文章や、「自分の日常行動は
ささいなことで、重要ではない」という文章に対して自身がどう感じるかの評価を行い、研究者らは被験者
が持っている「人生の目的」の度合いをスコア化したとのこと。
・・・
この結果、人生の目的スコアが低い被験者は、追跡調査中に死亡する割合が、スコアの高い被験者に比べて
2倍も高いことが判明しました。また、スコアの低い被験者は特に心臓や血管の問題によって死亡している
ことが多かったそうです。

 評価材料の1つの問い「自分の日常行動はささいなことで、重要ではない」という文章は、まさに、生活の解像度が高いことと相反しています。解像度の高い生活で、毎日頻繁に幸福を感じると、心疾患や血管の問題が増え、寿命が短くなるのでしょうか?

 「AIに勝つ!」に書いた、3人の石工のエピソードによれば、確かに、人生の目的として高い志をもっている人ほど活き活き働くことができ、それが長寿にも結びつきそうに感じます。

幸福や健康のカギとなるのは「自分の人生に意味が
ある」と感じることだということはこれまでにも研究で
示されており、この分野は近年注目されるところとなっています。例えば、炎症は早死にや疾患と関係し
ますが、「人生に対する目的意識」のようなウェルビーイングが炎症のトリガーとなる遺伝子発現を減少
させることが過去の研究から判明しています。Alimujiang氏は、今回の研究結果は、人生の目的を持つ
ことにより炎症が減少する点が長寿と結び付いたのだとみているとのこと。

 炎症が減少、ですか。寿命を司ると言われる、染色体の尻尾みたいなテロメアへも、「人生の目的」が作用する可能性は否定はできません。解像度の高さによる幸福と、人生の目的をもつことによる長寿は両立するのかもしれませんね。


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