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FX相場の見通しについて(2020年8月2日)

ドル円相場の見通し ~円買いドル売りポジションを解消~

今回も、投資判断をする上で必ず見ておくべき指標、

①一目均衡表
②MACD
③RSI
④投機筋ポジション
の4つから、まずドル円相場を見てみましょう。

【ドル円チャート】

ドル円一目均衡表

まず一目均衡表を見てみましょう。
上図のように直近の日足は、7月7日以降雲の下限を割り込むという動きになっています。

7月24日には「弱気の三角形」をが下放れた形となり、6月23日につけた106円51銭、そして5月7日に付けた安値105円97銭をも割り込み、3月9日につけた102円34銭までほぼ真空地帯となっている状況の中、104円19銭までドルは下落を早めました。

しかしながら7月31日に、ドルは1ドル=105円90銭まで一気に戻す動きとなりました。
これは、ドル円相場と言うよりも、後述のユーロドル相場において、ドルの買戻しが進んだことでドルは対円でも買い戻されたということかと思われます。

ドルが一気に戻したとは言えども、一目均衡表上は日足は先行スパンの雲の下に位置しており(ドル安)、かつ、基準線及び転換線を上抜いた訳でもなく、引き続きドル安を示唆しています。

次にMACD を見てみましょう
これは短期の移動平均線と中長期の移動平均線を使用することで、買いと売りを判断する手法で、基本線「MACD」とその移動平均値である「シグナル」との位置関係で相場の強弱を判断します。

上図のチャートの通り、7月9日にMACDがシグナルに対して上から下に交差(デッドクロス)しており、ドル売りのシグナルとなっており、現在もそのシグナルは継続中です。

次に RSI を見てみましょう。
RSIは、過去一定期間の上げ幅(前日比)の合計を、同じ期間の上げ幅の合計と下げ幅の合計を足した数字で割って、100を掛けたものです。
数値は0~100で表され、一般的に75%以上で買われすぎ、25%以下で売られ過ぎと判断されます。

上図のチャートの通り、直近では RSI は38近辺と中立ゾーンにあります。

次に投機筋のポジションについて見てみましょう。
シカゴ・マーカンタイル取引所(CME)の「インターナショナル・マネタリー・マーケット(IMM)」と呼ばれる通貨先物市場では毎週投機筋のポジションが毎週発表されています。IMMには、円、ユーロ、ポンド、豪ドルの4通貨が上場しています。

その投機筋ポジション(下図)を見ると、ドル円の投機筋のポジションは直近(7月28日)で約28,500枚の円ロング(買い越し)となっています。(1枚の取引単位は1,250万円。)

これは何を意味してるかと言うと、投機筋においては、今後円のロング(買い越し)ポジションの清算に伴うドル買いが発生する可能性があります。
28,500枚という建玉の水準はそれほど積み上がっている(パンパンである)というほどのレベルではありませんが、今後投機筋のドルの買戻しが入る可能性があります。

IMMドル円

(出所:シカゴ・インターナショナル・マネタリー・マーケット(IMM)、外為どっとこむ)

以上、ドル円相場についてまとめてみると次のようになります。

◎一目均衡表上は円高ドル安基調を示唆しています。
◎MACD ではドル売りのシグナルが継続中です。
◎RSI はニュートラルです。
◎投機筋ポジションは今後はややドル買いが優位になる可能性を示しています。

以上より、素直に考えると、ドル売り円買いポジションを維持することとなると思います。
しかしながら後述の通り、対ドルでユーロが調整局面に入る可能性がありますので、ドル円相場においてもドルショートポジションはややリスクがあるものと考えます。

ただしファンダメンタルズ的には、前回指摘した通り、

(1)イールドカーブ・コントロール導入議論が残される米国と、7月15日の日銀金融政策決定会合での黒田総裁の「3月以降コロナ対応の効果が発揮されている」との発言等を受けた追加緩和観測が後退した日本、に示されるように、日米金利差は依然縮小方向にある。
(2)日本でも東京を中心に新型コロナウイルス感染拡大が問題となりつつある中、感染規模が以前はるかに大きく、地域レベルで再度経済活動に規制が加えられつつある米国
(3)米中対立激化懸念
(4)米大統領選が11月に控える中、トランプ米大統領の支持率低下
朝鮮半島や中東、香港を巡る地政学的リスク

など、ドルの上値を重くしている要因は山積している状況であることに変化はありませんので、円はユーロほどには対ドルで売られることはないと思われます。

ユーロドル相場の見通し ~ドルは遂に対ユーロで反転攻勢に出るか!?~

ユーロドル相場では、今年5月上旬以降はユーロ高傾向となっています。
3月のドル資金調達のためのドル買いが一巡した後は、各国の景気回復期待が高まってきたことで欧州や豪州などは米国に比べて経済見通しの悲観が強かっただけに、その反動でユーロや豪ドルの買い戻しが強くなった形です。

では現場でのユーロドルチャートを見てみましょう。

【ユーロドルチャート】

ユーロドル一目均衡表

まず一目均衡表上はユーロが極めて強い形を維持しています。
転換線が右肩上で基準線の上にあり、遅行スパン先行スパンの形も非常に強いものとなっています。

7月17日は、6月10日の高値1ユーロ=1.142ドルを上抜けて、7月21日は3月9日の高値1ユーロ=1.15ドルを上抜けた後は加速度的にユーロ高が進行しています。

材料的にも、米国の実質金利が低下する中、EU(欧州連合)が7,500億ユーロ(約92兆円)の欧州復興基金設立で合意したことなどからユーロ買いドル売りの動きが強まり、1ユーロ=1.2ドルが視野に入った状況でしたが、7月31日には1ユーロ=1.1908ドルを付けた後、1.177まで押し戻されました。
まだチャートの崩れはありません。

次に MACD については、7月10日に基準線 MACD はシグナル線を上抜き、「ユーロ買いシグナル」が点灯し、現在も継続中という形になっています。

RSI については75%を超えており、ユーロが買われ過ぎという状態になっています。

投機筋のポジションを見てみましょう。

IMMドルユーロ

投機筋ポジション(上図)の通り、ユーロドルの投機筋のポジションは直近(7月28日)でユーロ買い越しポジションが引き続き優勢となっており、直近ではさらにユーロ買いポジションが積み上がっています。
直近(7月28日)のポジションは、32,500枚のユーロロング(買い)となっており、過去の水準と比較してもほぼパンパンというほど膨れ上がった状態になってきました。

ユーロの買い越し余力は極めて少なくなっているものと思われます。

以上ユーロドル相場についてまとめますと次のようになります。

◎一目均衡表ではユーロはドルに対して強いという状況にあります。
◎MACD では依然ユーロ買いです。
◎RSI ではユーロは買われ過ぎとなっています。
◎投機筋のポジションではユーロ買い越しポジションがほぼぱんぱんに積み上がっており、今後のさらなるユーロの買い越し余力は極めて少なくなっています。


これらのことよりまだ明確なサインが出揃っている訳ではなく、むしろユーロは対ドルで非常に強い形を維持しているのですが、今からポジションメイクするとすれば「ユーロ買いドル売り」をするのは危険であるものと思われます。

今からポジションメイクするとすれば、「ユーロ売りドル買い」のポジションを作ってみるが良いのと思っています。

材料的には、

(1)EU(欧州連合)による7,500億ユーロ(約92兆円)の欧州復興基金設立期待でユーロは買われてきましたが、それが実現し、所謂「材料出尽くし感」があること。
(2)米国の4-6月期の実質国内総生産(GDP、季節調整済み)速報値は前期比年率換算で▲32.9%と、統計が存在する1947年以降で最大のマイナス幅となりましたが、7月31日に発表されたユーロ圏19カ国の2020年4-6月期の実質域内総生産(GDP、速報値)は前期比で12.1%減、年率換算では40.3%減と過去最悪のマイナス成長となるなど、欧州の実体経済の落ち込みも相当深い状況にあること。


など、ユーロがさらに一方的に買われる状況にはないと思われます。

ドル円については積極的にポジションを作る局面ではないと思いますが、少なくともドル売りはリスクがあると感じています。

ここまでお読みいただきありがとうございます。
投資はあくまで自己責任でお願いいたします。

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