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アイドルに助けられた話

前回のnoteから約1年以上が経過し、ついにBTS7人全員が兵役に行き軍白期へと突入しました。
この1年はコロナ禍が終焉に向かい忙しくなる仕事と、アプリに切り替えた韓国語の勉強、飼い始めた時に伝えられた予想体重の3倍の大きさに育った犬の世話に追われていました。

Twitter(X)では報告しておりましたがユンギさんの日本公演には無事に参加する事が出来ました。
詳細書けよって感じですがこの時期は本当に余裕がない忙しさでTwitterが精一杯でした。終始幸福感に包まれた公演で初めて見た生のユンギさんは想像より大きくて想像よりカッコよくて想像通りの白さでした。この日を一生忘れず過ごそうと思った最高の公演でした。

そんな思い出を胸に日々忙しなく過ごしておりますが、私がBTSを好きになり3年が経ちました。
この3年間、コロナ禍という事もあり私生活で様々な変化があり、それに伴い価値観も変化しこのままで進むと思っていた人生の一部が劇的に変化する出来事もありました。

今回のnoteは彼らのお話ではなく、彼らを知ったこの3年で変化が起きた私自身のお話になります。
なので、彼らの話を期待していた方は申し訳ありません。nono 先生の次回作にご期待ください。

一番最初のnoteにあるように、BTSを知るきっかけになったのは日本の歌番組でした。
その歌番組は偶然目にしたものではなくBTSの後に出演したSexy Zoneというアイドルグループを見るためでした。
その日はそのグループのメンバーの1人がパニック障害から休養を経て約2年ぶりに復帰するという大切な日で固唾を飲んでテレビを見ていました。
「そんな日にお前…他のアーティストに現を…」と思うかもしれませんが私の本能の好きなもの探知センサーが私に関係なく反応してしまいました。番組を録画していたため何度も見直す事が出来たのもBTSを好きになるきっかけになりましたね。

歌番組を無事やり遂げ立派に復帰したメンバーをビシャビシャに泣きながら繰り返し夜中まで見続ける私には感動で高鳴る思いとは別な思いがありました。


『パニック障害ってこんなに回復するんだ』


何を隠そう私自身がパニック障害を患っているからです。
私と交流がある人は「え、まさか」と思うかもしれません。
実は15年近く患っているベテランで、悪化した際は電車に乗るのが困難だったくらいです。
途中で緊急停止した際なんて一気に体調急降下ですからね。たまに緊急停止中に勝手に窓から出て行ってしまう人がいますが気持ちはわかるし一緒に出て行きたい。(危険なので絶対にやめましょう)
随所で言っている”飛行機に乗れない”はこれが原因でもあります。閉所高所がとにかくダメなので飛行機は地獄の乗り物です。
因みに船も閉所なので無理です。というか三半規管が産まれたての子鹿並に弱いのでディズニーランドのカリブの海賊がギリだと思います。 

私はまだ軽度のパニック障害かと思うのですが、いつ何が発作の引き金になるかわからない事情を抱えているととにかく生活が不便です。
普通に電車に乗れない、美容室やネイルなど拘束される事も苦手、ライブはまだ何とかなるが静かなシーンが多い舞台や座ったままのコンサートは数日前からコンディションを整えるのに必死になるなどたくさんあります。
”苦手”で済めばいいのですが”無理”になる場合もたくさんあります。
何度も言いますが私は(自分が思うにですが)軽度な方で、普通に仕事もしています。人それぞれ症状は違うので”あの人はあれが出来るのに”は当て嵌まりませんし、もし同じく患っており症状が重い方が見ていましたら自分を卑下する必要もありません。
軽度だと思う私でも「おいおいマジで不便な体だぜ!」と思うので厄介な病だと思います。

とは言え、コンサートに舞台に行きまくっている私なので疑いの目もあるかと思います。
安心してください、症状がある時は頓服薬を駆使してやり過ごしています。症状が酷い時はコンサートより症状が起きない事への心配に意識が集中するという残念な状況もありました。いや本当に金払って何しに来たんだよと自分でも突っ込みは入れています。
舞台の最前列も手放しでは喜べません。
嬉しさと全席が自分より後ろにあるという緊張感が入り混じり終わるまで気が抜けません。昨年MAMAで初めてホビさんを観た時なんて出演数分前から手汗と震えが止まらなくなって大変でした。しかしあれは病ではなく確実に足元から何者かに血を抜かれていましたね。私たちの太陽J-HOPEに会える代償は半端ないなと思いました。

多分人によってパターンがあると思うのですが、私はぶっ倒れるまで”やりたい”を優先してしまうアグレッシブなタイプです。
平気な顔して密かに脳と体は『死ぬ〜〜〜』と悲鳴を上げている、自分の中で哀しきモンスターを飼育しているタイプです。

そんなこんな症状を抱えて騙し騙し過ごしていましたが絶体絶命の出来事が起きます。

コロナです。
正確に言うとマスクです。
湿度がある中、気温が高い中でマスクを着ける事が出来ない。
息苦しくなり呼吸が乱れると過呼吸を誘発するため、世の中に足並み揃えて生活をする事が出来なくなったのです。
こうなると電車には乗りにくい、乗れても息苦しさに悩まされる、近所のスーパーまでもキツイ、どこへ行くにもマスク、外でもマスク…これによりまともに生活が出来ない。行き詰まった末に初めて上司に病をカミングアウトし、個室で仕事をさせて貰うなどしました。
元々暑さで息苦しくなり体調が悪化するため夏が大の苦手だったところに追い討ちが来ました。
通気性抜群のマスク、布のマスク、様々なマスクを試しに試して何とか着ける事が出来る物を探し出しましたが長時間着けている事は困難を極めました。
幸いコロナ禍で仕事がのんびりしていた事やライブやイベントが無くなり外出の機会が激減した事で何とか夏を越そうとしていました。
大変な反面、様々なイベントがなくなり友達と安易に会える事が出来ず外食もない…となると発作の引き金になる機会もなくなる…あれ?これって平穏な日々じゃない???という思いもありました。
パニック障害に限らず、出歩かない事が当たり前な世界に救われた人はたくさんいたと思います。

「このままコロナ禍の世界で、刺激はないけどのんびり過ごしていくのも悪くないかもしれないな〜」と病を騙し騙しにする生活を過ごす中、”Sexy Zone松島聡復帰”のニュースが飛び込んで来たのでした。


同じ病を抱える立場から、正直復帰出来ないかもしれないと思っていた。
大勢の人に晒される仕事はどれだけのプレッシャーがあるのだろうか。
自分が何年も大きく回復に向かえない経験がある事で、復帰への不安が入り混じりながらも心から祝福した。
心から尊敬した。

そして心から『ねぇ、どこでどんな治療したの?』と思った。

復帰したとしても仕事は調整していくだろうからしばらくは雑誌とかかな〜と勝手に思っていた1ヶ月後に大型生放送歌番組に出演すると報告があり目ん玉落とす勢いで驚いた。
『おいおい…無理するなよ…マジで大丈夫なの?見ているこっちが緊張で大変なんだが??え?マジで大丈夫なの……?

…ねぇ…どこで治療したの…?』

彼が輝かしい活躍をすればする程、どこでどんな治療したの?という気持ちでいっぱいになっていた。

この時すでにパニック障害を患い10年は軽く経過をしていた。
少し悪化したり治まったりを繰り返し不便を強いられながらも何とか対策して生きていくんだろうな、と漠然と考えていた。
というより完治するとは考えてはいなかった。
何年も病と共に生きるうちに傾向と対策が何となく掴めたので派手なことせずに生きていこうと思っていた。

しかしここにきて10年以上変わることがなかった考えが揺らぎ始めた。

夏の環境に疲弊し体調も良くない、しかしコロナ禍で外出の機会が減っていて時間に余裕がある…これは新たな治療を試みる絶好のチャンスなのではないかと思い始めた。

そしてタイミング良くチャンスは訪れた。

新たな治療をと思い始めたが特に策がなかったため会社の産業医に相談したところ、ある提案をしてくれた。

それは某大学病院の研究室が行っている認知行動療法の研究の一部に参加するという提案だった。産業医から病院に推薦もしてくれるとの事だったので「認知行動療法?聞いたことある!やるやる~!!」と二つ返事で引き受けた。不安より先に体が動くアグレッシブな性格で良かった。

さて、”認知行動療法”とは…

認知行動療法 | e-ヘルスネット(厚生労働省) (mhlw.go.jp)

厚生労働省

そもそも認知行動療法(CBT)ってなに? | NCNP病院 国立精神・神経医療研究センター

国立精神・神経医療研究センター病院

簡単に言えば、無意識にしてしまっている歪んだ認知(ものの受け取り方や考え方)の偏りを修正する治療でパニック障害だけではなく様々な場面で取り入れられている治療です。(簡単に言い過ぎているので詳細は上のリンクを是非確認して欲しい)

私の場合は週一でカウンセリングに通い、カウンセリングで行った内容を意識しながら生活する事を2ヶ月かけて行い徐々に矯正するというものだった。
カウンセリングは30〜60分程度で全て机上で行った。

結果から言うと、この認知行動療法で驚くほど回復に向かっていった。

最初はカウンセリングに行くために乗り慣れない電車やバスに乗るという事だけでもしんどさがあったが3週目あたりから通う事への不安やしんどさがあまりなくなり、少しずつ楽しんで行くようになっていた。
カウンセリングの内容を普段から意識するように過ごすうちに、普段の何気ない考え方が如何に凝り固まっていたかに気付かされた。
約2ヶ月に渡るカウンセリングを終えると、不安を抱えたまま電車に乗る事があまりなくなり、美容院やネイルサロンへも行きたいと思うタイミングで行くようになった。

ゆっくりと少しずつだけど元の生活に近づく事が出来た。

そしてこの同時期にBTSにどんどん惹かれK-POPという新たな世界に飛び込んでいた事も回復に向かう後押しになっていた。

私はあまり旅行に興味がなく海外旅行へは修学旅行も含めて3回しか行った事がない。
国内のバンドが好きで国内で活動するアイドルが好きだったため全て国内で済んでいた。日本人同士で日本国内で過ごす生活に不自由を感じる事なく生きていたので海外に目を向ける事なく過ごしていた。

そんな生活をしていた30代の会社員が突然韓国人しかいないグループに興味を持ち、全くわからない韓国語を少しでも覚えようと勉強し、日本以外の事を知ろうとし、今更だが”世界は広い”という事を知った。

”世界は広い”事は地図を見ればわかる事であり、ニュースを見れば地球の裏側の事も知る事が出来る。
しかし自分の身に直結する事で本当の意味の広さを知ったように思う。
本当に視野が狭く本当に今更な事を言って申し訳ないが、彼らを追う事で"世界は広い"と身をもって感じるようになっていた。

ある場所で旅行で来ていたであろう韓国人の若い女性2人が何かを探していたところに遭遇した。韓国語を学ばなければ韓国人である事もわからなかっただろうし目を向けなかったかもしれない。
何となく単語が聞き取れて道に迷っている事がわかった。右に行くか、左に行くのか。
道がわかり右と左の単語はわかる私は躊躇なく話しかけた。
『左にありますよ』、たったそれだけの韓国語だったが相手の驚いた顔と喜んだ声と感謝の言葉に新たな世界が開けた気がした。

興奮と喜びで心臓がバクバクし、言葉が通じるって凄い!と思った。
大袈裟だけど、この一言だけで今まで知らなかった世界に一歩足を踏み入れたように思えた。

そしてSNSでは日々様々な国のファンの意見が飛び交っており、その国ならではの意見や反応があり衝撃を受ける事もたくさんあった。
「そんな事考えた事もなかった」と思う事にたくさん触れ、正解がないであろうそれぞれの意見を眺め、様々な事情を抱える人や国の事情を見ているうちに私の中にあった漠然とした不安が少し消えていくのを感じた。

『世界めっちゃ広い、いろんな人多すぎ、私の中のこの不安…めちゃくちゃどうでもいいのでは…』

馬鹿な言い方になるが本当にこう思った。
悩んでいる人に「そんな事を気にする必要ないよ!」と言いますよね。
私も散々言われました。
でも無理なもんは無理なんです。気にする事をやめる事が出来ないんです。
これはいくら他人から言われても本人の心と体が思えるまでどうしようもないと思うんです。

『どうでもいいのでは』
『何とかなるのでは』
『誰も気にしていないのでは』

こう思えるようになった事は本当に大きな前進だった。

そして、パニック障害になって10年以上も”迷惑をかけるかもしれない、理解されないかもしれない”と誰にも話せずにいた私は仲の良い友人や家族や同僚に初めて病を告白をした。



たくさんの考え方があるんだから理解されなくても仕方ない
辛かったら違う場所に行けばいいんじゃない?
世界は広いのだから





幸い誰にも否定される事なく、無理な事は無理と言えるようになった環境で助けられながら今を過ごしている。
ある日友人と乗っていた電車が緊急停車をした。
カウンセリングを受けてから急激に体調が悪化する事はなくなったが嫌な感覚に包まれそうになるのを感じ友人に「具合悪くなるかもしれない」と呟いた。
「え、マジ?何かした方がいい?」と、いつもの口調で何でもないように言ってくれた友人の言葉で嫌な感覚が少し消えたのを感じた。
その後も何でもないことのように接する友人と話している内に発作の火種が消えたのがわかった。
そして何事も起こらなく電車は動き出した。
このわずか10分程の出来事が今でも大きな自信となり心と体にしっかりと残っている。



今でも完治はしていない。
飛行機は嫌いなままだし苦手な空間もたくさんある。ついでに言うと三半規管は激弱で散歩中の犬がグルグルと駆け回りそれに振り回されて酔うくらいだ。
しかし無理な時は無理と言い”どうにかなる”という気持ちの武器を手に入れた事で、発作の火種の初期消火が出来て行動範囲は広がりあまり不自由を感じる事なく過ごしている。

10年以上変わる事が出来なかった私にきっかけをくれた彼らに心から感謝をしている。


軍白期に入り正直とても寂しいし、初めての経験のためどう過ごすかもわからないでいます。
昔から「韓国のアイドル追うと兵役あって大変だな〜」と思っていましたがまさか自分が経験する事になるとは思いませんでしたね。
この件に関してはいくら関連資料を読もうが学ぼうが全て理解出来るとは思わないので静かに2025年を待ちます。
ただ怪我なく元気で過ごせるように遠くから祈っています。
まだ見れていない映像やらがたくさんあるのでね!むしろ2025年までに見終えるかな!?


2025年を迎えた時、どんな自分でいるのだろうか。

今までとは違う環境で奮闘しているであろう彼らを思うと頑張れそうです。
これからも人生の糧にして過ごす事を許して欲しい。


だって彼らアイドルって、本当に凄い!





私の恩人の松島聡くんが所属するSexy Zoneの新曲が本日12/13発売です🌹

#BTS #SexyZone #パニック障害


追伸
■認知行動療法に興味ある方へ
やっている場所があまりなく結構お金がかかります。
私は研究に参加したため通常の形とは異なり詳細は公には言えないので質問がありましたら個別で連絡お願いします。
もっと気軽に受けれればいいなと思いますし、そこで配布された冊子の内容が凄く良かったんですが市販されておらず…!無念!!


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