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フリーゲームが見た夢、「エヴァリース・サガ」をクリアした。

一期崎火雀です。
去年プレイし始めたフリーゲーム「エヴァリース・サガ」を、2019年の11月にクリアしました。奇しくも、クリア日は「ロマンシングサガ3」リマスター版の前日。一度プレイが止まってからなかなか手を付けることが出来ないままでしたが、無事クリアできてホッとしています。

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本作は、ファン有志によるロマンシングサガ“風”のフリーシナリオRPGです。サガシリーズの特徴であるバトルやフリーシナリオをベースに、大量のオマージュを詰め込んだオリジナルのストーリーが展開されます。世界の謎を知る詩人、アリの襲撃、魔族四公など、シリーズが好きな方がニヤリとする要素がてんこ盛り。グラフィックやBGMも、かなりツボを突いています。

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地味に面白いのが、ファンメイドながら、それまでのシリーズの集大成となるシステムを成しているところ。ロマサガ3をベースに、サガフロ以降の連携、ミンサガのBPマップアビリティ、サガ2GODのチェーンバトル、サガスカのバンプなど、様々な要素を取り込んでいます。ついでに兄弟作のレジェレガやアラアラ(※)からは、マップ踏破率戦闘不能で最大HP減なんて要素も。これまでのサガ系のフリゲの中でも、群を抜いて凝った作りをしています。
(※レジェレガ・アラアラには、サガシリーズのバトルプランナーの小泉氏が参加)

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シナリオも、国家の歴史や人物の関係が作り込まれている本格的な作り。サガ的なショートストーリーが挟まれつつも、大陸全土に渡って「クヴェル」をめぐる壮大な物語が描かれています。

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印象的だったシナリオは、ネタとして鉄板となってしまった「アリだー」を、ちゃんとガチなシナリオとして提示した「砂塵の騎士」と、本作屈指の強敵となった「氷の女王」

丁寧すぎて、逆にサガっぽくなくなるという謎の弊害が発生する程度には、よく出来ています。ただ残念なのが、本作の主人公はジョアンナひとりだけなところ。元々は複数主人公だったようですが、開発の中で一人に絞られたようです。それに伴い、シナリオの制約によって、終盤にならないと仲間にならないキャラも多数存在します。

また、バトルシステムは集大成ではあるものの、術などの戦術の幅はあまり広くはありません。ボスはHPが多くて固く、BPや連携ポイントが尽きやすいジリ貧なバランスで、サガ的な爽快感に欠ける部分もあります。終盤のダンジョンは長くて道が狭く、育成に必要な戦闘回数の多さもあって、全体的に冗長に感じたのも事実。本作には隠し機能として「倍速戦闘」が用意されているので、大変に感じたら使用をオススメします。(フォルダのread meの下部にやり方が書かれています)

実際、最大パーティ人数が4人になったり5人になったりと、開発は難航していたようで、一度正式リリース後も、バグや設定ミス、素材の問題などにより公開が一時停止していました。

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公開停止に加え、色々重なった時期だったため、自分はしばらくプレイを止めていました。しかし、あらためて最後までプレイすると、やはり感慨深いものがあります。

フリーゲーム制作では、よく「エターナる」という言葉を使うことがあります。これは、開発期間の長期化、作業の肥大化、制作チームの軋み、または単純に飽きたことで、ゲーム制作が永遠に止まってしまうことを指します。

海外も含め、名作のフォロワータイトルを作ろうとする有志プロジェクトが立ち上がりますが、完成・リリースに至るのはほんの一握りです。短編ですらよく開発中止になるのに、40時間ほどの長編で、しかも複雑な構成にならざるを得ないサガライクのRPGが完成すること自体が奇跡とも言えます。

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ある意味、フリーゲームの夢や情熱を体現した作品と言える「エヴァリース・サガ」。大変な部分もありましたが、最後までクリア出来て本当に良かったです。それでは。


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