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だからせめて

ゆっくりと雪が降り始めて
一月の空を見上げても

すぐに手がかじかんでしまって
冷たさが嫌になってしまう夜だから


部屋の片隅で
山積みの灰皿に目をやれば
ゆらゆらと消し忘れた煙が燻っている


無機質に変わらない薄あかり
消すのも億劫だから


水を取りに行くのは面倒で
代わりにこうしてアルコールかけている


そして
いつかきっとを
繰り返し繰り返す


少し落ち着いたこのため息が
すぐに立ち上ってしまうから


そして
またおんなじ後悔を
繰り返し繰り返す


それでもあの頃聴いた
メロウな音をこの夜に飛ばすから


だからどうか
お願いだから
せめて
きみだけは幸せになってくれないか



だからどうか神さま
お願いだから
せめてあの子を
幸せにしてはくれないか




神経過敏な誰もいない灰色の砂浜を
ズルズルと重たそうな荷物を引きずって


移り気な正しさ身に纏った
右向け右のツイートが


今日も誰かを非難して
目障りだから見たくもないと思うくせして


クソがと日々の中で呟いては
過呼吸になりそうな毎日で


あの頃聞いた
ノスタルジックなあの音で
それで少し気は紛れるから


だからどうかお願いだから
せめて
きみだけは幸せになってくれないか


だからどうか神さまお願いだから
せめてあの子を
幸せにしてはくれないか

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