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じょーろ

少しずつ、秋めいてきました。
夏は庭のお花たちへの水遣りが大変でしたが、それももうしばらく。

私は水遣りは好きです。
朝水遣りをする。植物が目を覚まし光合成を始める。すべての始まり、生命への慈しみ、この世のシンプルさを感じます。
この気持ちを誰かと語り合って「そうそう!そうだよね!」と言われたことはありませんが、私が「うんうん」と思った詩をご紹介します。

 「じょろ」    小林 純一
 
 じょろ、という字はね、
 如(じょ)、雨(う)、露(ろ) と書くんだよ、
 雨降る如く、
 露おく如く……
 ね、
 水をまくのじゃなく、
 雨を降らすように、
 やわらかく、やわらかく……
 ヨシコも やってごらん。
 
 そう、そう、
 しゃわ しゃわ しゃわ
 しゃわ しゃわ しゃわ
 ほら、
 葉っぱが 声をあげているだろう。
 草が からだをくねらせて いるだろう、
 花びらが 輝きだしたろう、
 うれしいのさ、喜んでいるのさ。
 
 じょろで、雨を降らせているとき、
 人は神さまになる……
 え、天使のほうが いい?
 そう、子どもだったら 天使になる……
 やさしい 気持ちになって、
 やさしい 顔になって……。
 
 おぼえておおき、
 じょろは 如雨露
 水をまくんじゃないんだよ、
 雨を そそぐんだよ、
 露を うるおすんだよ。
 しゃわ しゃわ しゃわ
 しゃわ しゃわ しゃわ
 やわらかく、やわらかく。
    (詩集『茂作じいさん』1978年刊)

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