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まちづくりで飯を食う方法とは?

 どうすればまちづくりで飯を食うことができるのか。

 まちづくりに関わっている人が、しばしば問うお題だ。しかし、そもそもなぜまちづくりは食えないと言われるのか、そしてどうすれば食えるのか、理論的な解説がなされることは稀だ。結論を先取るなら、まちづくりで飯を食うことは理論上可能だし、理論的にはさほど難しいことではない。実践するのは何事においてそうであるように面倒も在るのだが。今回は、その理論と方法を解説しよう。

 まず「まちづくり」という現象を定義しておきたい。まちづくりとは「まちの人なら誰でも使える公共財を供給する運動」と定義できる言葉だ。公共財とは経済学の用語で、「非排除性」と「非競合性」のいずれか一方を備える財のことを指す。排除性とは、利用者を選択的に排除できる性質のことで、競合性とは誰かが使うと他の人が使えない(競合する)性質のことである。排除的で競合的な財を、一般に「私的財」といい、それ以外の財(コモンプール財、クラブ財、純粋公共財)を広い意味での公共財という。まちづくりに話を戻すと、この公共財を「不特定多数のまちの人たち」向けに供給する活動が「まちづくり」と呼ばれることになるわけだ。

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 「不特定多数のまちの人が誰でも使える」財を供給するということは、特別な契約をした人や、仲間や友達、お金を払う人でなくても、使える財を供給するということだ。その点において、まちづくりとは、本質的にとても親切な善行であり、だからこそ、まちづくりには善でクリーンなイメージが付いて回る。

 しかし、「まちの人なら誰でも使える」からこそ正当な対価を支払わずタダ乗りするフリーライダーが必然的に発生する。それゆえ、いくら財を供給しても対価が手に入らないし、それどころか求められれば求められるほどしんどくなる場合さえ在る。それゆえ、まちづくりというのは、それだけ素直にやっていると、人一人生計を建てられる程度の対価を得る、ということは(不可能ではないが)難しいのである。しばしばまちづくりは、ボランタリーなものだし、誰でも始められるから、ビジネスよりも簡単だと錯覚されているフシが在るが、むしろ逆だと言えよう。ちゃんと対価を取るビジネスの方がまだやりやすい場面さえあるだろう。

 では、そんなまちづくりで飯を食うには、どうすればいいのか。理論上は幾つも方法があるが、その中でも現実によく使われている方法を紹介しよう。

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