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不思議でちょっぴりコワイ話

あれは高校時代に遡る。
部活が終わって、そそくさと下駄箱に着いた瞬間「あ、アレを忘れた」と思い出した。今振り返ってもその時の「アレ」は何だったか思い出せないけれども。「アレ」があるのは、いつもそこで勉強に勤しんでいる教室。そうなのだ。目の前には自分の靴を大事に保管してくれている下駄箱があるというのに、わざわざ四階にある教室に戻らなければならないのだ。私は舌打ちをしたくなる衝動を抑えて、仕方なく踵を返すことになった。

階段を登り、ようやく四階にたどり着いて奥のほうにある教室を目指した。と言っても東階段から自分の教室までさほど距離はなかったけれど。あの時の季節は冬で日が沈むのも早く、廊下がやけに寂しかった。自分の教室の廊下側の窓を見てみると暗かった。あ、今は誰もいないんだな。自分の教室の二つ前の教室を見ると、その教室から灯りが漏れていて誰かが残っていると一目で分かった。なんという安心感。なのに自分の教室には今は誰もいないーー。
でもよくよく考えると誰かが残っていたとしても、なんだか少々気まずい、誰もいなくて良かったとすぐに思い直した。そういう感覚分かるかな?これを読んでいるそこの方。

自分の教室の前に着くと私はドアを開けて、教室の電気をつけた。足元が見えにくいから電気をつけたほうがいいーー。だから電気をつけた。早々に「アレ」をロッカーから出して手に取った私は、黒板の前を通り抜けて電気を消した。消した。そう消した瞬間耳元で、
「あり が とう」
と女の声が聞こえた。
私の心臓が早鐘を打つ。そして教室から出て素早く戸を閉めた。閉めた途端、名一杯走った。

あれ? 誰もいなかったよな?
じゃああれは誰の声?

私の通っていた高校は古くからある学校らしくて、いくつかの怪談みたいなのを聞きたことがあった。まあ古い学校には一つや二つ噂話があるかもなーと聞き流していたのだが、まさか自分の近くで、しかも耳元で囁かれるとは思いもしなかった。

見えないから分からないけれど、案外見えない者たちは普段からそこら辺に、フツーにウロウロしているのかもしれない。


とまあ私はたまにこういう体験話を書いております。怪談話としてはパンチに欠けますがね。しかし某番組のような話って滅多に遭遇しないと思います。ただ、たまに見えない系の人たちが通りすぎることはあるかもしれませんが。その方々がたまに「自分はここにいるよー!」と自己アピールしてきますが、スルーしておいたほうがいいってことですね。

他にもこんなの書いてます。
暇がある時に読んで貰えると幸いです。


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