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最強は虚無を引き連れる?【日記】

時間があまりに余っていたので、数年前にクリアしたドラゴンクエストⅥをまた起動させてみた。

ドラゴンクエストⅥは「戦士」「魔法使い」などの職業をキャラクターごとに選択し、その職の「熟練度」を高めていく事でスキル(技や魔法)を覚えていくシステム。

ある職を極めたキャラクターはもう覚える技がなくなってしまうので、転職。これを繰り返して、あらゆる技を覚えさせていく。
よって、メンバー全員が魔法も武道も何もかも繰り出せるという最強パーティを作り上げることができるのだ。

さて、表示された懐かしいキャラクター達の姿。広がるフィールド。馴染みのBGM。
そして彼らの下にはステータスが…。

主人公:レベル92
ハッサン:レベル93
ミレーユ:レベル90
チャモロ:レベル90
バーバラ:レベル92
テリー:レベル91

過去の私は随分やり込んでいたらしい。あともう少し頑張ればカンスト(レベル99)しそうな勢いだ。

次は気になっていた職業スキルの熟練度を確かめるため、カーソルを動かす。

さてさて…どうだったかな。

主人公:戦士・武闘家・僧侶・魔法使い・盗賊・踊り子・遊び人・魔物使い・バトルマスター・賢者・レンジャー・魔法戦士・パラディン・スーパースター・勇者・ドラゴン・はぐれメタル
★全て最高位までマスター済み

その他キャラクター:省略(主人公と同様)

…こちらは既に、カンストしていたようだ。

試しに再びラスボス・隠しボスに挑みに行くも、道中のモンスターをMPを一切消費せずサクサクと討伐。
ラスボス・隠しボス戦では、プレイヤーである私が技の選択ミスを多々繰り返すも、死者を出す事なく20ターン以内に撃破。懐かしく清々しいエンディングが、DSの画面を彩っていった。

強い。
かつての私は、こんなに彼らを鍛え上げていたのか。
呪文を使わない縛りプレイをしたり、戦闘途中に「遊ぶ」などのおふざけ技を挟んだりと舐めプをしてでも勝利できる。
まさしく「最強」のパーティになったのだ。

きっとゲーム世界の中での彼らは、モンスターたちから恐れられている存在なんだろうな。少年漫画みたいなオーラや覇気がにじみ出ていたりして…。

…なんて無双を空想すると同時に、それまでプレイしていたゲームが褪せて見えるようになった。
もうこれ以上、彼らを強くすることはできない。目標がなくなったのだ…。

そういえば私の好きな漫画、「ワンパンマン」の主人公サイタマも、自身があまりにも強すぎて虚しさを感じていたよなぁ。

なんて贅沢な悩みだ、と思っていた。
私は何においても不完全で自信が持てない人だったから。

しかし今日、久々に観たドラゴンクエストⅥの壮大で美しくてエンディングを通して
「最強である事」「これ以上成長できない事」「目標が持てない事」の虚しさを、初めて認識できた。

私が、私自身の事でこの虚無感を味わう日は来るのだろうか?
来て欲しくないような、ちょっと来て欲しいような。
…まずは、何事も人並みにこなす所まで達しないと、だけど。

野乃

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