見出し画像

vol.12 不実な恋愛の行く末…

長い時間かけて準備してきた謝恩会。
とうとうそれも佳境に近付いてきた。
家から出られないと言っていた美園ママも当日はやってきて、我れ先にと司会のマイクを手に好き勝手に進行させていた。
anti達もしっかりと参加して会を楽しんでいる。
私が理想としていた形がそこにあった。

謝恩会 終幕

そろそろ保護者同士のお涙頂戴イベントが発生するであろうタイミングで、私は会を抜け出した。

先生方への感謝、私にとってこれが大切な時間だったのだ。

そして、誰1人として足を向けなかった調理室の方へ向かった。

「子供達の食事を見て下さって本当にありがとうございました。」

3人の調理スタッフと1人の栄養士がそれぞれ目を見合わせていた。

「私達にそうやって言いに来てくれた保護者さんって、これまでの保育園生活の中で神永さんだけですよ。
こちらこそありがとうございます。」
「皆さんが毎日ちゃんとした食事を作って下さったからこそ、子供達は今日まで育つことができたんです。
本当にありがとうございました。」

私の今日の役目はこれで終わった。
謝恩会には戻らず一足先に家路についた。

抜け出したことに対し、誰からか連絡が来ることもなかった。
暫しの安息の時間だ。
子供達の笑い声と心地良い眠気。
気付いたのは2時間程後のことだ。

携帯とインターホンが鳴っている。
寝惚けてはいたが、携帯片手にインターホンに出た。

「たっちゃん?」

彼女だ。
携帯の着信が止まる。

「どした?」
「一緒にご飯行こ?」
「ちょっと時間頂戴…中入って。」

酷い顔だ…こんな顔を見せるわけにはと思ったが既に遅かった。

「たっちゃん、大丈夫?」
「うん、寝てた。」
「みいちゃん、あそぼー‼︎」

子供達は何とマイペースなことか。
3人で2階へと駆け上がって行った。
私と彼女はリビングで2人きりとなった。

「疲れたよね、ごめんね。」
「いや、気が抜けただけだよ。」
「ずっとゆっくり時間取れなかったし、たまには皆でご飯でも食べに行こうかなって思ったんだけど…」
「うん、シャワーだけ浴びて来て良い?」
「私も浴びたいなぁ…」
「一緒に入るか?」
「着替えるだけにする。向こう借りて良い?」

彼女は着替えを持って奥の部屋へと向かった。
私も早々に脱衣所に向かい全てを脱ぎ去った。

熱いシャワーがとても気持ちが良い。
気怠い眠気も吹き飛んでいくようだ。
シャワーの音で気付かなかったが、誰かが脱衣所に居る気配がした。
ふと見ると、子供ではない影が見えた。

「若菜ちゃん?」
「うん、早く出て来なよ。」

とはいえ、私は裸だ。
だがバスタオルは外にある。出るしかない。
2階には子供達もいるが、このままでいるわけにはいかない。

「たっちゃん…」

潤んだ瞳で私を見る彼女がとても愛らしい。
手にはバスタオルを持っている。

「拭いてあげる。こっち来て。」

彼女が言うままに私は前へ出た。
胸の水を吹きそのまま下へ、背中を向け後ろを拭かれた。
そして、彼女がしゃがみ込みお尻や脚まで拭いてくれたので、何だか変な気分になってきた。

「もう良いよ。後は自分で拭くから。」
「だぁめ。全部私が拭くの。」

そのまま彼女は股下から手を伸ばしてきた。
既にいきり立っている私を優しく掴み、包み込むように水を拭う。

「あの夜から一度も触れてないよね…」
「色々忙しかったからね。」
「ねえ、こっち向いて…」

ちょうど彼女の目の前に私の欲望がある。
羨望の眼差しとでも言おうか、彼女は愛おしそうに私に触れた。
優しく、割れ物にでも触れるかのように。

彼女の顔が近付いてくる。
吐息を感じる。
唇が今にも触れそうな程近くにある。
焦らされるのは正直好きではないが、その彼女の表情があまりに妖艶で気持ちが昂ぶっていた。

彼女は無言でそっと口に含んだ。
快感が私の背筋を走る。
あぁ…と声が漏れるほどの快感が私を襲った。
次第に速くなる彼女の動きは、私に対する愛を表しているかのようだった。

決して上手いわけではなかったが、その気持ちが私を満たしていくのが分かった。
口の中に収まらない私の欲望を、彼女は喉の奥まで、時折形を露わにするほど頬を膨らませるその表情に、私の理性は崩壊しそうになっていた。

「…欲しいな。」

彼女の言葉は、私の理性を見事に崩壊させた。
立ち上がらせ夢中で彼女の唇を奪い、スカートをたくし上げ、柔らかなお尻を揉みしだいていた。
太腿を伝うほどに彼女の愛が溢れているのを感じ、後ろを向かせ壁に手を突かせた。

「あぁ‼︎」

下着をずらし、彼女の中に私の欲望を力一杯突き挿れると、途端に彼女は果ててしまった…
足元には池の様な水面が作られ、その中に彼女は膝をつき荒い吐息を漏らしていた。

娘達の入学

1年間この関係を続けた中で、私達が肌を重ねたのは二度だけ。
それも車内と脱衣所という落ち着かない場所でのことだった。
そして、私は一度として果てることなく悶々とした日々を送っていた。

お互いの子供達は無事学童に入ることができ、相変わらず迎えの時間は最終組というギリギリの毎日を送っていた。
だが、2人きりで会う時間は今まで以上に作るようになっていた。

旦那は相変わらず外出が多く、彼女への態度も日に日に酷くなっていく一方だと言う。
一度アンが私に「パパがママに怒鳴るんだよ…」と漏らしたことがあった。
抱っこをせがんでも相手にしてもらえないと泣かれたこともあった。
その度に私は3人の子供を抱き上げ、腰が立たなくなるまでアスレチックと化していた。

-役所の駐車場で待ってるよ-
-すぐ行くね-

真っ直ぐ迎えに行けば30分程早く迎えられただろう。
だが、私達はその30分を2人の時間に充てていた。
役所の駐車場、車内での密会、これはその後1年間続く私達の愛の時間だった。

初めて愛し合った私の車の後部座席。
ここが私達の花園となったのは必然だったのかもしれない。

入学直後、彼女は会社の飲み会のため迎えに来ない日があった。

-今日会社の飲み会なんだけど、夜に時間取れる?-
-迎えに行く?-
-私車で行くから飲まない。その後会いたい。-
-分かった。-

彼女と夜中に会うというのはこれまでも何度かあったが、相談事ばかりで甘い時間というわけではなかった。
だが、今日は違う。
旦那は飲み会の日は確実に外泊だという。
娘は祖父母の家でお泊まりで、帰宅する必要もないのだそうだ。

22:30に彼女からのLINEが入った。

-今から出るけど、どこに向かえばいい?-
-俺の会社に車停めて一台で動こう。-

私が会社に着くと、彼女は既に車を停めて待っていた。

「お待たせ。」
「私も今着いたとこ。」
「何でそんなに綺麗にしてるの?」
「会えるのが楽しみで…」

こんな会話一つで私は喜んでいた。
彼女は足早に助手席に乗り込み、私の唇を奪っていった。
その目には欲望が渦巻いているのがはっきりと見えた。

「ホテルでいい?」
「早く出して…」

彼女の声には、これから始まる愛の時間への期待が聞き取れた。

毎日更新の活力をお与えください💦 あなたのそのお気持ちが私の生きる糧になります!!!!