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vol.17 不実な恋愛の行く末…

私は彼女に呆れ果てていた。
自分の気持ちに正直に生きている。
きっと本人はそう感じているのだろうが、私から見える彼女の生き方は[優柔不断]の一言に尽きた…

会社へと向かう車中、引っ切り無しに携帯の着信が続いていた。
もちろんLINEも入り続けている。
だが、私はそれを全て無視し続けた。

煩わしい…本当に嫌な気持ちにが私の心を蝕んだ。
彼女のことは確かに好きだ。愛していると今だって言える。
だが、彼女の優先順位で私はその他大勢と同じでしかないと思い知らされた。
このまま愛し続けていては、私は…私の家族は決して幸せに生きることができないだろう。
それを悟った上での排除行動だった。

仕事中も携帯は鳴り続いた。
着信件数も3桁を超えている…病的だ。
あらかた仕事を片付け、鳴り止まない電話も無視したまま私は家に戻ることにしたのだが、ここに思わぬ誤算があった。

「…たっちゃん。」

急に名前を呼ばれ驚いて振り向いてしまった。
なんと、彼女が会社の前で待っていたのだ…

「…何でいるの⁉︎」
「ちゃんと話したい…」
「帰りなよ。アンだって休ませてるんだから、さっさと迎えに行ってやりなよ。」
「私…一緒にいたい…」

涙で泣き腫らした顔の彼女が、会社の目の前で私と向き合っているのを近隣の人間が変に思わないわけがない。
このままここにいるのは得策ではないと、彼女を車へと押し込めた。

「分かったから。家まで来て。」
「…ちゃんと話せる?」

黙って私は自分の車に乗り込み、彼女の前を走り家へと向かった。
バックミラーには不安そうな彼女が伺える。
私は彼女にとって必要な存在ではない。
そう自分に言い聞かせて、道中苛立つ気持ちと葛藤していた…

懇願

家に着くと、彼女は一目散に私の腕を掴んだ。

「痛っ⁉︎」

あまりの必死さに彼女の爪が食い込んだ。
ハッとして手を離したが、私の腕には血が滲んでいた。

「ご、ごめんなさい‼︎」
「良いから入って。近所迷惑になる。」

本来なら家の中に招き入れるのは嫌だった。
だが、外で話すのも周りの目がある。
閉鎖空間で2人で話す方が私も気が楽だったのだ。

「それで、何が話したいの。」
「…愛してるの。」

この言葉を今すぐに信じろと言われても無理だ。
彼女は結局旦那を立てる。
この先もきっとこれは変わらない。

「でも旦那が一番だろ?」
「パパのことは愛してない…愛せない。」
「でも従うんだよね?」

考え込んでしまった。
このままこの沈黙を続けるのは私の精神的に難しい。
立ち上がりコーヒーメーカーの電源を入れ、手際良くマグを準備した。

「振り回されててもさ、それが幸せと感じてるから従うんだろ?
だったら俺はいらないよ。
大丈夫、若菜は幸せに生きていけるから。」
「…そんなことない。」
「あるよ。現に俺との約束よりも旦那の我儘を優先できるんだから。
俺はそんなの耐えられないし、耐える理由もない。
始めに言ったろ?不倫をするつもりはないんだって。」
「…別れるもん。
別れてたっちゃんのところに来るって…」

凄く辛かった。
この言葉が凄く嬉しい反面、今じゃなければ離れることができないと私は知っている。

「じゃあ別れてからおいでよ。
こんな風に付き合ってるのしんどいし。」
「嫌…離れたくない…」

涙を流す彼女を抱き寄せたかった。
だが、それをしたら後戻りできない。
いくらこのやり取りを繰り返しても、彼女が私の元へ来る予感がしない…

「今はさよならだよ。俺は本当の愛が欲しい。」

嫌だと泣きながら縋り付く彼女に後ろ髪を引かれる私はおかしいのだろうか…

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