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8/23 思想と環境

不安をさしおいて

今日しっかりと生きたのははたして何時間だったのか。
予定通り進められたとかきびきび動けたとかそういうことではなく、人間として生きられたように感じた時間だ。
私は帰り道、ラジオを面白く聞いていた1・2時間だ。汗をかいていた。上着を脱いでいた。ナビアプリがいつもと違う道を示して、やけに遠回りさせられて、イラついてもいた。初めて見る、光る棒が地面に突き刺さる変な街灯が狭すぎる間隔で並ぶ。おおむねすべての窓が灯るビルが微妙に角度を変えながら立ち並ぶ様子は、いわゆる夜景だ。汗だ。おや、もう蝉が鳴いていない。さっき見た棒状の街灯を、地面に突き刺さっていると考えるのか地面から伸びていると考えるのか、違いを……考える。ラジオから、毎日入眠寸前に脈絡のない色んな映像が幾つか浮かぶという話がふと聞こえる。「企業ロゴのフォントとか、全然会ってない昔のクラスメイトとか……」。好きな人ができて、結婚はしたものの子供をつくるというようなことがとても苦手でそういうのはごめんだと言っていたらしい昔の知り合いを連想する。何年も会ってないし、このまま一生会わないと思う。その人に、だけどもう、さすがにお子さんいるだろうなとか、無責任に自分勝手に、チラと思う。カレーのにおいがする。冷蔵庫に晩ご飯に十分な料理はあるが、帰ったらカレーをUberしようかなと思う。……最近炭酸ジュースを買いがちだ。向かいから警察の方が、ルールとは逆の車線を自転車で走ってきた。先日イヤホンして自転車に乗っていたら警察の方に注意されたので、自分たちだってルールを守っていないじゃないかと小市民らしくしずかに怒る。今逆走してきた人と、注意してきた人はまったくの別人だというのに。こういうあさはかで愚かな怒りが争いや軋轢をうむ。帰路についているでもなく道端に座る人々は、暑いなか何をしているんだろう。帰る場所が文字通り無いのかもしれないし、住まいはあるがその場所に帰りたいと思えない、文字通りではなく帰る場所が無いのかもしれない。わたしも……。先月亡くなった人の顔がよぎる。カレーにチーズは入っててほしいなと思う。中身が苦しい。自分の身体の中身が。しんどい。BBQ、多分あの日に決まるだろうな。白米持参ってどうやるんだろう。私も持参したい。
わたしが今日生きていた、ものの1・2時間をとりまく思考と環境の……ようすだ。

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