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私的読書今昔記

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2018年6月の記事一覧

平野啓一郎はんぱないって--平野啓一郎『日蝕』

 平野啓一郎はんぱないって。アイツはんぱないって。中世ヨーロッパの神学僧の神秘体験めっちゃ擬古文で書くもん。そんなん出来ひんやん、普通。そんなんできる?言っといてや、できるんやったら。新潮や、全部新潮や。載ったし。全文掲載やし。またまたまたまた芥川賞やし。おもろいし。平野啓一郎、すごいなァ。 ・・・  2年前の夏至の頃、妊娠6ヶ月だった私は、微かなお腹の張りを感じて万年床に横たわっていた。その頃は胎動もそれほど大きくなくて、僅かな違和感であっても子宮の中では大きな

君の黒髪の乙女はいつかのサークルクラッシャー麻紀なのです--佐川恭一『サークルクラッシャー麻紀』

読書好きの父親の影響で幼い頃から活字に親しんでいたサークルクラッシャー麻紀はしかし小説に造詣が深い。読解力にも定評がありセンター 現代文も満点。趣味は読書とサークルクラッシュ。得意技はだいしゅきホールド。 佐川恭一『サークルクラッシャー麻紀』Kindle の位置No.29-31  京都、いや、左京区の大学生のイデアを描いたのは森見登美彦御大なわけだけど、そのイデアをあらぬ方向から照らして映し出された影が『サークルクラッシャー麻紀』である。と私は語った。  『サークルクラッ

書いて残すということ--三島由紀夫『豊饒の海(一)-(四)』

 日曜朝、家族でワイドナショーを見ていたら、目の大きな幼い女の子の顔がいきなり画面いっぱいに映し出された。ニュースによるとその子は親に殴られて、怒鳴られて、放置されて、殺されたらしい。その子が親に命じられて毎朝4時に起きて書いたという手紙をアナウンサーが読み上げるのを聞いて涙、出そうになる。なんの罪もないのに、許されたかった小さな女の子。思わず、隣にいた娘の肩をぎゅっと抱きしめる。そうしたら、まっちゃんがこの子がすぐ、暖かい家庭に生まれ変わることを願う、っていうてて、ほんまに