出会えてよかった。私は確かに好きだった。

 先程まで泣いていたため、とんでもない乱文だが許してほしい。昨日、Twitterをやってる人ならなんとなく目にしたかもしれないが徳武竜也さんが芸能活動を廃業されるというニュースが流れた。私の過去の投稿にアイドルマスター SideM(以下Mマス)があることからわかるとおり、私はMマスのオタクだった。中でもF-LAGSというユニットがとりわけ好きで、今現在もF-LAGSの記事の下書きを推敲している最中だった。F-LAGSには秋月涼、兜大吾、九十九一希という三人が所属していて、私が特に応援して、特に大好きだったのが九十九一希だった。廃業を発表された徳武竜也さんが演じていた。

 私はアイドルと声優は別物と考えてはいるけれども、それでもライブやラジオなどでの話を聞いて、キャラクターに対してどんな思いをもってるのかを知っていたら、アイドルとは別に声優として応援したくなってしまうものだった。F-LAGSのデビュー曲の収録では、声の高い涼や大吾のキーについていけずに下げてもらったことをとても悔しそうに語っていた。3rdライブのソロではそれはそれはとても丁寧に歌い上げてくださっていたが、歌詞を間違えてしまったことを泣いたと仰っていた。九十九一希というキャラクターそのものとしてではなく、役者として彼のそばに立ってくれる徳武竜也さんの誠実さには胸が熱くなった。悔しいこと、悲しいことをたくさん知っているからこそ、最近のライブで涼のパートを九十九一希としてF-LAGSの一人として支えて歌っていた姿が誇らしかった。困ったことに私はこれを書きながらまた泣いてしまっている。九十九一希を演じ始めたとき、その時ですら丁寧で、でも少し固く感じるところがデビューしたてのアイドルと重なって大好きだった。そこから、アイドルとともに成長して、伸びやかで柔らかな素敵な歌声や演技を披露してくださったことが嬉しかった。今、Mマスのイベントでは九十九一希と他のユニットの二人と組んで新たに出す楽曲のイベントが行われている。いつもの爽やかな高音と違って、厚みのある低音な楽曲だった。安定感があり、甘い歌声を見せてくれた。いつもと一味違った、素敵な歌声だった。

 私個人としては徳武さんと年齢が近いこともあり、勝手に親近感を覚えて応援をしていた。そして、実を言うと昨年頃から兆候は見えていた。Twitterの退会、チョクメ(月額料金を払ってタレントからメールをいただくサービス。とてもクローズドなブログのようなもの)の配信停止。アニメやゲームのお仕事も日に日に減っているのは感じていた。どこかでこういう日が来るのではないかと恐れていた。しかし、Mマスはオーディションで「10年やれるかどうか」を必ず聞くというのを知っていた。だからこそ、声優さんも並大抵の覚悟ではやっていないはずだ。そもそも、アイマスで声優さんが変わったのはこれまでたった一人だけだった。体調が悪い声優さんを待ってくれるコンテンツだったから、徳武さんも大変なときだろうし、お休みしてもおかしくないなと思っていた。でも心のどこかで、声優自体をやめるのではと不安もあった。

 そして迎えた現在のイベントで、あまりにも素敵すぎる歌声を聞けて嬉しかった。まだ大丈夫と思っていた日にこの発表があった。辛い、というよりただただ寂しかった。もっと彼の演じる九十九一希を聞きたかった。私のお気に入りのストーリー、Write for someone 〜追憶の空〜のフルボイスを演じる彼の声を聞きたかった。アニメだって1期では出番が数秒しかなかった。2期をやると信じていたものだから、彼の九十九一希が動く姿を見たかった。あまりにも惜しかった。勘違いをしないでほしいのは、私には怒りも辛さもない。本当に寂しいのだ。無理をして演じてほしくもないし、彼の決断を応援したい気持ちだってとても強い。それに何より、私が大好きなアイドルの九十九一希は、彼の真面目な判断と決意を応援するはずなんだ。寂しい悲しさと新たな門出にたとうとする祝福は両立してしまうとわかった。そして、どちらも私にとって大事な感情だ。

 九十九一希というキャラクターは、元小説家のため言葉や感情や想いをとても大切にする性格だ。控えめな性格かと思いきや、負けん気が強かったりする。静かなようで心は燃えていて、良い意味で強欲な人だ。3周年の記念CDでは複数のユニットと共に歌ったCompass Gripper!!!という曲がある。そこで九十九一希がユニット以外で歌うパートの歌詞にはこう書いてある。

感情も音も景色も抱きしめて

(希望って言葉を言い換えるなら)
実際 君のコトだと信じてる

未来を君と見たい

特に「未来を君と見たい」は私のお気に入りの歌詞だった。成長するアイドルたちの姿を見たかった。九十九一希と、F-LAGSと見たかった。今回のニュースを聞いて最初に聞いた歌もこの曲だった。涙が溢れて止まらなかった。色んな感情でぐちゃぐちゃななか、感情も音も景色も抱きしめてという彼の歌声が私の中で響くものだから、最初にこの曲を聞いた。この曲はなりたいように、やりたいように、自由に羽ばたくことへの応援歌だった。次に聞いたのは以下の曲だ。

諦めないよ 僕らの物語は
ここから始まるのさ ほら、一歩ずつ

変わるって決めたから あとは貫いてゆくだけ

With…STORYという曲の歌詞だ。上記のパートはどちらも涼がが歌っている箇所だが、F-LAGS自体「変革」や「希望」がテーマなユニットなのもあって、この楽曲を聞いたときの胸のときめきといったらなかった。上記2つの曲を聞いて、徳武さんもきっと変わるときなんだ、貫かないといけないときなんだと素直に応援したくなった。寂しさは変わらないけど、それでもなんとか応援したかった。九十九一希を見習って、私も自分の感情に欲張りになろうと思えた。どちらも大切な感情だと。またMマスに助けられてしまった。

 書きながらぼろぼろ泣いてしまっており、もう何が言いたいのかどんな感情なのかもわからないけれど、それでも私は寂しさと、応援と、そして彼のあとに九十九一希を演じるであろう声優さんを歓迎する気持ち、全てを欲張って大事にしたい。どれも私の大事な感情だ。覚悟がまったくなかったわけではないけれど、それでも唐突なこのニュースに大きく動揺しながら、また一つ大切なことを学んだ気がした。

徳武さん、本当にありがとうございました。
あなたに出会えて、あなたを応援できて、あなたが演じる九十九一希をプロデュースすることができて、とてもとても幸せでした。あなたの決断が、来年からの門出が、どうかあらゆる人々から祝福されますように。そしてあなたが演じたキャラクターや、歌った歌が、あなたの中できらめく大切な思い出として、あなたの糧となりますように。末永く健やかでいてください。

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