映画「ストレンヂア -無皇刃譚-」を見ました ※2021/02/23追記編集

フォロワーさんに「どうしても見て欲しい」と勧められまして、「ふーん……」と言いながらWikipediaを開きスタッフを確認し、


音楽:佐藤直紀


はい!!!!!!!!見ます!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!

となったので見ました。拙者、作曲家で見る作品を決める侍と申す……。

佐藤直紀さんの音楽は!!!!!!!!いいぞ!!!!!!!!!!!!
次の日曜日から始まる大河ドラマ「青天を衝け」の音楽も担当してるからみんな見てねっていうか
見ろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


2007年のアニメ映画。原作はボンズ。
アクション描写で結構血が出るので、PG-12指定です。

声優さんをチェックしようと思って公式HP見たら、
FLASHを使ってた時代にFLASHで作られたサイトで、もう何も見れなくて
おわり -NHK- になってました。

そういうわけで感想です。前半はほぼネタバレなしの感想を、後半でストーリー上のネタバレがある話をします。

【あらすじ】

戦乱の時代。理由あって追われる身となった「犬を連れた少年・仔太郎」と、自らの名前を捨て、刀を抜けないように封じた「奇妙な浪人・名無し」が出会い、仔太郎の依頼で名無しは仔太郎の護衛をすることになり、二人と一匹は一緒に旅に出る。

一方、「仔太郎」の秘密を追って、明から来た謎の武装集団は次々と追っ手を放つ。物語の舞台「赤池国」の領主は、武装集団と手を組むが、水面下でその目的を探り、武装集団に先んじようとする。それぞれの国、様々な人々の思惑がぶつかり、大きな濁流になっていく。

飄々とした「名無し」に対し、人に気を許せない「仔太郎」は、最初噛みついてばかりいるが、二人はやがて絆を深めていく。

一方、武装集団の剣豪「羅狼」は、上の指示に忠実に従うが、その本心は『強いやつと戦いたい』だけ。「羅狼」はたまたま出会った「名無し」の強さを見抜き、強引に戦いを挑み、その後も「名無し」の強さが忘れられない。

そして「仔太郎」が武装集団に捕らえられ、その瞬間から「名無し」と「羅狼」の『真剣勝負』の時も近づいていく。


ざっくり書きましたが概ねそんな感じの話です。


【最重要ネタバレ:犬の生死について】

いぬは!!!!!!!!死にません!!!!!!!!!!!!!!!!!!

あのですねもう本当にいぬが……いぬが……いぬがかわいい!!!!!!!!!!
飛丸って言う名前で柴犬なんですけどもう耳がピンってしてて、おめめがくりくりで、しっぽがくるくるで、賢くて優しくて、主人の仔太郎に向かってくる追っ手に噛みついて喉笛を噛みちぎっちゃう強さを持っていて、

かわいい~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!

飛丸って名前があるのにもうずっと「いぬ~~~~~~~~~~~~!!!!」って言ってたし、感想を箇条書きにしてたときに逐一「いぬ~~~~~~~~~~~~!!!!」って書いてて、もう見返してもどこのシーンのことだかわかんねーよ……。
とにかくいぬがかわいい……永遠にかわいい……。はあ……いぬ……
見終わったあとずっと「いぬ……」ってなってました。

私は犬を飼ったことはないのですが、犬好きの方にお勧めできる映画なのではないでしょうか……。
ただし、戦いの中で毒を塗った剣で怪我をして苦しむシーンがあるので、そういうのも無理! 犬がちょっとでも苦しんでるのはダメ! という方にはお勧めできませんが……。でも死にません(重要なので何度も言う)

ちなみに:
いぬは死にません
かわいい馬も出てきますが死にます
にわとりはいっぱい絞められてその血を「儀式」の材料にされます

にわとりの血を儀式に使うやつ、Fate/Zeroで見ました!(挙手)


【最初にざっくり感想】

面白かったです!
レビューとか見ると「ストーリーは普通」と評価してる人が結構多いけど、
「普通」って感じるのは「王道」だからなのかな……? 
私は「王道」大好き人間なので……。
アラも確かにありますが、私は全然気にならないくらい楽しめました。
何よりいぬがね……かわいいんですよ……(まだ言う)

そして音楽! 最初に耳に入る音楽があまりにもカッコイイ。
ギャーーーーーッ劇伴がいい!!!!! 流石の佐藤直紀さん!!!!!!!!!
冒頭のキメどころで出る「音楽 佐藤直紀」の文字でメチャクチャになれます。
サントラ欲しい! って思ったけど勿論配信になかったし、アマゾンでも高い中古品しかなくて泣きました。つらい……

そして身も蓋もない感想を言いますが、
実写版「精霊の守り人」が刺さった人には間違いなく刺さります。
私にはメチャクチャ刺さりました。
精霊の守り人の方が後じゃん! とかいう無粋なツッコミはナシで。

アクションシーンはマジで圧巻。さすが劇場版ビバップのスタッフが作っただけある。

役者さんで言えば、大塚明夫さんのどシブい演技と、山ちゃんがあの声から出すクソデカ感情でドワーッ!!!!!!!!!となりたい人にオススメです。


【最大の見せ所:アクション】

とにかくアクションが死ぬほどカッコイイ!!
まああの劇場版「カウボーイビバップ 天国の扉」のスタッフが集結してるので当然なんですが。
剣による鍔迫り合いも、弓での駆け引きも、合戦時に雨あられのように降ってくる矢もさることながら、明からやってきた武装集団のみなさんの武器が、剣の二刀流、長刀、鞭、弓、縄付きの手斧、三節棍、といった感じで非常にバリエーション豊か。よって、アクションシーンも非常にバリエーション豊かで永遠に楽しんでいられます。
アクションシーンだけでガッポリ金が取れる。惚れ惚れします。

欠損、流血ドンとこい! な、近年のアニメではもしかしたら厳しいかな~? という暴力描写もあります。ビバップ好きだった人は絶対楽しめると思うなー。
暴力描写、殺陣のすさまじさに、佐藤直紀さんの劇伴が綺麗に絡まって、思わず息を詰めて魅入ってしまいます。

劇場版ビバップのすごアクション見た人は見た方が良いって言うか、もうとっくに見てそう。アクションだけじゃなくて、キャラクターのちょっとした細かい描写ですぐに「ビバップだ!!」となれます。

好きなアクションはまあ全部なんですけど、
冒頭に明の武装集団のみなさんがそこらへんの野党に襲われて返り討ちにするシーンがあるんですけど、そこでの真剣白刃取りからそのままぶん投げて、そして転がった相手に即座に刀を投擲してぶっころす、の流れメチャクチャかっこよかった!
あとはクライマックスの名無しと羅狼の一騎討ちシーンがとにかくカッコイイ。身のこなしの違いが良いです。二人のアクションシーンだけで金が取れる。いや本当に。

アクション以外の作画も、「生きてる人間のリアル」が感じられてすごく好き。
あとは、スクリーンで見ればなんともないのかもだけど、カメラワークがちょっと変則的に激しいとこがあって、ちょっと酔いそうになったシーンがいくつかありました。


【役者さんの話】

声優初挑戦の長瀬智也さんのお芝居には賛否ある感じでしたが、私は好きです!
俳優さん・タレントさんとかが声優初挑戦した時って、お芝居のうまい下手にかかわらず、どうしてもキャラクターの向こうに俳優さんの顔が見える……ってなりがちなところが私にはあるんですけど、
(逆にそれを逆手にとって大成功したのがプロメアの堺雅人さんだと思っている)
名無しの向こうに長瀬さんの顔はあんまり見えなくて、すごく自然に聴く事ができました。私があんまりジャニーズ詳しくないというか、アイドルにあんまり興味がないからかもだけど。

そして仔太郎を演じる当時14歳くらい? の知念侑李さん。
この役はあまりに重いといいますか、難しい役どころで大変だったろうな……と思います。
最初はやっぱりお芝居がちょっとあどけないというか、慣れてないなあという感じがあったのですが、映画に慣れていく内にどんどん仔太郎の魅力が出てきて、最後の最後では「コタロ~~~~~~~~~~~~!!!!!!」となれました。私がチョロいオタクなだけかもしれないけど。

出番は多くなかったけど、竹中直人さんの祥庵は非常に素晴らしかった。
もう一番最初の台詞から重厚感と説得力があります。良い役どころでしたね。

そしてこの映画を「役者さんの演技」という観点で見るなら、何より羅狼を演じる山ちゃんこと山寺宏一さんのお芝居を楽しむ映画だと思います。山ちゃんの中国語が聴ける!

★2021/02/23追記:ネットで検索して知ったんですけど、これ山ちゃんが「僕が中国語喋れたほうがいいですよね」つって中国語の先生つけて練習したんだって……すっごいね……

戦闘狂と言うとフィクションではヒャッハー系のキャラクターが多いかな? と思いますが、羅狼は戦闘狂でありながら、命令はきっちり遂行するクールなキャラクター。むしろ、しっかりしてるけど、実は戦闘狂、と言った方がいいのかも。
もう渋くてとにかくカッコイイ!
羅狼は「日本には強いやつがいない」とガッカリしながら任務をこなしていたのですが、任務中に偶然名無しとすれ違い、一瞬でその強さを看破し、強引に名無しに喧嘩を売ります。この国にも骨のあるやつがいた……と嬉しくなる羅狼、名無しに対して執着心を抱くように。
山ちゃんから長瀬智也さんへの巨大感情って字面が強すぎない?

大塚明夫さん演じる虎杖将藍もメチャクチャ最高で情緒がおしまいになるんですが、そこら辺の話は後々しようかと。
そのほかにも野島裕史さんもよかったし、皆川純子さんのセクシーお姉さんお芝居が最高だったし、きれいな宮野が聴けて良かったし、出番はちょっとだったけどおよそ13年前の真綾も最強にかわいかった。



ここから先はストーリーのネタバレ含むので見た人向けです。








【名無しと仔太郎、それから飛丸】

めちゃくちゃバルサとチャグムじゃん(何もかもを台無しにする発言)

二人の関係性に「これは実写版精霊の守り人を見た人向けのやつだ……」となりまして、そうなったらあとは情緒おしめえになるのは簡単なんですね。

仔太郎が名無しに心を許さずにいる中、飛丸が自分に与えられたご飯を名無しに持っていってあげるところで、
「いぬ~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!」
ってなりました かわいい いぬは かわいいですね

頼れる人が誰もいないから背伸びして強がるしかない仔太郎がいじらしいし、それにやれやれ、となってしまって、なんだかんだ面倒を見ちゃう名無しが非常に好きです。ありがちといえばありがちなやつだけど、王道はみんな好きだから王道って言うんだよという感じ。

映画という短い時間で魅せるので、仔太郎には早々に名無しに心を開いてもらわないといけないんですが、その役目を飛丸が担ってるのがうまい。
仔太郎よりも先に名無しに心を許した(自分のごはんを分け与えた)飛丸、
そして飛丸が毒を受けた時に飛丸を助けるために一緒に走り回ってくれた名無し、それが仔太郎が心を開くトリガーになる、仔太郎が心を開く早さに違和感がなく、非常に良いです。
いぬはかわいい

そして馬もかわいい!
「馬を走らせてると空を飛んでいるような気持ちになる」と聞いた仔太郎、色々あって馬に乗せてもらうんですが、名無しが馬を引き、仔太郎がそれに乗るのが完全にバルサとチャグムの文脈……
反目しあっていた大人と子供(というか子供が一方的に反発していた)が、
旅をするうちに心を通わせていくのをバルサとチャグムで浴びまくっていた私にはグサーーーーーッ!!!!!!! と刺さってしまいましたね……。

最初は名無しにツンツンしていた仔太郎が、名無しが馬を走らせるのに一緒に乗って、「本当に空を飛んでるみたいだ」って目を輝かせる、
もうこれ完全にチャグムで履修したやつ!!!!!!!!!!!!!!!!(メチャクチャになる)
二人のほのぼの旅路の描写なんかもあって、これ精霊の守り人で履修したやつ!!!!(ムチャクチャになる)
ずっと名無しが仔太郎を導き、名無しが優位な立場にあったのに、魘される名無しを見ていた仔太郎がその姿を案じるシーンで、二人の優位性が逆転する現象が見れるのも「オタクこういうの好きでしょ」感がある……。

仔太郎がさらわれてしまって、それを追いかける名無しのシーンも胸をつきました。馬に乗って追っていたのが、馬が傷ついて走れなくなって、仕方なく飛丸と一緒に走って追う……。こんなに夢中になって走るのは、もちろん仔太郎に対する思い入れもあり、祥庵に「お前も自分と同じだ」と言われたことを否定したいとか、そういうのもあり……なのかな……わからん……

祥庵の「言いつけに逆ろうてまで己の意思を貫くことなどそうそうできぬ」という、竹中直人さんの切羽詰まったお芝居が最高に良いし、名無しはその僧衣だけを斬る=僧であることを否定して、「犬畜生にも劣る」って台詞を言うけど、仔太郎のことを大事にする飛丸という犬がいるからその台詞がめちゃくちゃ活きるな~! と……

名無しはかつていた国で、殿が大殿を殺して国を乗っ取ったという経験をしている。それできっとその煽りを受けたんでしょうね、恐らく大殿の関係者なのかな、小さな子供を斬り捨てている、二人も。「殿が大殿を殺した」という、つまりは「(たぶん)親殺し」も、「子供殺し」も、名無しにとっては耐えがたいことだったのだろうな。それで自分の刀に封をほどこした。

かつて仔太郎に刀の封のことを訊かれて「願掛けだ」と言っていたけど、その願掛けは「子供を殺さない」とか「子供を傷つけない」とか、そういう類のものなのかな……。序盤では仔太郎を追ってきた追っ手の首バキッとやって殺してたし、あくまで「子供を」殺さないためにしているものなのかな。

そして仔太郎が捕まっている砦に辿り着いて。その願掛けは、仔太郎を「助ける」ためにはもう意味のないものだから、歯で噛みちぎって捨てて、そして刀を抜く……。そして過去に子供を殺すために振るった刀を、子供を守るために「投げる」「手から離す」というのが良い。

そして二人は再会して、名無しが仔太郎に言う台詞が
「お前に言ったんじゃない。飛丸に言ったんだ」
それまで飛丸のことを「犬っころ」とか呼んでたのが、ちゃんと名前を呼ぶのがニクい。だって飛丸の名前を呼ぶことは仔太郎の名前を呼ぶことと同義じゃないか……。


【虎杖将藍とその周囲のこと】

あのね、麒麟がくる最終話を浴びた直後の民に大塚明夫の声は効くんですよ(しんだ)

虎杖将藍、もうとにかくカッコイイ。さっきから「とにかくカッコイイ」しか言って無くない? 語彙がそれしかねえんだよ!
主君に仕える身でありながら、実は「国盗り」というデッカイ野望を持っている。
「身の丈に合った望みを持つのではなく、望みに合わせて身の丈を決める」

何????????征服王イスカンダルか?????????????(めちゃくちゃになる)

でもその口で、自らの部下であり、主君の娘に思いを寄せる重郎太には「身の丈に合った望みが一番」と言う……。矛盾しているのかと思いきやそれは後々への伏線。

武装集団に主君を人質に取られたとき、将藍は迷わず主君を射殺すことを選ぶ。射殺したのは重郞太なんだけど、重郎太は将藍がそうしようとしていることを間違いなくわかっていて、まるで親子のように二人の心が通じ合っているのが本当に良い。
そして将藍は背後の部下たちに「俺につくか、死んだ殿につくかだ!」と言い放つ。みんなの心が俺にあるって確信があるからそう言えるんだよねカッコイイわそんなんついていきますわ。部下達は「将藍様につく!」と次々声を上げる。いかに主君よりも部下たちに慕われていたかがよくわかります。

そして重郎太の「敵の首を取れたら望みがある」に対して「姫ならもうお前のものだ」と返す。その言葉に私は
「なぜならこの国の主はもう俺だからだ」
「その俺についてくるお前の身の丈に、姫はふさわしい」
「しかしながら、身の上に合わぬ願いを持ったお前を俺は気に入っている」
くらいの意味を感じ取ってワーーーッ!!!!! となった……まあこれ盛大な死亡フラグ以外の何者でもねえんですけどね……。

あと「捕らえた武装集団が絶対に口を割らない秘密、痛みを感じない薬」の存在を唯一知っていて、「痛みを感じないけど、不死じゃない」ということをわかっているから、武装集団と戦う時に「とにかく物量で殺す」という作戦が取れるのが流石!


【名無しと羅狼、この映画のテーマ】

二人が初めて戦うシーンで、カッコイイアクションやってる下でおっちゃんが魚釣ってるのが好きです。おっちゃんが魚を逃すのと、羅狼が名無しという獲物を逃すのがリンクしてて良い。

二人の決戦シーンの前に、羅狼が自分たちの薬をさしだして、カタコトの日本語で「つかえ、くすり、いたみをなくす」って言うのめっちゃ好き!!!!!!
「痛みというハンデのない名無しと本気で勝負したい」って熱い気持ちを感じるし、一回中国語で言ってから日本語で言い直すのは「強者=名無しに対する敬意」だよね……。
それに対する名無しの台詞が、

「要らん。痛みがあるほうが生きている気がする」

ウワ~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!!(絶命するオタク)
これがこの映画の総決算だなって思った……。名無しの人生は体と心の痛みの連続で、それは名無しだけじゃなくて人間みんなそうで、「痛みがあること、血を流すってことは、生きてるってことだ」っていう強いメッセージを全速力でぶつけられてオタクはしんだ。
あとそれに羅狼が「いい……」って肯定するのが最高すぎる。
私は「アンチテーゼ」をひっくり返す「テーマ」を持った作品が好きで、基本的に「敵と対峙し、テーマをもって敵の目的を打ち砕く」作品が好きだったんだけど、この作品は不死という「アンチテーゼ」の側にいる羅狼が、名無しの言うことを「肯定」するんだよね……。そういうのもアリか~~~~~~~!!!!! って唸っちゃった……。今まで生きてきてこの発想に至らなかった自分、いかに物語をちゃんと摂取してこなかったかが浮き彫りになってちょっと恥ずかしいわ。
名無しが提示してくる強いメッセージを、羅狼というキャラクターを通して、凄まじい演技力を持った山ちゃんが肯定することで、そのメッセージが更に強くなるのが本当にいい……。
でもそこでその次の台詞が「ますますお前が好きになった」なの何なの? 突然おっさんずラブを始めるんじゃない
ただ、その台詞は淡々と、中国語で呟かれるのがいいな……って思った。秘めた思いというか、勝負するのにはその気持ちは雑念、邪魔、みたいな……(ろくろ)

お互い傷を負った時、羅狼は薬使ってるから痛みわかんないけど、肌の感覚で傷を負ったことに気付いているような感じだったので、薬は「痛覚」を消すだけで、触覚は消さないのかな? 違和感で気付いた、それだけ傷を負ったことがないんだろうな……。
二人の決戦、戦ってるんだけど、どこか踊っているようで、精霊の守り人の「槍舞い」思い出してメチャクチャになっちゃった……。

そして二人が差し違えたとき、名無しの刃は羅狼を貫き、名無しが仔太郎からもらった「報酬」に名無しは守られる……。ずっとこの緑のやつなんなんだろうって思ってたんだけど、翡翠の石だったのね。

「斬られたのは初めてなんだが、奇妙な感じだ」と言って事切れる羅狼。この「奇妙」は痛みを忘れて生きざるを得なかった羅狼が得た「痛み」なんだろうな。そして「奇妙」の中には「嬉しい」気持ちもあったんじゃないかな……。一番戦いたかった人と戦って果てる……それはやっぱり戦闘狂の幸せだと思うから……。もしかしたら羅狼は死に場所を求めていたのかな……なんて想像を膨らませてしまうな……。
★2021/02/23追記:見直したら羅狼おくすりのんでなかったね!


【ラストシーンについて】

ぶっちゃけ「ストレンヂア」で検索した瞬間「名無し 死亡」ってサジェストされるもんだから「えっ名無し死ぬのか??????」って思いながら見てたんですけど、
深手を負って、馬を走らせる仔太郎の背中にもたれかかって(仔太郎が馬の扱い上手になってるのが良い)、仔太郎の異国に行こうって提案に「それもいいな」って目を閉じる……
この「生死をはっきりさせない」エンドが非常に良いなあって思いました。「たいした雇い主だ」って言葉を反復させてるのも……。

私はこのエンドを見て、名無しの生死に自分の中で答えを出したくないというか、「敢えて答えを出さない」のが自分の趣味に合ってるなって思ったので、彼の生死に関してはどちらとも考えていません。

でも生き抜いたとしたら、いつか仔太郎に名前をもらってほしいな。


【その他どうでもいいことも含めていろいろ】

髪を染め直してる名無しのシーンで「将来ハゲますよ」って言っちゃった……。

尺の問題もあると思うけど、もうちょっとキャラクター一人一人に深掘りしてほしかったというか、設定を見せてほしかったなー。
きっと誰でも生きたいし死ぬのは怖いから、「不死を求める」気持ちはわかるけど、なぜ皇帝や白鸞が不死を求めているのか、もうちょっと掘り下げてくれたら良かったかも? 羅狼がどうして戦うことにしか喜びを見いだせないのかとかもあれば嬉しかったなー。あと羅狼も名無しも「異邦人」なのに、そこ作劇に活きてないの惜しい! というか名無しが「異邦人」である意味がもっと活きてたらよかったかなー。
でも十分楽しむ事ができました。
逆に、ストーリーが比較的シンプルだからこそ、アクションにのめり込めるし。

「不死」を求め、「痛みを消す薬を飲む」人々に対して、「人間は死ぬ」し、「生きることは痛いこと」「痛いから生きてる」って答えを出すテーマが、本当に私好みで、めちゃくちゃ大好きだな~!!!!!!! と思いました。
痛いのは嫌ですけど……。


【スタッフチェック】

見終わってからふと気になってスタッフを確認して、「私がちゃんと見たことがある作品」をピックアップしてみたんですけど、

原作:ボンズ
「機動天使エンジェリックレイヤー」「スクラップド・プリンセス」
「カウボーイビバップ 天国の扉」「エスカフローネ」

監督・画コンテ・演出:安藤真裕
「ワイルドアームズ トワイライトヴェノム」オープニング作画
「スクラップド・プリンセス」オープニング原画
「ゴールデンカムイ」絵コンテ
「カウボーイビバップ 天国の扉」作画監督協力・原画
「ワイルドアームズ セカンドイグニッション」OP絵コンテ・演出・原画

作画監督:伊藤嘉之
「カウボーイビバップ」原画
「機動天使エンジェリックレイヤー」OP原画
「スクラップド・プリンセス」原画
「トップをねらえ2!」原画
「エスカフローネ」原画
「カウボーイビバップ 天国の扉」作画監督補佐・原画
「ワイルドアームズ セカンドイグニッション」原画

美術設計:竹内志保
「スクラップド・プリンセス」美術デザイン・ED絵コンテ、演出・作画監督
「天晴爛漫!」メカニックデザイン
「カウボーイビバップ 天国の扉」セットデザイン・レイアウト・原画

撮影監督:宮原洋平
「スクラップド・プリンセス」撮影監督
「Fate/Grand Order -絶対魔獣戦線バビロニア-」テクニカルディレクター

音楽:佐藤直紀
「龍馬伝」「精霊の守り人」

音響効果:倉橋静男
「カウボーイビバップ」「カードキャプターさくら」
「シャーマンキング」「美少女戦士セーラームーンCrystal」
「カウボーイビバップ 天国の扉」

もうほぼほぼすてプリじゃん!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
(すてプリ2003年、ストレンヂア2007年、制作ボンズだから当然とはいえ)
好きになるの当たり前でしたわ……。

そして私の青春のゲーム・ワイルドアームズセカンドイグニッションのOPアニメに関わってるスタッフが!
改めてWA2のOP見てみたんですが、特にDisc2のオープニングが「これだ~~~~!!!!!!!」という感じ。

https://www.youtube.com/watch?v=X7XZQIaWbM0

好きになるの当たり前でしたわ(2回目)

トワイライトヴェノムのOPもかっこよくて大好きなので嬉しいですね。



大事なことなので2回言いますが、

佐藤直紀さんの音楽は!!!!!!!!いいぞ!!!!!!!!!!!!
次の日曜日から始まる大河ドラマ「青天を衝け」の音楽も担当してるからみんな見てねっていうか
見ろ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!


2021/02/23 追記


みんな~~~~~~~!!!!! 青天を衝け見てる~~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!?!?!?!??!?

龍馬伝や精霊の守り人、そしてストレンヂアと今まで浴びてきた派手ッ! 美麗ッ! な佐藤直紀サウンドとはちょっと違って、ドラマを邪魔しない、でも存在感が底にある素敵なサウンドですね! というのが私の見解なんですがそれはさておいて、

2周目を見たので改めて感想を書いていきたいと思います。



走る飛丸ほんっっっっっっとかわいい
この時点では祥庵に向かって「クゥ~ン……」ってなってるんだけど、再会したときの「仔太郎を売ると決めてしまった祥庵」のことは警戒しているというか、近づかないんだよね それどころか去ろうとする名無しにいかないでって言わんばかりに吠える なんてかしこいいぬなんだ……かわいい……

明のみなさんが野党に襲われるシーン、逃げ場のない橋の上なんだよね……この野党たちもただのチンピラじゃなくて場数踏んだ野党なんだなあって思った 位置取りもいいよね 高所を抑えてる その高所の敵から羅狼が片していくのがいい……
それにしても「一番最初の劇伴がかっこいい」のは「つかみ」として最高ですよね……何度聴いてもかっこいいなあこの疾走感……サントラほしいよお……(泣く)

名無しと仔太郎の出会いシーンの劇伴もう本当に好き
あと仔太郎が「ずっとここにいたんだからな!」って言ってる横で飛丸が全然警戒してなくてあまりにもかわいい 私が名無しだったら抱きついてもふもふするわい

序盤で「唐の使いっ走り」「殿は何をお考えなのか」って領主への不信感をチラ見せしてるのもうまいなあ そこから虎杖のカリスマ性を描いておいて、終盤で虎杖にみんながついていくことに違和感なくしてる まあ重郎太が「俺は虎杖様につく!」ってまっさきに声あげたのもひとつあるんだろうけど

名無しにごはんあげちゃったから仔太郎の機嫌損ねたかなってうなだれる飛丸かわいすぎるし改めてごはんもらってワン! ってする飛丸愛らしすぎてしんだ 飛丸かわいすぎる 残機がいくつあっても足りない
あと二回目見ると芸が細かいな~って思うんですけど石つぶてくらって仔太郎が倒れたときに名無しがそれに反応してるんですよね
二週目だと「子供相手に少し手荒すぎやしないか」って台詞もだいぶ重く感じられる……
あと飛丸が怪我したの名無しのことかばってくれたんだねもういぬ~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!かわいすぎるよ~~~~~~~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!!!!!

馬でゆく羅狼と風午のシーンは日本語になってるけど、あそこ本当は中国語で喋ってるんだろうなあ なんで痛みを消す薬つかわんの? って聞かれて「つまらぬからよ」って答えてましたね ここ初回の感想書いたときもう忘れてました

名無しと羅狼、最初に会ったときも最後の決戦のときもお足元の悪い場所で戦ってるな~と思いました

やっぱり「望みの大きさに合わせて身の丈を決めてやる」のシーン、征服王イスカンダルか???????????????ってなるんだよな

風呂シーンでお風呂につかってご機嫌の飛丸かわいい……かわいい……

「高望みはやめておけ」のシーン、どっかで人の感想見てあー!! って思ったんだけど、重郎太が姫とくっついたら領主の義理の息子、つまり国のナンバーツーになっちゃうからそしたら虎杖困るもんね……これは牽制なんだ……

虎杖の台詞逐一かっこいいので回想シーンのとこ書き出してみた
「わしにはうぬの心持ち、少しも判らんな。
 くだらぬ感傷だ、これがこの世ではないか。
 我らの殿が大殿の寝首をかきこの国の主になった。
 これも、うぬの陰働きあればこそ。まこと、羨ましい限りじゃ」
ッハ~~~~~~~~~~かっこいいな~~~~~~!!!!!!
そして子供たちを見る名無しの優しい目が本当に好き……
なんかてっきり「殿」と「大殿」が親子と思い込んでたけどそんなわけないよなあ 普通に下剋上だよな
「うぬの陰働きあってこそ」って台詞、名無しが頑張って働いた結果、仕えていたであろう「殿」のさらに上にいる「大殿」の死を招いたばかりか、「大殿」の子供たちを手にかけることになるって
地獄すぎない???????????????????こういうタイプの地獄は麒麟がくるで履修しました

あと虎杖対羅狼のとこ、虎杖おくすりキメてるんだね こっそりくすねてたんだね それでも「この心の臓を貫き通してみせろ!」がかっこよすぎるなあ~~~~~~~~~~~~~~~
でもその心の臓を貫くのは銃の一発でさあ~~~~~~~羅狼の地雷が踏まれた音がしましたよ

「子供を取り戻し~」って言ってる横で火丑に刺さってる刀に目が留まって「あ!!!あのときの!!!!!」ってなるの構図がうまいな……

「ますますお前が好きになった」のおっさんずラブ発言の後に向かい合う二人だけど、これただの動きじゃなくて、名無しが火のそばで手あっためてるんだね……そんで羅狼はそれを待ってくれてる……いいなあ……

事切れた羅狼に折れた剣を投げるのは墓標だよね……

ラストシーンを改めて噛み砕くと、
「雲の上を歩いている気分だ」
・馬はたぶん虎杖(死んだ)の馬
・かぶってるのはたぶん羅狼(死んだ)のマント
・最後にちょっと苦しそうな顔をする仔太郎
かなり名無しは「死に近い場所」にいるなあっていう感じはするんですけどそもそも生来「死に近い場所」にいたキャラクターだしなあ~っていうのと
仔太郎が「振り落とされんよう(=死なないように)しっかり(生に)掴まってな」と言っているようにも感じられるのでやっぱり私の中では答えを出さないのが性癖だな~~~~~~~~~!!!!!!!!!
と思いました

そんなかんじ!

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