「恋」と聞いて真っ先に想い浮かべる人のこと
「恋」と聞いて、真っ先に思い出す人がいる。
恋の先に愛がある、という話をよく聞くけれど、
「愛」と聞いても決して君の顔は思い浮かばないのだから、あれはもう、孵る事のない無精卵の卵のような、そんなどうしようもない恋だったのだろう。
窓辺にずらり並んだ観葉植物と、テーブルに無造作に置かれたコイン。
午後になると日差しが入らない部屋はちょっぴり薄暗く、濃い、茶色の背の低いソファが、何か大きな黒い塊のように、静かに居座っていた。
少し煙たい煙草の匂いと、度の弱い黒縁メガネ。
ボサ