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90日間の「雨の日の午前3時」を終えて。できればまだ、降り止まないでほしい。

「ふたりで交換小説をやってみたい」
そんな話をしたのは、すこし小雨の降る、京都の町を歩きながら。
突然の誘いにきょとんとしながら、それでもすこし考えて「面白そうですね」と返答してくれた彼。
そのまま近くの(と言っても、20分ほど歩かせてしまった)ちいさなカフェで、チャイと、チョコブラウニーを食べながら(しかも同じメニューを注文して)、はじめて書いた小説が「喫茶ねこのひたい」だった。

砂漠で一匹の猫と、謎の少女マホが繰り広げる、訳ありの喫茶店の物語。
ふわふわと、ただただ言葉が降りてくるまま筆を走らせた。

窓越しにパラパラと降る雨と、目の前で眉間に皺を寄せながら、うー、とか、あー、とか、筆を走らせる彼。
やっと書けたお互いの文章を読みながら「ここが良い」とか「ここはどういう意味?」とか、そんな会話をしながら、また食べかけのケーキを頬張ってみたり。

この優しい時間が、ずっと続けば良いなあと、そんな甘い事を思ってしまった。

そんなやりとりが始まって、あっという間の3ヶ月。
彼は今、どうやらインドにいるらしい。
わたしはまた、明日からカンボジアに旅立つ。

お互いの執筆は不定期になってしまったけれど、水曜日が来るたび
「あ、今日は交換小説の日だ」と、頭をかすめる。

それほどに、多分、わたしにとってこの、なんてことない、共同マガジンを運営する時間は、とても愛おしいものなのだろう。

はじめた頃と状況は変わってしまったけれど。

わたしはまだ、この雨が、降り続いてほしい。

今日はこれを、私から彼への、交換小説として送ります。

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