見出し画像

足りなかったのはこれか。なんだ単に私はまだまだ「旅らしい旅」がしたかったのか

今これを、地元の子供達の合唱が響いて、あるんだか無いんだか分からない(というかもはや意味がない)開け放たれた出入り口の間を、つるつると小気味好く過ぎていく緑の波を見届けながら、決して綺麗とは言い難い車内のトイレの前に座り込み、書いている。

タイに住んでも、旅をしても、心が満たされなくて。絶景を見ても、かわいいカフェに入っても、旅がらみの大きな仕事をしても、コンテンツを作っても、満たされなくて。

どうかしてしまったのかと思った。正直とても焦った。何しても心が動かず、もしかしたら「旅をすること」に飽きてしまったのかもしれない。

そんなモヤモヤした思いはタイを離れスリランカにきても変わらなくて。だから、思い切って旅のスタイルを変えてみた。

いつもの「一箇所長期滞在型」から、「複数の都市移動型」に切り替えた。1日単位でさまざな場所に、風の向くまま、気の向くままに出かけた。

でもやっぱり気持ちが晴れなかった。楽しいけど、心が置いていかれてるような。

あーあ、どうしよう。どうしようね。移動型もダメ。滞在型もダメ。もしかしたらアジアがいけないのか?大好きなはずのアジアなのに?アフリカなら良いの?ヨーロッパは?
ベッドに横たわってgooglemapをくるくる回してみても、強くこころ惹かれる場所がない。

私の心は一体いつ、どこで、置いてけぼりになってしまったのだろう。

そんなわたしの心をすくい上げてくれたのは、豪華なリゾートでもなく、3星のレストランでもなく。たった80円で乗れる、エアコンもない、ドアもないローカル電車だった。

席がないので床に座り込む。「ティー!」と叫びながら私の前を、大きなポットを抱えたお茶売りの男の子が駆け抜ける。ガタガタと大きな音を立てて動き始めた電車の振動が、ダイレクトにお尻に伝わってきて、隣に座り込んでいたスリランカ人と視線が絡み、笑い合う。開け放たれたままのドアからは、生ぬるい風と、少し青臭い緑のにおいが吹き込んできた。

心が解けていく。
足りなかったピースが埋まっていく。
心が元気になるのを感じる。

これか。

わたし、まだまだこんな旅がしたかったのか。なんだ。なんだそうなのか。

予想外の自分の心の声に驚きながら、同時に心から安堵した。

ガイドブックなんかいらない。
保証された美味しい料理もいらない。
わたしはわたしの心の向くまま、直感を信じて旅していたい。

もっともっと、自由を吸い込みながら呼吸をしたい。

やっとやっと、私が帰ってきたような気がした。

おかえりなさい、わたし。

ただいま。

この記事が気に入ったら、サポートをしてみませんか?気軽にクリエイターを支援できます。

note.user.nickname || note.user.urlname

サポートいただいたお金は、次に書くnoteの活力として使わせていただきます....!

とても嬉しいです*
177

古性のち

フォトグラファー / 物書き。珈琲ブレイクのようなホッとした時間を綴ってます

#まるで呼吸をするように旅をしていた

g.o.a.tで執筆中の旅日記「まるで呼吸をするように旅をしていた」を良ければもっと多くの人が読んでくれたら嬉しいな。な気持ちを込めての、同時転載マガジンです。写真だけ、毎回少し違うかも。 本家: https://non-kosho.goat.me
3つ のマガジンに含まれています
コメントを投稿するには、 ログイン または 会員登録 をする必要があります。