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何年経っても私の細胞達は何度でも期待することをやめないし諦めない。その根性嫌いじゃないよ。

成田空港に向かう電車の中で、突然文字が書きたくなってnoteを開きました。

お腹の真ん中がうずうずして、込み上げる息が熱くなって、なぜか泣いてしまいそうな感じ。
わたしはこれを毎回「細胞たちが恋をしている状態」と認識しているのだけど、この感情にきちんとした正式名称はあるのかしら。

もしちゃんと名前があるのであれば「好きな言葉はなんですか?」って聞かれた時に答えたいし「趣味はなんですか?」と尋ねられたら「この言葉の状態でいることを人生でより多く持つことです」と答えて首を傾げられたい。

今のところ旅にでかける前にしか出会えない(らしい)この感情を愛している。


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うっすらと夜が明けていく。

電車の窓の外を流れる刻一刻とオレンジ色が混じっていく空は、これから始まる太陽のリサイタルを今か今かと待ち望んでいて、まるで開幕前の舞台のような、オーケストラの始まる前のような、そんな空気に包まれている。


「旅は人生で最も味わい深いスパイスだ」

という言葉で締め括られたのは2017年に綴っていた旅のブログで、笑っちゃうくらい大変だった7ヶ月間の世界旅の最後に、そんなドラマチックな言葉を添えられてしまう自分の強さというかタフさというか、図太さには呆れてしまう。
今あの時のわたしに出会えるなら空港で出迎えながら「あんたよくそんな事言えたね」ってハイタッチしてハグすると思う。

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ちなみに今日の旅の行き先は国内で、
なんなら2泊3日で、なんならお仕事だ。

それでも成田空港に向かうだけでこんなワクワクした気持ちになってしまって、細胞たちが踊り出すのだからDNAに刷り込まれた旅への憧れと希望はすごい。

「脳みそって上手くできていて、環境にちゃんと慣れるよね」
って話を最近いろんな人とするのだけれど、"慣れる"と"心から欲する"は別物でどんなに慣れても、本当に欲しいものっていうのを体も細胞も忘れないのだなあと、実感する。

今日細胞たちが期待しているような場所に連れていってはあげられないけれど、それでもその道は確かに続いているのだと実感できる、空港に行くだけでこんな気持ちになれるのだから、わたしはまたいつでも、2017年の、26歳の、旅は人生のスパイスだ、なんてまっすぐな瞳で言えてしまう日に戻れるのだと思う。

安心する。
それがわかっただけでも今こうして、体を成田空港に運んであげることができてよかった。意味がある。

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「どんな大人になるのだろう」とずっと不安だった。
「旅が終わってしまったら、わたしはどこに行くのだろう」と。

33歳になっても、わたしはまだ旅への希望も夢も、憧れも期待も、何も捨てないでここにいる。

細胞たちも飽きることなく、旅へと向かおうとしてくれている。

たくさん後悔したことも、手放したものもあるけれど。
わたしは今のわたしを愛している。

もう一度生まれ変わったとしても、わたしはわたしで在りたいと思えている。それは何て尊いことなのだろう。

もうすぐ成田空港に着く。間違えたふりしてクアラルンプールやヘルシンキ行きに飛びのってしまいたい気持ちに蓋をして。

この旅から帰ってきたら、2022年1月に期限が切れてしまって、机の中に閉まったままのパスポートをすぐに更新しにいこう。

もういい加減、また旅を始める準備をしよう。
この細胞たちの気持ちをちゃんと、望んだ場所に連れていってあげられるように。

旅は人生で最も味わい深い、最高のスパイスなのだから。


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